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HSC(繊細な子)が不登校になった時に親が考えるべきことは?

私(ぽん乃助)
今回は、HSPの特性を持つ子どもであるHSCのことについて、考えていきたいと思います。

 

 HSPとは、生まれつき5人に1人は当てはまる、繊細で敏感な気質の人を指します。(詳しくは、こちらから解説をご覧ください。)

 さて、HSPは生まれつきの気質のため、子どもにも当てはまり、HSPの特性を持つ子どもは「HSC」と呼ばれています。

 HSCということばは、最近よくニュースなどでも取り上げられるようになりましたが、繊細で敏感な気質であるがゆえに、学校の環境や人間関係でうまくいかなかったり、HSCの親が子どもとの向き合い方に悩んだりといった問題が指摘されています。

 中でも、HSCは不登校になりやすいということも指摘されています。

 実は、HSPである私も子ども(小学生・中学生・高校生)の時に、いじめに遭っていたこともあり、繊細である私は「学校に行きたくない」と思ったこともありましたし、実際に中学生のときには親にも泣きながら伝えた経験もあります。

 私の場合は、なんとか学校に通い続けていましたが、そのまま不登校になっていたらどうなっていたのだろうか…と、今でもふと気になる瞬間もあります。

 だからこそ、不登校というテーマについては、私は強い関心を持っておりました。

 実際に、自分の子どもが「学校に行きたくない」と打ち明けたとき、親の立場としてはどのように接するべきなのか?

 これは、本当に難しい問題だと思います。

 今回は、クラウドファウンディングにて、斎藤暁子さんがプロジェクトを立ち上げて制作した書籍『HSCを守りたい』などをもとに、私なりに「HSC(人一倍敏感な子)が不登校になったときに親が考えるべきこと」について、考えていきたいと思います。

 ぜひ、最後までご覧ください!




※私は、医療関係者や臨床心理士の立場ではございません。今回の記事は、あくまで一個人の考察として、理解いただけますと大変幸いです。

 

HSCとは?

(1)HSCの特徴について

 HSCとは、HSPの特性を持つ子どものことを指し、ひと言でいえば「人一倍敏感な子」と言われることが多いです。

 著書では、下記のとおり書かれています。

HSC(Highly Sensitive Child)とは、生まれつき繊細さや感性の鋭さ、慎重さを持つ『とても敏感で感受性が高い”子ども”』のことです。

(中略)

エレイン・N・アーロン博士(アメリカの心理学者)が行ってきた調査や研究によると、子どもの全体の15~20%(ほぼ5人に1人)がHSC(Highly Sensitive Child)に該当すると言われています。

引用(一部改変):斎藤暁子(2019)『HSCを守りたい』風鳴舎

 そして、大人のHSPと同様に、HSCにも「DOES」の性質が当てはまります。

 本ブログでは、「DOES」について、説明してきましたが、改めて下記のとおり、掲載します。

【HSCの4つの性質】

D(Depth of processing、処理の深さ):
ある事柄に対して深く考える特徴

O(Overarousal、神経の高ぶりやすさ):
気分の上下が激しい特徴

E(Emotional intensity、強い感情反応):
相手の気持ちへの共感力が強い特徴

S(Sensory sensitivity、感度のするどさ):
些細なことを察知する特徴

※引用(一部改変):みさきじゅり(2018)「ささいなことに動揺してしまう敏感すぎる人の『仕事の不安』がなくなる本」秀和システム
青字は、本ブログ主の解釈部分

 そして、こちらもHSPと似通ったところがありますが、HSCには次の10個の特徴があると言われます。

【HSCの10の特徴】

①刺激に対して敏感
②刺激を受けやすく、疲れやすい
③慎重に行動する
④共感する能力が高い
⑤自分と他人との間を隔てる「境界」が薄いことが多い
⑥鋭い感性や深みのある考えを持つ
⑦内面の世界に意識が向いていて、豊かなイマジネーションを持つ
⑧人との深いつながりや主体的に生きることを好む
⑨自己肯定感が育ちにくい
⑩自分の気質に合わないことに対して、ストレス反応が表われやすい

