失敗例から学ぶ!パワハラ被害の適切な告発方法とは?
私は社会人人生の中で、上司からパワハラ被害に遭ってメンタルを病み、それがきっかけで本ブログの運営をするに至っています。
恐らく、この記事を見ている方の中には、パワハラ被害に悩んでいる人もいることでしょう。
私は、昨年に2回目のパワハラ被害を受け、勇気を出して会社に訴えたのですが、「あること」を失敗したことにより、大きく職場が改善されることはありませんでした。
実際に遭ったパワハラの内容は法に触れるレベルの内容でしたが、会社として中途半端な対応に留まりました。
ただ、実際に「パワハラを経験して告発した」という経験をする人は少ないと思いますし、自分の中では大きい財産だと今では思っています。
今回は、「パワハラに悩んでいて告発しようか迷っている…」という方に向けて、私のパワハラ告発の失敗例から適切な対処法をお伝えしたいと思います。
なお、本記事を執筆にあたり、他社の人事部の方々にもヒアリングをしてみて、私の反省点を考察しています。(この場をもって協力いただいこと、感謝いたします。)
この記事の目次
パワハラの告発を失敗するとどうなるのか?
パワハラの告発を失敗するとどうなるのか…?
ずばり、「職場から中途半端な対応を取られておしまい」という結果となります。
そして、告発を失敗すると、人事部などからの状況ヒアリング等が繰り返し行われ、被害者としての対応が長引いてメンタルが疲弊します。
私は、まさに昨年、こういう経験をしました。
この記事を見ている方の中には、「実際にパワハラと言っているだけで、大したことをされていないのではないか…?」と思われる方もいるかもしれません。
それでは、パワハラの基準を整理することとします。
2019年5月、企業・職場でのパワハラ防止を義務づける「改正労働施策総合推進法」(通称:「パワハラ防止法」)が成立し、大企業では2020年6月1日から、中小企業では2022年4月1日から対応が義務づけられます。
そして、この「パワハラ防止法」では、パワハラの基準が明確に示されています。
【パワハラの3つのポイント】 ①優越的な関係を背景とした言動 ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの ③労働者の就業環境が害されるもの
【パワハラの6つの行動類型】 A.身体的な攻撃 B.精神的な攻撃 C.人間関係からの切り離し D.過大な要求 E.過小な要求 F.個の侵害 参考:向井蘭(2020)『管理職のためのハラスメント予防&対応ブック』ダイヤモンド社 |
個人が特定される可能性があるため事細かに全てをお伝えすることはできませんが、私が受けたパワハラについては、まず、「①優越的な関係を背景とした言動」「②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「③労働者の就業環境が害されるもの」にすべて当てはまっていました。
上司からのパワハラという意味で①を満たしていますし、休日関係なく半年にわたり必要以上の罵倒を続けられたということで②を満たしていますし、実際に精神を病んでしまって業務遂行に影響が出たという意味で③を満たしていました。
そして、具体的にパワハラの行為としては、「物を投げつけられる」「資料を破られる」「家庭環境(生育環境)を探られる」「休日に携帯で罵倒される」など、上記のパワハラの行動類型としてはA.~F.のほぼすべての行為をされており、常に気を抜けない生活を過ごしていました。
職場の周りの部署からも、私が受けていたパワハラ被害について人事部等への報告があがっており、人事部の調査の結果、「弁護士からも法的に抵触した」という確認も得ています。
そして、加害者の方は以前の職場においても、「パワハラじゃないか?」という疑義が挙がっていました。
それにも関わらず、私自身が本人として告発した結果、調査が半年間にわたって続き(その間はパワハラ加害者とは同じ環境で仕事をし)、しかも中途半端な人事処分が下ったという程度で会社の対応は終えてしまいました。
私がパワハラを告発したという事実を加害者も知りながら、同じ環境で働き続けるというのは割とメンタルにくるものがあって、それに加えてパワハラを思い出してしまうということもあり、実は私は人生二度目のうつ病(大うつ病性障害)を患ってしまい、抗うつ薬を飲みながら会社に通っているという状況が続いています。
そして今、少し気持ちに整理がつきつつある今、他社の人事部の方々とも話をしてみたら、私のパワハラ告発の方法をもう少し工夫をすれば、展開が変わっていたのではないかというお話がありました。
今回はパワハラ被害で悩まれている方々に、私と同じ道を歩んでほしくないという思いから、私のパワハラ告発の失敗例を考察し、適切な対処法をお伝えすることとします。
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私のパワハラ告発は何が失敗したのか?
