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HSP働き方戦略室|明日から使える処方箋をあなたに。

【HSP対談vol.6】当事者同士で考えるHSPと発達障害の違い

私(ぽん乃助)
HSPの働き方に関する6回目の対談を実施しました!対談で分かったことや気づいたことをまとめていきます!

 

 2019年4月28日に、HSPの働き方に関する6回目の対談を実施しました!

 HSPとは、生まれつき5人に1人は当てはまる、繊細で敏感な性格の人を指します。(詳しくは、こちらから解説をご覧ください。)

 HSPの人は、繊細で敏感な性格がゆえに仕事で悩みを抱えやすく、どのように働いていくべきかということについては、大きな課題とされてきました。

 そのため、HSPにとっての最適な働き方を探るべく、色んな方々と対談を実施しています。

 前回の対談の模様も記事にまとめておりますので、気になる方はぜひ、以下のリンクからご覧ください!

 

 

 さて、今回は、ご自身で発達障害を抱えつつも、仕事などにおける困難を乗り越えたご自身の経験等をもとに、他の発達障害の方々へ情報を発信されているぬえさんをお相手に迎え、対談を行いました。

 ぬえさんは、現在、企業から独立したデザイナーとしてお仕事をされている方でもあります。

 今回の主な対談テーマは「HSPと発達障害の違い」としており、このテーマはGoogleで多くの方が検索されているキーワードでもありますし、以前、私がこのテーマについて考察記事を書いた際、大きな反響がありました。(今でも、本ブログで多くの方が読まれている記事になります。)

 このキーワードが多く検索されている理由は、仕事などで悩みを抱えており、「自分の気質が、悩みの原因になっているかもしれないけど、その正体が分からない…」と思っている人が多いからなのではないかと考えております。

 そこで、今回は、発達障害を抱えるぬえさんとHSPである私が、当事者同士で「HSPと発達障害の違い」を考えつつ、ぬえさんからは困難を乗り越えるための仕事術をお聞きしました。

 対談で見えてきた、「HSPと発達障害の違い」「困難を乗り越えるための仕事術」などを、綴っていきたいと思います!




 

対談の概要について

(1)対談の趣旨

日時:2019年4月28日(日)16時30分~20時30分

場所:カエデ珈琲(石川県)

 さて、今回は、東京から離れ、ぬえさんのご在住の石川県で、対談を実施しました。

 ぬえさんからご紹介いただいた喫茶店であり、静かでオシャレで、非常に対談がしやすい雰囲気にありました。

 

 さて、先述のとおり、「発達障害」というコトバは、Google検索において、HSPと一緒に検索される上位のキーワードとして上がってきます。

 その理由として考えられるのは、例えばマルチタスクが苦手など、仕事等で抱える悩みや症状が似ていることにあると考えられます。

 実は、このテーマ、私も思い入れが強いのです。

 それは、HSPである私が、以前、上司に「アスペルガー症候群(発達障害の一種)の疑いがある。」と言われたことがあるからです。

 そして、仕事で悩みも抱えていた私は、自分に何か問題があるのではないかと心配になり、病院で診断してもらったこともあります。(その結果、私は発達障害ではないということがわかりました。)

 ある意味、これが自分がHSPだと気づくきっかけにもなりました。

 さて、恐らく、この記事を見ている人の中にも、自分もしくは周りの人で「HSPなのか、発達障害なのか分からない」と悩んでいる方がいらっしゃるのではないかと思います。

 以前に、「発達障害」の定義をまとめ、「HSPと発達障害の違い」の考察記事を書いたことがありますので、今回の記事とあわせて、以下のリンクからご覧いただけますと大変幸いです。

 

 

 さて、以前は、HSPと発達障害の違いについて、以下のとおり考察しました。

【HSPと大人の発達障害の違い(以前の考察)】

「HSP」と「大人の発達障害」の似ている点…両者とも、五感において鋭い感覚を持っていること

「HSP」と「大人の発達障害」の違い…「HSP」は、対人関係において共感性が強いこと

 今回はこの考察結果を踏まえ、当事者同士で対談をし、改めてHSPと発達障害の似ている点と違いについて、考えてみました。

 また、発達障害による困難を乗り越えるための仕事術などについても、今回はおうかがいしました。

 