引用:斎藤暁子(2019)『HSCを守りたい』風鳴舎

 さて、これまではHSCの特徴について、説明してきました。

 ここまでで分かるとおり、HSCの特徴は、大人のHSPと大きく変わらないことが分かります。

 それでは、次に大人のHSPとの違いについて、考えていきたいと思います。

 

(2)HSP(大人)とHSC(子ども)との違いについて

 HSP(大人)とHSC(子ども)との違いについて、考えることとします。

 基本的には、HSP(大人)とHSC(子ども)の特徴は、近しいことが分かりました。

 それでは、何が違う点なのでしょうか?

 その違いについて、私なりに次のとおり、考察してみました。

【HSP(大人)とHSC(子ども)の違いについて(ブログ主の独自考察)】

・主に置かれる環境
HSP(大人)は勤労の義務を負うため「会社」で働き、HSC(子ども)は教育を受ける権利を有するため「学校」で勉強をする。

・責任
HSP(大人)の言動の責任は自分自身にあり、HSC(子ども)の言動の責任は親にある。

・良い経験や悪い経験による影響
HSP(大人)の精神は安定しており良い経験や悪い経験による影響は小さくて短期的だが、HSC(子ども)の精神は安定しておらず良い経験や悪い経験による影響は大きくて長期的である。

 当たり前っちゃ、当たり前の話かもしれませんが、今回のテーマでは大人と子どもの違いをハッキリさせておくことが前提として大事だと考えるため、明確に整理しました。

 著書内では、HSCのネガティブな点として、次のとおり語られています。

愛着が形成される時期や、子どもが親(養育者)から離れることに不安を感じやすい時期に無理やり引き離される体験をすると、それがトラウマになって心に傷が残り、その後の生活に影響を与えることもあります。特にHSCでは、その傾向が強いのです。

(中略)

気づかないうちに子どもの気質を否定してしまったり、心に傷を負わせて心に傷を負わせてしまったりすることで、自分はダメなんだといった「自己否定感」や「トラウマ(心の傷のこと、心的外傷ともいう)」を抱えた多くのHSCに影響が出ているというのが実情のようです。

引用:斎藤暁子(2019)『HSCを守りたい』風鳴舎

 ここから何が言いたいかというと、先ほど考察したHSP(大人)とHSC(子ども)の違いがあるからこそ、一つひとつの悪い経験によるHSC(子ども)へのダメージの大きさはHSP(大人)よりも深刻であり、HSC(子ども)を良い方向に持って行くためにはその親(養育者)がどのように向き合うかという点に大きく委ねられるということです。

 そして、親にとっては見ることができない「学校」という現場での子どもの過ごし方について、親が介入しなければいけないこともあるということです。

 この点に、HSP(大人)にはない、HSC(子ども)特有の問題があると、私は思うのです。

 

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HSCはなぜ不登校になりやすいのか?

 今回の記事では、「HSCの不登校」について、焦点を当てています。

 その理由は、後述しますが、一般的に不登校が子どもに与える将来への影響が大きいと言われているからです。

 そして、私自身も小学生・中学生・高校生のときにいじめ経験があり、「学校に行きたくない」という強い気持ちを持っていたことも焦点に当てた理由でもあります。

 よく、「いじめは、いじめられる側にも原因がある」と言われることがあります。

 これは断言できますが、いじめられる側には原因は全面的にありません。

 いじめが許される理由が、一つも無いからです。

 だけれども、私自身が、小学生・中学生・高校生のいずれのときもいじめられた経験があるのは、少なからず「いじめられる特徴」を持っていたからだと思います。

 私の場合は、(とくにひどかった中学生時代も含めて)不登校にならず何とか学校に通いました。

 でも、今でも、不登校になったらどのような生活になっていたのか…とふと考えてしまうことがあるのです。

 そして、本日のテーマであるHSCも、人一倍敏感がゆえに学校の環境が苦手で不登校の原因になると言われているのです。

 ニュースでは、次のとおり報道されましたことがあります。

■学校の環境が苦手 不登校の原因にも

HSCは不登校の原因の一つとしても注目されている。

東京都町田市の主婦(33)は一昨年、新聞でHSCを知り、「自分のことだ」と驚いた。中学から私立女子校に通ったが、教室のざわめきや教師の大声が苦手で、通学で満員電車に乗ると疲労感でぐったりした。「そんなことで、と思われるかもしれないけれど本当に消耗した」

