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うつ病の人はなぜ「助けて」ではなく「死にたい」と訴えるのか?

私(ぽん乃助)
今回は、元うつ病の私が、なぜ「助けて」ではなく「死にたい」と訴えっていたのか、考えてみたいと思います。

 

 本ブログでは、心が繊細なHSPの方をはじめ、”生きづらさ”を感じる当事者やその支援者に向けて、心理学などの記事を綴っています。

 さて、私が本ブログをはじめたきっかけには、自分が社会人1年目のときにパワハラに遭い、うつ病になった経験が大きく関わっています。

 こういう経験があったからこそ、心の悩みの重さということは身に沁みて理解しており、心の問題で悩んでいる方に対して言葉が届けばと思い、ブログやTwitter、YouTubeで心理学に関することを発信しています。

 私がうつ病だったとき、本当にツラかったのは、「死にたい」という気持ちがずっと、頭の中で渦巻いていたことでした。

 インターネットでは無意識に「死にたい」という言葉を検索していて、実際に電車を見ると線路に飛び込みたい…という気持ちも募っていました。

 そんな状況であったのに、誰にも「助けて」ということができませんでした。

 もし、当時の私や周囲にいた方々が、この「死にたい」という気持ちの正体をしっかりと知っていれば、状況は違っていたのではないかと、今では思います。

 だからこそ、うつ病を寛解した今、「死にたい」という気持ちの正体について、考えてみたいと思います。

 また、この記事が、「死にたい」と考えている当事者や、周囲に「死にたい」と訴えている人がいる方に向けて、心の一助になればと思い、綴っていきます。

 なお、記事の執筆にあたっては、松本俊彦さん編著の『「助けて」が言えない』などを参考にしています。

(*)動画版も作成していますので、記事を読むのが大変な方は、以下YouTubeよりご覧いただければと思います!




 

「助けて」ではなく「死にたい」と訴える理由

 うつ病だった私は、頭の中で「死にたい」という気持ちが渦巻いていました。

 こうした漠然とした自殺願望は、専門用語では「希死念慮」と呼ばれており、うつ病を抱えている方にはよく見られる症状です。

 「希死念慮」を抱くからといって、必ずしも自殺に直結はしません。

 だけど、希死念慮が自殺への入り口でもあり、私の経験として、生きているのに「死にたい」と葛藤する気持ちは、本当にツラいものなのです。

 なので、うつ病を考えるにあたっては、「自殺」というテーマは避けて通れません。

 警察庁統計を踏まえると、自殺者は10年連続で減っており、2019年の自殺率は1978年の統計開始以来はじめて、2万人を下回りました。

 しかし、nippon.comの記事によると、OECDの公表データをもとにすると、1998年以降において、G7(先進7カ国)の中では、日本は最も高い自殺率であり、決して自殺は少ないとは言えない状況にあります。

 警察庁統計によると、2018年の自殺者のうち約20%がうつ病を起因としたものでした。

 さて、おそらく、「死にたい」という気持ちを経験をしていない人から見たら、「誰かに助けを求められないものなのか?」と思われる方も多いでしょう。

 でも、「助けて」と言えないのです。

 2008年度の厚生労働省の調査によると、これまでに自殺を考えた人のうち、約3割しか他人に相談していないことが分かっています。

 著書には次のとおり、書かれています。

自殺学の大家であるシュナイドマンは、自殺者に共通する認識の状態を、心理的な狭窄(constriction)と表現した。この状態に陥ると、いつもならば意識に上るごく普通の選択肢が思い浮かばなくなり、「死」という極端な問題解決方法以外を考えることができなくなってしまうという。つまり、普段の冷静な状態であれば、誰かに助けを求めたり、自殺以外の解決方法を見出したりすることができたのかもしれないが、心理的視野狭窄状態に陥ると、周囲にある援助資源も目に入らず、柔軟な対処行動がとれなくなってしまうのである。さらに、心理的視野狭窄状態にまで至ってしまった自殺ハイリスク者のなかには、それまで周囲の人に漏らしていた「死にたい」という言葉すら発しなくなっていく者もいる

引用:勝又陽太郎『「助けて」ではなく「死にたい」』(松本俊彦 編(2019)『「助けて」が言えない』日本評論社に収録)