(2)対談のお相手(ぬえさん)について

・26歳の頃に、ADHDとアスペルガー症候群の併発が発覚。『普通』になりたいという気持ちから、小さい頃から色々とコンプレックスを抱えつつ、社会人になってからはさらに大変な苦労があったそうです。

・現在は企業から独立し、グラフィックデザイナーのお仕事をされています。絵柄や文面から感じられる優しく丁寧な人柄でありつつ、数多くのコンプレックスを乗り越えてきた強さを感じる方でもありました。

・何となく、ブログの発信などを見ていて似たものを感じていたのですが、当日話してみたら、趣味や名前など、色々な面で共通点がありました。双方に人見知りでありながら、4時間にもわたる対談になりました。当日は、お疲れ様でした&ありがとうございました。笑

ぬえさんのブログ→こちら

ぬえさんのTwitter→こちら

 

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対談を通じて分かったこととは?

(1)『普通』でないことを認める大事さ

 HSPと発達障害の違いを考える前に、まずは、自分が発達障害だと分かった理由を聞いてみました。

私(ぽん乃助)
ご自身が発達障害だと気づいたのは、何がきっかけだったのですか?

ぬえさん
小学生の時から、集団行動をしたり、多くの人とコミュニケーションを取ったりするのが苦手で、そのときから違和感を感じておりました。でも、ずっと『普通』でないことを認めたくなくて、YESと言い続けてきました。

私(ぽん乃助)
実際に、発達障害だと病院で診断されたのはいつ頃だったのですか?

ぬえさん
26歳のときでした。でも、その時も『普通』でないことを認めたくなくて、セカンドオピニオンまで受けたのですが、結局は自分が発達障害(ADHDとアスペルガー症候群の併発)だということに変わりはありませんでした。

 

 『普通』でないことを、認めたくない…。

 発達障害を認めることは当然、本人として、とてもためらうことなのだと実感しました。

 この点について、もう一歩深く聞いてみました。

私(ぽん乃助)
『普通』になるために、色々とご苦労をされたと思います。社会人になってからも、色々と努力をされたのですか?

ぬえさん
会社から独立する前にデザイン事務所で働いていたときは、人とのコミュニケーション能力を高めたくて、バイトを3つ掛け持ちしていました。これで、ある程度対人能力を高めることはできました。だけど、『普通』になろうと思えば思うほど、他人との違いに疎外感を感じました。

 

 苦手なことを克服するための努力に、敬意を感じました。

 お話を聞いていて、苦手を克服するための訓練は、効果もあるし、生きるためには必要なことだと思いました。

 一方で、『普通』であろうとすることの足かせは、ずっと引きずっていたそうです。

 『普通』であることについて、もう一歩深く聞いてみました。

私(ぽん乃助)
今では、Twitter上ではありますが、発達障害であることを認めていらっしゃると思います。これは、ご心境として変化はあったのですか?

ぬえさん
発達障害の診断を受けた後、吹っ切れた瞬間がありました。私の場合は、『普通』でないことを認めることで、気持ち的にすごく楽になりましたし、困難を乗り越えるための解決法の幅もグッと広げることができました。

 

 HSPの人においても、まずは自分の繊細で敏感な気質を認めることが第一に重要だと言われるとおり、自分を認めるということはとても大事だと、改めて実感しました。

 私は、お話を聞いていて、次の図を思い描いていました。

【上記画像はクリックすると拡大表示されます】

 人の性格や意識は、氷山のように、目に見える部分と、自分でも認識しづらい部分の2つに分かれると思っています。

 自分を認めるということは、上の図で言うと、氷山が沈んでいる部分(自分でも認識しづらい部分)を見つけていくということにつながるのではないかと考えています。

 この部分は、自分の力で変えづらいのですが、認識することで、それに合わせた解決方法を考えていくことができます。

 そのため、自分を知るということは、生きづらさを乗り越えるためのスタートラインに立つことだと考えています。

 また、ぬえさんの場合は、苦手なことの訓練も行っていらっしゃいました。

 これは、上の図で言うと、氷山の見えている部分(目に見える部分)を変えることだと考えています。

 生きていくためには、「自分を知る」ことと「自分の変えられる部分を変えること」が大事だということを、ぬえさんとの対談を通じて、実感することができました。

 