引用:産経ニュース「人一倍敏感な子「HSC」 ペースを尊重、自己肯定感育んで」(アクセス日:2019年7月1日)

 そして、HSCが不登校になりやすい原因については、著書内で次のとおり述べられています。

HSCの不登校の多くは、人間関係を含めた学校環境や教育システムに、気質が合っていないことから起こっているものと考えています。

(中略)

外向性を重要視する学校という環境やその人間関係の中で、HSCは気質に合わないことによる多くのストレスと、その中で抱えざるを得なかった「自己否定感」「劣等感」「屈辱感」、また、「学校に行きたくないと言ったこと」「学校に行けなくなったこと」で親に迷惑をかけてしまったという「罪悪感」などによって、身も心も疲弊してしまっていることが多いのです。

繊細で傷つきやすいHSCにとっては、残虐的な体験などの深刻なものだけでなく、小さな出来事でも「トラウマ」となって残っていることが多いようです。

(中略)

それは、からかい・仲間外れ・無視などのいじめを受けたことによるものかもしれません。

(中略)

敏感な子は心の傷を抱えると、過剰に敏感(過敏)になって、さらに傷つきやすくなります。

引用:斎藤暁子(2019)『HSCを守りたい』風鳴舎

 ここから考えられるのは、HSCは学校という環境がそもそも合わず、さらには学校内で経験することに対して心の傷を受けやすく、悪循環に陥りやすいということです。

 さて、ここまで、HSCが不登校になりやすい理由を考えてきました。

 ただ、この状況が我がことに置かれると、かなりシビアな問題になってきます。

 もし、自分の子どもがHSCだったとして、子どもから「学校に行きたくない…」と言われたら、あなたはどのような行動を取るでしょうか?

 子どもの意志を尊重して、不登校を認めますか?それとも、意地でも学校に通わせますか?

 ここには、明確な答えはありません。

 本当に難しい問題だと思います。

 この問題にアプローチするために、まずは不登校が子どもに与える影響などについて、考えていきたいと思います。

 

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不登校は悪なのか?