 そう、甘えでも何でも無くて、「助けを求める」という選択肢が頭の中にはなくなってしまっているのです。

 その代わり、「死にたい」という選択肢しかない状況にまで、追い込まれているのです。

 著書では、さらに次のとおり、書かれています。

ショーン・C・シアは自殺念慮を抱く者のほとんどは自殺について両価的な感情を抱いており、数ヵ月にわたって動揺性の経過(「生きたい」気持ちと「死にたい」気持ちを行ったり来たりする)をたどるとの見解を示している。すなわち、「死にたい」という言葉は、そうした揺れ動く気持ちの一端を表す言葉であり、その裏には「生きたい」という気持ちが少なからず存在していることを意味している。しかもそれは、心理的視野狭窄に陥る手前の一定の期間、目に見える形で本人が示してくれている貴重なSOSサインでもある。したがって、援助する側は、先にも触れたように、この「死にたい」という訴えをないがしろにすることなく、むしろ「助けて」というメッセージとして真摯に受け止める必要があるといえる。

引用(一部改変):勝又陽太郎『「助けて」ではなく「死にたい」』(松本俊彦 編(2019)『「助けて」が言えない』日本評論社に収録)

 そう、私も先述しましたが、「死にたい」というのは、「生きたい」という気持ちとの葛藤なのです。

 この葛藤状態は、本当にツラいものであり、口から漏れ出てきた「死にたい」は、心の底から振り絞って出す言葉なのです。

 私は、うつ病だったとき、「助けてほしい」という意味を込めて「死にたい」と言っていたわけではないですが、今思えば、心の底にある「生きたい」という気持ちを表現したかったのだと思います。

 うつ病の人などが、「助けて」ではなく「死にたい」と訴える理由は、ここにあるのです。

 

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他人に助けを求められない人の特徴

 私はうつ病のとき、「死にたい」と思うと同時に、こんな思考を抱いていました。

「助けを求めても誰も分かってくれないだろう」

「自分は無価値であり、生きているだけで誰かに迷惑をかける」

 こんな感情が心の中で渦巻いていたからこそ、誰にも相談できず、一人で悩みを抱え込んでいました。

 近年では、自殺予防の領域では、自殺の発生メカニズムを説明する際に、「自殺の対人関係理論」が広く支持されているそうです。

 その理論によると、他人に助けを求められない人の思考の特徴として、次のことが挙げられています。

【他人に助けを求められない人の思考の特徴】

①獲得された自殺の潜在能力…自傷行為や自殺企図の繰り返しなどで、痛みや恐怖に慣れている

②所属感の減弱…孤独感を抱いており、自分には味方がいないと感じている

③負担感の知覚…自分が誰かの負担になっていると感じていたり、自分がいないほうが他の人が喜ぶのではないかと感じたりしている

参考:勝又陽太郎『「助けて」ではなく「死にたい」』(松本俊彦 編(2019)『「助けて」が言えない』日本評論社に収録)

 私はうつ病だった当時、周囲の人が目に入る状況ではなかったため、「孤独感」「無価値感」は自分だけの感情だと思っていました。

 つまり、無力なのに一人で戦い続けようとしたことに、自分の間違いがあったと思っています。

 だけど、「孤独感」や「無価値感」を抱いているのは自分だけではなくて、心理的に追い込まれると、誰にでも起こりうる感情だということなのです。

 また、特徴の①にも触れた自傷行為についても、誤った認識を持たれることが多いです。

 「誰かに構ってほしいからリストカットをしている」という意見を、聞くことがあります。

 だけど、その認識は誤っています。

 著書には、次のとおり書かれています。

自傷行為経験者の長期的な自殺リスクは、未経験者よりもずっと高いことが複数の先行研究で明らかにされている。つまり、自傷行為は横断的にみれば自殺企図とは異なる行動であるものの、自殺と地続きの問題であるといえよう。

(中略)

実は他者に気づかれるような自傷行為は、全体のなかでもごくわずかなものでしかないことはあまり知られていない。事実、わが国では中高生の約一割が自傷行為を経験しているのにもかかわらず、学校の保健室で把握されているのはその三分の一程度にすぎない。ほとんどの自傷行為は誰にも見つからない一人きりの空間で行われており、自身の不快感情と孤独に向き合う対処行動だといえよう。