(2)HSPと発達障害の違い

 さて、次に、HSPと発達障害の違いについて、考えることとしました。

 私は、以前に考察したHSPと発達障害の違いについて、ぬえさんにお示ししつつ、話に入ることとしました。

【HSPと大人の発達障害の違い(以前の考察)】

「HSP」と「大人の発達障害」の似ている点…両者とも、五感において鋭い感覚を持っていること

「HSP」と「大人の発達障害」の違い…「HSP」は、対人関係において共感性が強いこと

 

私(ぽん乃助)
発達障害は、そもそも『精神障害の診断と統計マニュアル』(DSM)にて障害認定されていることから、HSPとの深刻性は全く異なると思っています。そのうえで、HSPと発達障害は「生まれつき」という意味では同じであり、私も発達障害と勘違いされたことがありますが、一部似ている症状(生きづらさ)があると考えています。

ぬえさん
恐らく、症状が似ていても、理由が異なるのだと思います。

 

 私は、HSPと発達障害のキーワードが一緒に検索されている理由として、「生きづらさ」という意味で似ている症状があるからだと考えております。

 その上で、ぬえさんのお考えのとおり、似ている症状があっても、その理由が違うと私も考えておりました。

 発達障害の症状について、ネットなどで見ることは多いものの、実際にどういうことが事例としてあるのか聞いてみました。

私(ぽん乃助)
実際に、発達障害によって生活に差し支えがあったのは、どのようなことでしたか?

ぬえさん
私は、発達障害の中でもアスペルガー症候群とADHDの併発のパターンです。アスペルガー症候群の症状としては、例えば、相手の言葉を違う意味で取ってしまうことがあります。

私(ぽん乃助)
具体的に、過去にはどんなことがあったのですか?

ぬえさん
「人から暑い」といわれたときに、エアコンを調整してほしいという意味をくみ取れないことがありました。他にも、学校で先生にチョークでさされて数学の質問をされたときに、チョークの色を答えたこともあります。また、仕事でコピーを指示されたときに、コピー機自体を持ってきてしまったこともあります…。

私(ぽん乃助)
なるほど。これで相手を怒らせてしまうこともあると思いますが、これらの行動は人のために何かしたいと思ってやっているんですよね?

ぬえさん
そうです、人のために何かしたいという気持ちは強いです。だけど、行動が的外れになってしまうので、自信もなくし、人見知りにもなるんです。そして、これらは口で説明されるのではなく、文字で詳しく説明してもらえると、相手とのニュアンスの違いを減らすことができます。

 

 私は、これを聞いたとき、発達障害の人は共感性が低いのではなく、相手のニュアンスとは違う行動を取ってしまうので、共感性が低いように思われるのだと思いました。

 そして、人のために何かをしたいのに、行動をすると裏目に出てしまう…というのが、アスペルガー症候群のつらい一つの症状だと思いました。

 確かに、これが「生きづらさ」の原因の一つであり、さらには自信がなくなる理由にもつながってしまうのだと思いました。

 一方で、文字で詳しく説明してもらえると、相手とのニュアンスの違いを減らすことができるという対策も、うかがうことができました。

 ある意味、先ほど説明した「自分を知る」ということは、こういう対策を見つけるためにも重要なのだと思いました。

 次に、ADHDの症状について、聞いてみました。

私(ぽん乃助)
ADHDの症状としては、どういったものがあるのですか?

ぬえさん
例えば、症状のひとつに多動性と言うものが挙げられます。多動性には「行動」と「脳」の2つがあって、「行動」の多動性としては、手の動きが止まらなかったりします。今では、ある程度コントロールができるようになりましたが、今でも突然、縄跳びをしたくなるといった衝動に襲われることもあります。

私(ぽん乃助)
コントロールができるようになるのも大変なご苦労でしたよね…。「脳」の多動性はどういったものなのでしょうか?

ぬえさん
「脳」の多動性は、五感で感じ取った色々なことが気になってしまったり、一つのことを考えていたら色んなことを連想してしまったりして、集中できなくなってしまうというものです。

私(ぽん乃助)
何か対策みたいなものはあるのですか?