(1)不登校経験者の予後について

 ここからは、不登校が子どもに与える影響などについて、色んな観点から考えることにします。

 まず、親の立場として、不登校経験者の将来が気になるのではないかと思います。

 著書内でも紹介されていますが、完全不登校だった中学3年生(41,043人)の5年後を追った文部科学省の調査では、下記のことが分かっています。

【上記画像はクリックすると拡大表示されます】

 ここで分かるのは、完全不登校だった中学3年生のうち、少なくとも8割の子どもたちが、普通に学校に行っていたり、仕事をしていたりするということです。

 この数字を見ると、少し安心される方もいるかもしれません。

 ただし、データは一面的に見ると、真実から目を背けることにもなります。

 次に、高校進学率と中退率を見ていくことにします。

 中学3年生のときに完全不登校だった生徒の進学率・中退率と、一般の進学率・中退率を比較することとします。

【上記画像はクリックすると拡大表示されます】

 ここで分かるのは、中学3年生のときに完全不登校だった生徒の進学率・中退率は、一般の数値に比べて大幅に下回るということになります。

 そして、このデータから分かるのは、中学3年生のときに完全不登校だった生徒の「中卒・高校中退率」は約27%にものぼるというわけです。

 「学歴なんて関係ない!」ということも聞くこともありますが、学歴別の就労状況は下記のとおり、かなりの差が生じています。

【上記画像はクリックすると拡大表示されます】

 ここで分かるのは、「中卒・高校中退」者は、無職・失業の割合が多く、就労者の中でも非正規雇用者の割合が大きいのです。

 日本では、改善されつつあるものの、正規雇用と非正規雇用の給与や待遇の差は非常に大きい状況にあります。

 さて、長くなってしまいましたので、整理したいと思います。

 ここで分かったことは、2点あります。

【中学生のとき不登校だった生徒の予後について】

・完全不登校だった中学3年生のうち、少なくとも8割の子どもたちが、普通に学校に行っていたり、仕事をしていたりする。

・その一方で、中学3年生のときに完全不登校だった生徒の「中卒・高校中退率」は非常に高い。そして、「中卒・高校中退」者は、無職・失業の割合が多く、就労者の中でも非正規雇用者の割合が大きい現状にある。

 さて、これを見て、不登校が悪なのかどうか…という点については、人によって判断が大きく割れるのではないかと思います。

 人によっては、子どもには自分らしく生きてほしいから、無理して学校に行ってトラウマや自己肯定感の低下を招いてほしくない…そして、不登校でも就労・修学している子が多いしいいじゃないかって思う人もいると思います。

 その一方で、子どもには、頑張って学校で勉強してもらって、定職についてもらいたいという気持ちが強い人もいると思います。

 詳細は後述しますが、不登校を容認するのかどうかという点については、親と子の覚悟を揃えることが何よりも大事だと思っています。

 どの選択をするにしても、正解・不正解はないのですが、覚悟が中途半端では良くない結果を招くと考えています。

 次に、不登校が子どもに与える心身への影響について、考えていきたいと思います。

 

(2)不登校が子どもに与える心身への影響について

 先ほどは、不登校経験者の予後について、考えてきました。

 次に、不登校が子どもに与える心身への影響について、考えることにします。

 恐らく、この点について、気になっている人も多いのではないでしょうか。

 まずは、心理的な影響について、考えることにします。

 臨床心理の場における一つの見解として、次のとおり、言われております。

不登校経験過程と自尊感情の低下との間に大きな関連性がある

(中略)

学童期を終えた後も、不登校であった経験が自尊感情を低下させる可能性は、数多くの研究で実証されています。

(中略)

医療現場における不登校の予後に関する追跡研究では「数年以上の長い経過で見ると不登校の子どもの70~80%は社会的に良好な適応を示すようになるが、20~30%ほどは社会適応の難しい不安定な状態にとどまるものがある」と報告されています。

引用:中西康介(2017)『家族と向き合う不登校臨床ー保護者の積極的な関わりを引き出すために』誠信書房

 つまり、不登校が子どもに与える心理的な(自尊感情への)悪影響は、2~3割の人に長期間にわたって与えるということが分かります。

 そして、身体への影響については、次のとおり言われています。

第二次性徴期の子どもの身体は、まだ各臓器が十分な大きさには至っておらず、それは消化器官である肝臓で特に顕著です。この時期に年齢相応の栄養がとれていない場合、肝臓をはじめ各臓器の成長は止まります。この場合、成人になってからどれだけ健康的な食生活をしても、生涯にわたって臓器は未成熟のままとなります。

(中略)

学童期に家にこもっている時間が長い場合、基本的には活動量が減るためお腹があまり空きません。っまれに肥満を心配しなければならないケースもありますが、そのような場合でも過食・拒食を繰り返す摂食障害が併存していることが多く、それゆえまずは栄養不足のほうを疑ってかかる必要があります。

(中略)

睡眠リズム障害も深刻です。学生時代からの睡眠リズムの乱れを、成人した以降もずっと継続しているケースは非常に多く認められます。

(中略)

睡眠リズムの悪循環に、食生活の悪循環も加わるとさらに深刻な悪循環に陥ります。つまり、睡眠リズムが狂うことで、食事をとる時間や空腹を感じる時間に狂いが生じ、その結果栄養が十分にとれず、ホルモンの原料が体内に蓄積されなくなる。そうなると、悪循環が悪循環をよび、どこからどのように手をつけたらいいのかさえ見当がつかなくなります。