引用:勝又陽太郎『「助けて」ではなく「死にたい」』(松本俊彦 編(2019)『「助けて」が言えない』日本評論社に収録)

 そう、自傷行為は自殺と地続きの問題であり、誰かに構ってほしいという理由で行われることは少ないということなのです。

 また、自傷行為は「死にたい」という気持ちを一時的に対処するための手段なのです。

 そして、自傷行為を繰り返す人の特徴として、次のとおり挙げられています。

自傷行為を繰り返す人たちは、なぜ他者に「助けて」と伝えることが苦手なのだろうか。まず多くの人たちに共通することとして、周囲に頼りになる人が少なく、「助けて」と伝えたり、実際に助けてもらったりした経験が乏しいという点が挙げられる。また、自分の気持ちを言葉にすることが苦手で、どうやって助けを求めたらいいのかもわからず、他者とつながるための手段を持ち合わせていない人も多い。加えて、本当に重大なことしか他人に話をしてはいけないという信念をもっていたり、「愚痴」や「陰口」を言ったりすることに嫌悪感をもつ人もおり、悩みを「小出し」にせず、問題がこじれるまで我慢する人も少なくない

彼ら彼女らがこのような状態に至ってしまう背景は実に複雑である。幼少期に虐待やいじめの被害に遭うなかで、人を信頼できなくなったり、他者との温かいコミュニケーションを経験できなかったりした人もいれば、生まれつき言葉を使うことが苦手であった人もいる。

引用:勝又陽太郎『「助けて」ではなく「死にたい」』(松本俊彦 編(2019)『「助けて」が言えない』日本評論社に収録)

 ここから、「助けて」と言えない人の理由が垣間見えるのではないでしょうか。

 私自身も、いじめを受けていた経験もあり、人を信頼する力が非常に乏しかったと思っています。

 だからこそ、「助けて」という言葉を口に出せず、それどころか不快であっても「イヤだ」という言葉も出せず、我慢してしまっていました。

 こうした自分の心の状況と折り合いをつけることが、「死にたい」という気持ちを乗り越える糸口にもつながると思っています。

 それでは、最後に、「死にたい」という気持ちを乗り越えるためのヒントをお伝えします。

 

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「死にたい」という気持ちを乗り越えるために

(1)「死にたい」という気持ちを抱える当事者へ

 うつ病だった私が、「死にたい」という気持ちを乗り越えられた理由は、一概に語ることはできませんが、強いて言えば「人の温かさに触れたこと」だと思っています。

 先述のとおり、「死にたい」という自分を追い込む気持ちは、「孤独感」と「無価値感」から生まれています。

 そして、その感情の底には、人間不信の気持ちが私にはありました。

 だからこそ、「人の温かさに触れたこと」は、自分にとって大きかったと思っています。

 だけど、私の場合は、「死にたい」と涙ながらに言っても、周囲の人は誰も助けてくれませんでした。

 困ったような顔をされたり、身勝手なアドバイスや指摘をされたりと、余計に絶望を招く結果となりました。

 そのため、当事者にとって大事なことは、「死にたい」という言葉を、他の言葉に変換していくことを目指すことが大事だと思っています。

 先述のとおり、「死にたい」という言葉は、自分の心から発せられるSOSのサインです。

 例えば、「ひとりでいるのが寂しい」とか「心が痛くなってつらい」とか、もっと具体的な悩みの言葉にしてみると、他人から手を伸ばしてもらえる可能性は高まります。

 「死にたい」を他の言葉に変換するのは、すぐにはできないので、ゆっくりで大丈夫です。

 とにかく、ひとつ伝えたいのは、あなたに振り向いてくれる人は必ずいますし、あなたは無価値ではありません。

 私は、少なからず、自分がしんどかったときに、振り向いてくれる人がいました。

 そして、私は会社の上司にパワハラを受けて、「無価値感」を感じるようになりましたが、たかが会社の上司ごときの関係に「無価値」と決めつけられるほど、人間の価値は簡単に測れるものではありません。

 なので、希望を信じていてほしいと、切に願っています。

 