(1)私がパワハラ告発をする際に留意したこと
まず、大前提として、私自身はパワハラの被害者が心の余裕がない中で、「どのようにパワハラを告発すればいいのか?」という戦略を考えなければいけないというのはおかしいと思っています。
だけれども、テレビで流れているニュースと同様に、同じ出来事であっても、どのように報道するのかによって、問題の大きさの印象と言うのは変わってしまうものなのです。
なので、パワハラについても一般的には被害者保護が優先とは言われているものの、現実的には「客観的に会社として対処しなければいけない状況」ということを証明できなければ、会社としては対処に動き出してくれないわけです。
そのため、私はパワハラ告発の際に、2つの点を留意しました。
【私がパワハラ告発の際に留意したこと】 ①受けていたパワハラ被害の中でも明らかに度を越しているもの“だけ”を告発 ②周囲の部署からも「おかしいんじゃないか?」という声があがっているタイミングで告発 |
まずは、「①受けていたパワハラ被害の中でも明らかに度を越しているもの“だけ”を告発」についてですが、私はパワハラ被害の内容と年月日をメモにまとめて告発しました。
その際に、「自分自身の感覚としてパワハラに感じたもの」をすべて書くのではなく、「法的に抵触している行為」のみをメモにまとめました。(以前に、パワハラの対処法を法的な観点で記事にまとめたことがあるので、以下のリンクも併せてご参照ください。)
パワハラの行為の内容として、「法的に抵触している行為」のみがビッシリ書かれていると、告発を受ける側としても危機感を感じると思ったので、私はこうした対応をとりました。
逆に言えば、「自分自身の感覚としてパワハラに感じたもの」をすべて書いてしまうと、事の重大性が小さく見えてしまうと思ったため、こうした対応をとりました。
そして、私がパワハラ告発をするにあたっては、「②周囲の部署からも“おかしいんじゃないか?”という声があがっているタイミングで告発」することも留意しました。
パワハラを告発した後の流れとしては、人事部などによって職場に調査が入り、「客観的にパワハラであること」が認められてはじめて会社としても対応が可能となるため、私が一人で声をあげたとしても周囲から声があがらなければ、会社としては一切の対応を取れないからです。
こうした、私のパワハラ告発にあたって留意した2点については、他社の人事部の方々に話したときに、「対処法としては適切」というお話を受けました。
なので、たった今パワハラ被害で悩んでいる方についても、この点については参考にいただいても良いのではないかと思います。
その一方で、私はパワハラ告発にあたって、たった一つ誤った対応をしてしまいました。
次に、他社の人事部の方々と考察した私の告発の失敗点について、お伝えしたいと思います。
(2)私のパワハラ告発で失敗したこと
単刀直入に言うと、私がパワハラ告発で失敗したことは、「誰に告発するのか?」という点です。
私は、所属部署の上司の上司に告発したのですが、これが失敗だったのではないかと考えています。(決して、上司の上司の対応を恨んでいるわけではないので、その点は前置きとして申し上げておきます。)
この点を詳しく考察するにあたっては、まず私の事例の前提条件を説明する必要があります。
まず、私は社員が500人未満の中小企業に勤めていますので、人事異動が柔軟にしづらいという環境に置かれています。
そして、パワハラ加害者(上司)の仕事ぶりは、会社から高い評価を受けていました。
私自身も決して会社からは悪い評価ではなかったものの、加害者はそれを上回る仕事の遂行能力があったわけです。
つまり、上司の上司としては、「上司(加害者)も私(被害者)も守りたい」という心理が働くわけです。(逆の立場に立てば、当然の判断なのではないかと思っています。)
なので人事部には、私の告発について、上司の上司から報告いただいたわけですが、私が告発した内容をそのまま伝えず、過小に伝えることになるわけです。
そして、告発を受け取った人事部としても、「パワハラが野放しにされている」ということが判明した場合に立場がなくなってしまうため、経営層に対しても過小に伝えるわけです。
【クリックで画像を拡大できます】
最終的には、ハラスメントがあった場合の人事処分については経営層が判断するわけで、経営層に入る情報は最初に私が告発した内容から、かなり過小になるわけです。
先ほどもお伝えしたとおり、パワハラ告発にあたって会社が動いてくれるためには事の重大性を伝える必要がありますが、それがうまくいかなかったため、会社としては中途半端な対応で留まってしまったのではないかと思います。
そういうことを踏まえると、「誰に告発するのか?」という点で、私は失敗したのではないかと思っています。
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失敗から学ぶ!パワハラの適切な告発方法について
さて、パワハラの告発にあたって「誰に告発するのか?」と言う点を私の失敗例として挙げましたが、果たして誰に告発すればよかったのでしょうか?