ぬえさん
コンサータやストラテラといった薬があります。これを飲むと、自分でも信じられないくらい集中力が高くなります。だけど、副作用も強いので、事務作業をやるときなど、ここぞと言うときだけ使っています。

 

 ADHDの症状の一つとして、多動性というひとつのキーワードが出ましたが、HSPには存在しない投薬的な改善策があることが分かりました。

 ただ、私も以前、うつ病の改善薬を服用していたことがあったので、脳に働きかける薬は副作用が強いことを知っていました。

 発達障害の方に向けた集中力を高める薬(コンサータ、ストラテラ)も、副作用が強いようなので、用法・用量は考えていかなければいけないということが分かります。

 そして、「脳」というキーワードが出たので、HSPと発達障害の違いを考えるため、次のことを聞いてみました。

私(ぽん乃助)
発達障害(ADHD)の人は、ワーキングメモリが弱い(短期的な記憶処理が苦手)と聞きます。

ぬえさん
そうですね。ワーキングメモリを「器」に例えると、発達障害(ADHD)の人が持つ「器」は、ものすごく平らなんです。2、3個の情報なら処理できますが、それ以上になると落っこちてしまう…。マルチタスクが苦手な理由がまさにこれです。そして落ちた情報は、存在すら頭の中から消えてしまうのです。だから、マルチタスクが苦手なのです。

 

 これは、HSPの人がマルチタスクが苦手な理由とは違うと思いました。

 HSPの人は、ワーキングメモリが特段平らなわけではなく、必要以上に色んな事に気づき、自分のキャパシティを超えて処理しようとする傾向があるため、マルチタスクが苦手なのだと思いました。

 こちらも同じ例えで考えてみると、色んなことに気づいてしまい、たくさんの「器」を用意して同時並行に処理しようとするため、自分のキャパシティを超えやすく、マルチタスクが苦手なのだと考えます。

【上記画像はクリックすると拡大表示されます】

 そして、ぬえさんは、次のことも仰っていました。

ぬえさん
アスペルガー症候群の特性の一つとして、何かに没頭できるというものがあります。楽しいと、人は時間を忘れると言いますが、その度合いが極端で、気づいたら24時間経っているということもあります。笑

 

 今回、発達障害による症状や特性を聞いて分かったのは、HSPと発達障害は似ている部分はあるものの、その症状や特性の質や原因が異なるということが分かりました。

 そして、後日、ぬえさんHSPのセルフチェック(クリックすると外部サイトに飛びます)をしていただきました。

 そうすると、驚くべき結果が出ました。

【上記画像はクリックすると拡大表示されます】

 今まで、色んな著書で、HSPと発達障害は別物であると言われてきました。

 ですが、ぬえさんにセルフチェックをしていただいたら、HSPの傾向が現れたのです。

 これは、後ほど詳しく説明しますが、多様化を考えるにあたって、「自分は●●だ」とか「この人は●●だ」と区別するのは違うのではないかと思っています。

 逆に、区別をしすぎることによって、物事が複雑になってしまうこともあると思っています。

 これらの点を踏まえ、私は、HSPと発達障害の違いについて、考察を改め、次のとおりまとめました。

【HSPと大人の発達障害の違い(今回の対談を踏まえた考察)】下線部分が以前の考察から変更した部分

「HSP」と「大人の発達障害」の似ている点…両者とも、五感において鋭い感覚を持っていること。そして、発達障害の人でも、HSP傾向が表われる人もいる。

「HSP」と「大人の発達障害」の違い両者とも共感性はあるものの、発達障害の人は他人の期待する行動ができないことがあるため、共感性がないと思われる。また、両者に似ている症状や特性はあるものの、その度合いや原因が違う。

 

 ぬえさんのお話を聞いてみると、「発達障害」を診断され、自分のことを認める前と後では、「生きづらさ」を乗り越えるために、どのような対策をするべきかという戦略が大きく変わったそうです。

 以前、HSPと発達障害の違いを考察した記事でも書きましたが、「自分が発達障害ではないか?」と悩む人は、病院で診断してもらうことをオススメします。

 また、診察の結果、発達障害でなかったとしても、別のアプローチで「生きづらさ」を乗り越えるための対策を考えることができます。

 私自身も病院で発達障害の診察を受け、結果的には「発達障害」ではなかったものの、自分がHSPだと気づくきっかけになり、「生きづらさ」の対策がしやすくなりました。

 まず、「生きづらさ」を乗り越えるために「自分を知る」ということは、大事なことだと改めて実感しました。

 

(3)困難を乗り越える驚異の仕事術

 さて、発達障害による生活上の支障を聞いてきましたが、ぬえさんは、それを乗り越えるために色々と試行錯誤をされていました。

 そこで、試行錯誤の結果、身につけた仕事術について、聞いてみることにしました。

私(ぽん乃助)
発達障害で色々と仕事がやりづらい部分があると思いますが、困難を乗り越えるために、工夫されている点などはありますか?