(中略)

そのうえ、陽に当たらない生活によって、脳内伝達物質セロトニンがうまく機能せず、抑うつ気分・意欲の低下・情緒不安定などにもつながります。

引用:中西康介(2017)『家族と向き合う不登校臨床ー保護者の積極的な関わりを引き出すために』誠信書房

 不登校になると、家に引きこもりがちになるというのはよく指摘されていますが、健康面でも悪影響を及ぼす可能性も大きくなるということが、ここで分かると思います。

 それでは、子どもが不登校を訴えたとき、親はどのように介入すべきなのか…?ということを気にする人も多いかと思います。

 そこで、子どもが不登校になったときの親の介入の影響についても考えてみましょう。

 臨床心理の場での一つの見解として、下記のとおり、考えられています。

不登校経験とその後の人生の関連においては、不登校であった経験そのものに付随する「劣等感」もひとつの問題となっているようでした。しかし、さらに踏み込んで自尊感情についていうならば、不登校という経験それ自体よりも、第二次反抗期という一過性において「親が自分のために叱ってくれた」という実感をもてたかどうかのほうが、より重要であると推測されました。

(中略)

不登校であることを容認され、大事に見守れること一辺倒で来てしまった場合は、予後における心理的健康は低い水準に落ち着く可能性が高いということです。

引用:中西康介(2017)『家族と向き合う不登校臨床ー保護者の積極的な関わりを引き出すために』誠信書房

 さて、ここで新たな見解が出てきました。

 大事に見守りすぎることは、親の介入として、心理的に子どもへの悪影響を及ぼす可能性が高いということです。

 このことについて、さらに次のとおり、解説されています。

父性原理は「切断すること」また「筋を通す」「原理原則主義」ということに、その特性をもっているとされています。一方、母性原理の特性は「包含すること」また「感じる・つなぐ・結ぶ」「臨機応変主義」というところにあるとされています。

(中略)

母親役割の中の生得的要因に対する期待が過度に偏重した場合の弊害は、子どもの発達上の問題として「母子共依存」に発展することです。

(中略)

一般家庭に比べてブロークンファミリー(両親が離婚・または別居していた家庭)のほうが不登校に陥る割合がかなり高いことがデータでは示されています。

(中略)

母性原理の「包含する」機能のみが優位に働いているブロークンファミリーでは、子どもは家庭のなかに抱え込まれてしまい、逆に家庭という場から学校という社会へ子どもを「切り離す」機能としての父性原理が働いていないことが多いのです。

引用(一部改変):中西康介(2017)『家族と向き合う不登校臨床ー保護者の積極的な関わりを引き出すために』誠信書房

 つまり、ここで分かるのは、子どもを守ろうとする「母性」の偏重は悪影響を及ぼすことがあり、子どもを家庭から切り離す「父性」とのバランスがとても大事だということが分かります。

 

(3)無理に登校をすると「自己肯定感の低下」や「トラウマ」が生じる

 ここまで臨床心理の場におけるデータや主張から、不登校が子どもに与える影響を考えてきました。

 客観的に考えていくと、不登校は生徒に悪影響が及ぼすため、登校を目指すことが良いと考えられます。

 しかし、この結論は間違いないと思うのですが、この不登校の問題は、客観的な話をしているだけでは前に進みません。

 不登校の問題は、客観的に考えることは大事ですが、子どもの立場に立って考えることもしないといけないと思うのです。

 度々で恐縮ですが、私がいじめられた体験を踏まえて考えられればと思います。

 私がされたことと言えば、「机にゴミが入っている」「靴に画びょうが入っている」「みんなに無視される」「トイレに入っている時に頭から水をかけられる」といったような、ドラマとかでよく見られるような、いわゆるテンプレ的なことはほとんど経験しています。(ここでは語りたくない体験もありますが、黒歴史なのでここまでとします…)