これは、パワハラ告発者が、「今の会社を辞めてもいい」のか「今の会社で働き続けたい」のかで、対応が違ってくると思っています。
もし、「今の会社を辞めてもいい」という思いでいるのであれば、社外に告発することをおススメします。(パワハラに関する外部の相談先は、厚生労働省HP「あかるい職場応援団」にまとめられています。)
実際に、知り合いに労働局にパワハラを告発した事例を聞きましたが、その場合には行政が会社に調査が入るのは急だそうで、会社側としては事前にあまり準備することができないようです。
なので、パワハラ告発者の言い分が非常に強い形として、調査が進められることになります。
ただ、ここまで大ごとになると、パワハラの調査にあたっては「告発者に不利益は与えない」という名目はあるものの、実際にパワハラ告発者に対する会社の心象は悪くなるため、会社には居づらくなるのは必至です。
なので、「今の会社を辞めてもいい」という覚悟が必要なわけです。
一方で、「今の会社で働き続けたい」場合は、会社と契約している顧問弁護士に告発し、もし居なければ人事部に直接告発することをおススメします。
私のように自部署に告発をしてしまうと、経営層に情報が伝わるまでに、事実が過小にバイアスがかかってしまう可能性があるからです。
ということで、私の実体験をもとに、社外の人事部の方々にもお話しながらまとめたパワハラの適切な告発にあたってのポイントをまとめると、以下のとおりです。
【パワハラの適切な告発にあたってのポイント】 ①受けていたパワハラ被害の中でも明らかに度を越しているもの“だけ”を告発 ②周囲の部署からも「おかしいんじゃないか?」という声があがっているタイミングで告発 ③「今の会社を辞めてもいい」という覚悟があれば社外に告発、「今の会社で働き続けたい」のであれば会社の顧問弁護士や人事部に告発(自部門には告発するのはNG) |
繰り返しとなりますが、いずれも共通することとしては、「会社にいかに事の重大さを伝えられるか?」という点です。
これが伝えられなければ、会社としての対応も消極的になります。
なので、もしパワハラ被害で悩んでいる方がいるのであれば、私の事例をひとつの参考にいただければと思います。
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おわりに
さて、今回の記事はいかがでしたでしょうか?
私自身実体験をしたわけですが、先述したとおり、心の余裕がないパワハラ被害者自身が、「どのようにパワハラを告発すればいいのか?」という戦略を考えなければいけないというのはおかしいと、個人的には思っています。
そして、パワハラ告発するにあたっても、そんなに簡単なわけではなく、とてつもなく勇気がいるわけです。(この点については、以前に記事にまとめましたので、以下のリンクからご参照いただければと思います。)
パワハラに悩むあなたが告発する勇気を持つために必要な3つのこと
私は、自分のパワハラ告発例を「失敗例」として挙げたわけですが、じゃあ「後悔しているか?」と聞かれたら、一切後悔していません。
なぜなら、「告発しないより告発したほうが状況はマシになった」からです。
記事の途中で、今回の一件で私はまたしてもうつ病を再発してしまったわけですが、もし泣き寝入りしたままであったら、自殺してもおかしくなかったと思います。
それだけ、パワハラされている身としては、精神的に追い詰められている状況にいるわけです。
なので、私がこの記事で最後に伝えたいことは、「パワハラ被害で悩んでいるのであれば、絶対に行動に移しましょう(我慢するのはやめましょう)」ということです。
厚生労働省「平成28年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査」では、過去3年間にパワーハラスメントを受けたと感じた者が「何もしなかった」と回答した比率は40.9%にものぼります。
でも、我慢し続けたら、自分のキャリアや人生においては、悪影響しか無いと思っています。
私もこのような大胆な行動に移すのが苦手な人間ですが、勇気を振り絞って行動をすることができました。
個々が置かれている環境によっても、パワハラの適切な告発方法は、少なからず変わってきます。
今回の私のパワハラの実体験を「失敗例」として取り上げたものの、今苦しんでいる人にとって行動を移すための一助になればと思って、記事としてまとめたものであります。
なので、どうか行動を臆せずに、今の苦しい状況を脱却するために、行動する勇気を持っていただければ、これ以上に幸いないことはありません。
ということで、今回はこの辺で終えたいと思います。
また次回も、よろしくお願いいたします。
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