ぬえさん
まず、仕事上では、自分が発達障害だと公表しないようにしています。その理由は、相手から必要以上に気を遣われてしまい、仕事がやりづらくなるからです。でも、仕事に支障がきたす部分は、間接的に相手に伝えるようにしています。例えば、「やり取りにおいて、電話が苦手なので、メールでお願いします。」と言ったりします。大人の世界では、これで気分を害する人はあまりいないので…。

 

 これは、HSPにおいても共通して大事なコトだと思っています。

 それは、自分の気質のことを公表しても、私の場合は「生きづらさ」の解消につながることがなかったからです。

 そして、間接的に伝えるということは、「生きづらさ」を乗り越えるにあたってすごく大事だと、私も考えております。

 以前に、このことについて、ブログ記事にまとめたことがありますので、気になる方は、以下のリンクからご覧いただければと思います。

 

 

 さて、次にHSPの人の悩みと共通する、マルチタスクが苦手という部分についても聞いてみました。

私(ぽん乃助)
マルチタスクが苦手という面で、何か工夫されている点などはありますか?

ぬえさん
発達障害の方向けの著書などに書いてあったことを真似て、以前に付せんにメモを取ることを試してみました。だけど、付せん自体がどこかにいってしまうことが多々あり、うまくいかなかったんですね。

私(ぽん乃助)
なるほど…今はどのような対策をされているのですか?

ぬえさん
最終的には、「ひとつの手帳に、アイデアやスケジュールをすべて時系列に書く」ということに落ち着きました。そして、期限などが決められたタスクの部分については、付せんを貼って目立たせるというルールも決めています。

私(ぽん乃助)
(その手帳を見て)おぉ…これはすごいですね!

ぬえさん
発達障害とはいっても、色んな人がいるので、著書に書いてあることが必ずしもその人に合うとは限りません。私は、色々と自分で試行錯誤をしながら、カスタマイズしながら対策を考えることが大事だと思っています。

 

 ぬえさんが、使っている手帳の実物は次のものです。

 すごいですよね…!

【上記画像はクリックすると拡大表示されます】

 

 ぬえさんが仰ることはすべて、HSPの人に通ずる事だと思いました。

 マルチタスクの対策という意味では、上の手帳のように、一つの部分にまとめる(一元化する)ということは、とても大事なことだと思います。

 また、著書に書いてあることが必ずしもその人に合うとは限らず、色々と自分で試行錯誤をしながら、カスタマイズしながら対策を考えることが大事というのは、まさにHSPの人にも当てはまることだと、思っています。

 HSPだからといって、みんな個性は全く違うので、著書に書いていることをそのままやっても、うまくいかないことが多いと思います。

 大事なことは、失敗することは当たり前だと思って、色々なことを試行錯誤することだと思います。

 言い換えると、自分だけの「生きづらさ」の対策を見つけるためには、近道はなく、とにかく行動に移して、うまくいかなかったら軌道修正を繰り返す…ということが、何よりも大事だと言えそうですね!

 

(4)独立して働く理由

 さて、色々とぬえさんにおうかがいしてきましたが、今は発達障害の困難を抱えつつも、会社から独立したデザイナーとして活躍されています。

 そこで、どうして、独立した働き方を選んだのか、聞いてみました。

私(ぽん乃助)
どうして、会社から独立した働き方を選ばれたのですか?

ぬえさん
先ほど申し上げたとおり、学生のときから大勢の中でのやり取りが苦手で、仕事はひとりでやることが使命だと薄々と感じており、漫画家を目指していたこともありました。とはいえ、私が独立が選んだのは、好んで選んだわけではありません。

私(ぽん乃助)
と…言いますと?