(2)「死にたい」と言う人が周囲にいる方へ

 先述のとおり、「死にたい」はSOSのサインです。「助けてほしい」という、心の叫びです。

 だけど、ひとつ理解していただきたいのは、決してアドバイスがほしいわけではないのです。ただ寄り添って欲しいのです。

 著書には次のとおり、書かれています。

周囲の人は、まずは本人の考え方を修正するような発言を控える必要がある。当事者と周りの人との関係がこじれるケースでは、「まっとうに生きていくためには、あなたのそういうところを直す必要があるよ」とか、「あなたが変わってくれさえすれば、私もそれなりに接することができるのに」などといった具合に、本人に対して「変化してほしい」というメッセージが送られていることが多い。しかし、周囲の人が「味方になる」ために、当事者が「変化すること」は本当に必須の条件なのだろうか。

(中略)

ひとまず相手の考え方や行動を正そうとすることは脇に置いて、本人の言動に関心をもつとともに、自分はその人とどんな関係を築きたいと思っているのか、そのためには自分にどんなことができそうかについて整理してみてほしいのである。

引用:勝又陽太郎『「助けて」ではなく「死にたい」』(松本俊彦 編(2019)『「助けて」が言えない』日本評論社に収録)

 ここにもあるとおり、相手を変えようとするのではなく、相手に関心を持って寄り添うことが大事だと思っています。

 東京都福祉保健局では、「死にたい」という人に対するNG行動として、次のとおりまとめられています。

①話をそらす
②批判的な態度をとる
③世間の常識を押し付ける
④すぐに何らかの助言を与えようとする
⑤安易な励ましをする

引用:東京都福祉保健局「死にたいと打ち明けられた時にとってはならない態度」(アクセス日:2020年2月2日)

 2008年度の厚生労働省の調査でも、「死にたい」という人に対して、こうした反応をした人の割合は多く見られています。

 私も、本当にしんどかったときに、家族や会社の人からこうした反応をとられて、余計に絶望感が引き起こされたこともありました。

 なので、繰り返しになりますが、「死にたい」と訴える人が周囲にいたら、相手に関心を持って寄り添うことを大事にしてほしいと思います。

 

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おわりに

 私がうつ病だった頃、「死にたい」という気持ちについて、客観的に向き合うことができませんでした。

 うつ病から寛解した今だからこそ、気持ちを整理することができています。

 そして、今はうつ病などのメンタルの問題で悩む方と交流する機会も多くなり、何かしらそういう方々に向けて、記事を書けないかと思い、文字を綴っていました。

 この記事は、当時うつ病で苦しんでいる私や、私の周囲にいる人たちに向けて、今ならどういう風に伝えるだろうと思って、書きました。

 今うつ病で苦しんでいる方や、その周囲の方々にとって、一助になれば、それより嬉しいことはありません。

 なお、最後に、記事の執筆にあたっては、松本俊彦さん編著の『「助けて」が言えない』を参考にしましたこと、お礼とともに申し述べます。

 

 ちなみに、以前YouTubeで、「うつ病になりやすい人の考え方の特徴」についての動画を投稿しましたので、うつ病などについてもっと理解を深めたい方は、以下のリンクからご覧いただければと思います。

 

 それでは、今回はこの辺で終えたいと思います。

 また次回も、よろしくお願いいたします!

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プロフィール

 

こんにちは、ぽん乃助と申します。

 

敏感で繊細なHSPの人にとっての働き方戦略を本気で考えるアラサーの企業戦士です。

 

社会人1年目の時にパワハラを受け、うつ病になってしまい、その時を境にメンタルヘルスや心理学の分野に興味を持ちました。

 

HSPの仕事の悩みや適職、特徴や長所を活かした働き方、疲れやすさの改善や休み方、発達障害や内向型との違い、HSS特有のツラさと生き方戦略など…

 

あらゆる観点から、HSPの人が働きながら「生きづらさ」を残り超えるためのヒントを、本ブログやTwitterを通じて発信しています!

 

そして、2019年12月にVtuberデビューしました!YouTubeチャンネル「ぽん乃助の心理ラボ&ゲーム部」でも心理学動画をアップしていますので、ぜひご覧ください。

 

 

 

 

 

 

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