 私の場合は、不登校にはならなかったものの、当時は本当に「学校に行きたくない」という強い気持ちが心の中にありました。

 ただ、時間が経ってしまったため、当時どのような感情を持っていたのか、忘れかけていました…。

 それを思い出させてくれたのが、Twitterのフォロワーさんからオススメいただいた、辻村深月さんの小説『かがみの孤城』でした。

 同小説内では、主人公(名前:こころ)のいじめられた感情として、次のとおり表現されています。

こころは果たして、自分を守れるだろうか。

だから、こころは学校に、行かない。

殺されて、しまうかもしれないから。

自分の家すら安全じゃないと知った、その気持ちのまま、部屋に閉じこもるようになった。

引用:辻村深月(2017)『かがみの孤城』ポプラ社

 そう、まさに、自分の過去を思い出すと、四六時中「殺されてしまうかもしれない」という感情との戦いだったことを思い出しました。

 そして、誰かに助けを求められずに葛藤したり、必要以上に周りの顔色を気にしたりする主人公の姿に私自身の姿を重ね、過去の記憶が蘇ったかのように、手を震わせながら小説のページをめくっていました。

 ここで言いたいのは、10年以上前もの学校でのいじめ経験が、私自身の中でも「トラウマ」として残っているわけです。

 不登校の原因は、いじめ以外にもありますが、特に義務教育時でうまくいかなかったことは、子どもの胸の傷として残るのです。

 そして、冒頭述べたとおり、HSCは「トラウマ」を招きやすいわけです。

 著書『HSCを守りたい』では、これらの後遺症として、次のとおり述べられています。

過去のつらかった出来事や体験が生々しくよみがえることが起きたり、そのような場面を夢の中で繰り返し見ることもあります。

日常の生活においても、物事や出来事に対してネガティブに捉えやすく、何かうまくいかないことがあるたびに気持ちが沈んだりします。

(中略)

過去のつらかった出来事や体験と同じような状況に置かれた時や、ネガティブな感情を心の奥に抑え込んでしまっていたような、過去と同じ関係性のパターンに出合ったとき、当時抑圧された感情や身体感覚が湧き出します。

(中略)

意識的、または無意識のうちに、ストレスやトラウマに関連した場所・人・場面など、不安を呼び起こすような状況を避けていることもあります。

引用:斎藤暁子(2019)『HSCを守りたい』風鳴舎

 そう、つまり、大人になっても心にネガティブな感情や恐怖心を持ったまま、育ってしまう可能性が大いにあるというわけです。

 これこそがまさに、「自己肯定感の低下」にもつながっていると考えます。

「自己肯定感」は、人間関係や仕事をうまくやっていくための重要な要素であるため、特に子どものうちに「自己肯定感の低下」を招いてしまうのは、その子自身の将来にわたっての幸福度の低下にもつながりうるというわけです。

 私が学生の時に難を経験したということもあるかもしれませんが、不登校が悪だと決めつけるのは、子どもの心情を踏まえると、あまりに酷だと思うのです。

※以前、HSPの人がトラウマを抱えやすい理由とその克服方法について、記事にまとめたことがありますので、気になる人は、併せて以下のリンクからご覧ください。

 

 

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HSCが不登校になったときに親が考えるべきことは?

(1)子どもの登校を目指すために

 これまで「不登校」について、色々な観点で考えてきました。

 その中で、「不登校」は、心身的に悪影響を与えることが分かってきました。

 そのため、登校を目指すというのが、社会的に見ても一番わだかまりのない方法だと思います。

 臨床心理の場の一つの見解として、治療の方針のあるべき姿として、次のとおり主張されています。

1)「完全登校」できない日でも諦めずに「部分登校」を目指すこと

2)体調の悪さを訴えて登校できない場合は病院へ連れてくること

3)家からどうにも出られない場合であっても規則正しい生活リズムを守ること

引用:中西康介(2017)『家族と向き合う不登校臨床ー保護者の積極的な関わりを引き出すために』誠信書房

 子どもの将来的な心身を守るためにも、この3つの方針は、とても大事な考え方になるのではないかと思います。

 特に、「部分登校」を目指すというのは、大事なポイントだと思います。

 学校に行くか行かないかといった「オール・オア・ナッシング」の考え方を持つ人もいますが、実際には教室に通うのではなく、保健室登校などといった手段もあるのです。

 また、親だけで悩みを抱えるのも相当に心身的な負荷が大きいため、学校の先生やスクールカウンセラーと密に相談しながら、子どもの進路を考えると言うことも重要だと考えます。