ぬえさん
競争に負けて、独立という道を選ぶしかなかったのです。

私(ぽん乃助)
実力の世界は、本当に厳しいのですね…。

ぬえさん
とはいえ、独立してからは自分で仕事を選べるようになりましたので、自分が苦手な仕事は避けられるという意味は良い点だと思っています。逆に、すべての責任を自分で負わなければいけないということは、ツラい点でもあります。

 

 私は、このお話を聞いていて、実力の世界は本当に厳しくて、心苦しくなりました。

 その一方で、活路を切り開いたぬえさんに、敬意を感じました。

 そして、ぬえさんは、こんなことも仰っていました。

ぬえさん
日本では、障害者雇用という枠組みがあるものの、健常者から見ると「バイアス」がかかってしまいます。アメリカでは、そういった考え方はなく、発達障害もひとつの才能として捉えられる文化があります。私は仕事において「バイアス」を受けたくなかったので、独立した働き方をしています。独立されて働いている方の中でも、障害を持っている人は多くいらっしゃると思います。

 

 これは、日本で仕事をしていくにあたって、とても大事なことだと思いました。

 確かに、配慮してもらえば働きやすくなるかもしれませんが、「そういう人」だと見られるのは、精神的にはとてもツラいことだと思います。

 ぬえさんは、人一倍、『普通』でないことにコンプレックスをお持ちでした。

 でも、仕事への熱意は、人一倍感じることができました。

 それを共存できる働き方が、「独立」という道だったのかもしれません。

 

(5)発達障害の方に向けた発信の方向性について

 さて、ぬえさんは、ご自身の経験を踏まえ、今はブログやTwitterを通じて、同じ発達障害の方々へ情報発信を行っています。

 そこで、最後に今後のご活動の方針について、聞いてみました。

私(ぽん乃助)
ぬえさんは同じ発達障害の方々へと情報発信をされていますが、どのような方針でされているのでしょうか。

ぬえさん
発達障害の人は、表現力が高い人も多く、デメリットばかりではないことを伝えていきたいと思っています。

私(ぽん乃助)
なるほど…ぬえさんは、よく失敗談を記事にしていますが、何か意図はあるのですか?

ぬえさん
発達障害を持つと、『普通』の人にとっては当たり前のことで失敗してしまうため、失敗が怖くなってしまいます。だけど、失敗は「生きづらさ」を乗り越えるために重要なことで、過度に恐れる必要はないのです。私自身の失敗談は、少しでもその不安を和らげるために発信しています。

 

 私は、同じ発信者として、本当にためになることが聞けました。

 HSPについても、ネガティブな面だけでなく、ポジティブな面を伝えることが、改めて大事だと実感しました。(以前に、HSPの人の才能や仕事に活かすための方法を記事にまとめたことがありますので、気になる方は、以下のリンクからご覧いただければと思います。)

 

 

 そして、「生きづらさ」を乗り越えるためには、試行錯誤が大事だと先述しました。

 その意味で、失敗を恐れる必要はないというぬえさんの言葉は、私の心に強く刺さりました。

 最後に、ぬえさんはこのように仰っていました。

ぬえさん
社会は、10年スパンで流れが変わるものであり、今後AIの発展が進んでいけば、発達障害の「発想力」などが活かされる時代もくると思っています。そして、「自分のことを知る」のはスタートラインに立ったに過ぎず、そこから行動に移せるかどうかが、「生きづらさ」を乗り越えるために大事だと思っています。

 

 これは、まさに私も同じ考えでした。

 私は、自分がHSPであったり、発達障害であったりすることを知ることは、大事だと思っています。

 だけど、下の図のとおり、それは自分の性格や意識の一部でしかありません。

【上記画像はクリックすると拡大表示されます】

 物事の考え方が多様化する中、先ほども述べたとおり、「自分は●●だ」とか「この人は●●だ」と区別すればするほど、複雑になってしまうこともあると思っています。

 私個人の考えですが、多様化をシンプルに考えるにあたっては、HSPや発達障害は、人を構成するハッシュタグのひとつだと考えることが大事だと思っています。

 Twitterなどで、「この人は●●と公言しているけど、●●ではないんじゃないか?」というコメントを見ることもあります。

 だけれども、本当に大事なことは、「自分が●●」だという事実ではなくて、「自分は●●だから、生きづらさの改善のために、新しい行動をとってみよう。」という意識なのだと思います。

 だからこそ、HSPや発達障害は、自分のことを物語るうえでの一要素に過ぎず、一番大事なことは、この特性に泣きつくのではなく、対策のための行動に移すことが大事なのだと改めて思いました。

 

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まとめ

【本対談で分かったこと(推測含む)】

●『普通』でないことを認める大事さとは?

・発達障害をはじめとして、『普通』でないことを認めることで、精神的に楽になるうえ、困難を乗り越えるための解決法の幅もグッと広げられる。また、自分の特性に合わせた環境構築も大事であるが、苦手を克服するための訓練をすることも大事である。

・これは、発達障害に限らず、HSPにも通ずると考えられる。

 

●HSPと発達障害の違いとは?

・「HSP」と「大人の発達障害」の似ている点…両者とも、五感において鋭い感覚を持っていること。そして、発達障害の人でも、HSP傾向が表われる人もいる。

・「HSP」と「大人の発達障害」の違い…両者とも共感性はあるものの、発達障害の人は他人の期待する行動ができないことがあるため、共感性がないと思われる。また、両者に似ている症状や特性はあるものの、その度合いや原因が違う。

・自分が「発達障害」だと分かると、「生きづらさ」を乗り越えるためにどのような対策が立てやすくなる。そのため、「自分が発達障害ではないか?」と悩む人は、病院で診断してもらうことがオススメ。

 

●困難を乗り越える驚異の仕事術とは?

・「生きづらさ」を乗り越えるにあたって、自分の特性を間接的に伝えることが大事である。(例:「やり取りにおいて、電話が苦手なので、メールでお願いします」)

・マルチタスクの苦手の克服にあたって、一つのところにまとめる(一元化する)ことは大事である。

・また、著書に書いてあることが必ずしもその人に合うとは限らず、色々と自分で試行錯誤をしながら、カスタマイズしながら対策を考えることが大事である。

・これらは、発達障害の人だけでなく、HSPの人にも通ずることである。

 

●独立して働くこととは?

・日本では、障害者雇用という枠組みがあるものの、健常者から見ると「バイアス」がかかる。アメリカでは、そういった考え方はなく、発達障害もひとつの才能として捉えられる文化がある。

・そういった観点から、日本では、障害を抱えている人の中に、会社から独立した働き方を選ぶ人もいる。

 

●「生きづらさ」を乗り越えるために本当に大事なことは?

・「生きづらさ」を乗り越えるためには、試行錯誤が必要であり、そのときに訪れる失敗に対して過度に恐れる必要はない。

・そのため、「自分が●●(発達障害など)」だという事実よりも、「自分は●●(発達障害など)だから、生きづらさの改善のために、新しい行動をとってみよう。」という意識が大事である。

 

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おわりに

 さて、今回の対談でも、大変有意義な時間を過ごすことができました。

 対談にご協力いただいた、ぬえさん、本当にありがとうございました。

 この場を借りて、改めてお礼申し上げます。

 今回は、発達障害とHSPの違いについて、テーマとして取り扱ってきました。

 今回のテーマは、障害を取り扱うという意味で、いつもよりも重大なテーマだと思いましたので、覚悟を決めて、綴ってきました。

 また、4時間の長時間にわたる対談を少しも無駄にしたくなかったので、対談のすべてを拾い上げるつもりで、記事を書いてきました。(過去最長の記事になってしまいました。笑)

 私自身も、この対談を通じて、勉強になることがたくさんありました。

 もし、対談を通じて勉強になったことが、この記事を通じて皆さまにも届いているようであれば、それ以上に幸いなことはありません。

 そして、皆さま、長文の記事をここまで読んでいただき、まことにありがとうございました&お疲れ様でした。

 今後も、HSPの人にとっての理想の働き方を追い求めるべく、引き続き対談を実施していきたいと思います。

 それでは、今回はこの辺で終えたいと思います。

 もし、悩んでいる方にとって、少しでもお役に立てたのであれば、大変幸いです。

 それでは、また次回も、よろしくお願いいたします!

 

※2019年5月11日に、第7回対談を実施しました!

 

 

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プロフィール

 

名前:ぽん乃助

 

社会の荒波に揉まれ、猫の皮を被ることになった繊細な人間。世の人間たちの間では、繊細な気質のことをHSPと謳って色んな情報が溢れる中、猫の穿った目線で処世術のヒントっぽいことを呟く。猫パンチのない、穏やかな世界が好き。箱の中で生死を待つのではなく、箱の外に出ることを選択するシュレーディンガーの猫になりたい。

 

 

 

 

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