 まずはあらゆる手段があることを頭に入れておき、登校を目指すということが望まれるのではないかと思います。

 

(2)代替教育の手段も検討する

 先ほどは登校を目指す観点で述べてきましたが、あまりに子どものトラウマが大きすぎて、学校に向かうことすら難しいという場合もあります。

 先述のとおり、学校教育の問題は理想論だけでは語れず、子どもの張本人の気持ちを尊重せずに、前に話を進めることはできません。

 ストレスなどで子どもが学校にトラウマを抱えてしまい、登校が難しくなった場合は、代替教育も一つの手段として考えられます。

 著書では、次のとおり述べられています。

2016年12月「教育機会確保法案」が国会で可決、成立しました。

(中略)

不登校の子どもが学校以外の場で行なう「多様で適切な学習活動」や、個々の子どもの「休養の必要性」、また義務教育を受けられなかった人向けの「夜間中学などで修学できるような措置」などが新たに加わり、代替教育の整備に向けての大きな一歩として、推進者からは評価されています。

引用:中西康介(2017)『家族と向き合う不登校臨床ー保護者の積極的な関わりを引き出すために』誠信書房

 ここで分かるとおり、日本においても、義務教育に代わる代替教育が認められはじめているというわけです。

 私は、法律で「休養の必要性」が認められたとおり、「不登校」は悪だと思いません。

 だけれども、学力が落ちてしまうという現実からは、目を背けることができません。

 民間支援ではフリースクールなども増えてきていますし、在宅教育のツールも増えてきています。

 著書『HSCを守りたい』でも、HSCにとっては「個性を花開かせるための環境」が何よりも大事であり、義務教育(HSCにとって合わない環境)にこだわる必要性がないことが述べられているとともに、代替教育の手段を事細かに綴られています。

 ただ、代替教育は日本ではその歴史も浅いため、就職において、どのような形でプラスに寄与するのか分からない部分もあります。

 だからこそ、リスクも許容した上で、選択することが大事だと思います。

 

(3)親と子が選んだ道に納得し、覚悟を持つ

 著書『HSCを守りたい』の筆者である斎藤暁子さんは、自分の子どもに合った教育環境として、「ホームスクール」という選択肢をとっています。

 もちろんのこと、斎藤暁子さんは「ホームスクール」が最適だと主張しているわけではありません。

 著書内では、次のとおり述べられています。

「息子が学んでいくための本人の気質に合った方法や環境は、ホームスクールである」という選択に私たち親が確信を持てたことは、私たち家族にとってとても大きかったと言えます。

このようにして本人も私たち親も、「学校を選ばない」という主体的な意志に基づいた決断ができていったというわけです。

引用:斎藤暁子(2019)『HSCを守りたい』風鳴舎

 自分の子どもが不登校になった場合、部分登校や代替教育など、たくさんの手段があることを頭に入れておき、じっくりと検討することが大事です。

 ただ、何よりも大事なのは、子どもも親も選んだ道に納得し、覚悟を持つことだと思うのです。

 子どもが「学校に行きたくない」と言っていたとしても、本心としては学校に行きたいという例も、多くあります。

 また、先ほど紹介した辻村深月さんの小説『かがみの孤城』でも描かれていますが、親が学校に行ってくれない子どもに対する不安や普通の子とは違う不安など、いくら親がコトバにして言わなくても、子ども自身が一番、親の様子を感じ取ってしまうのです。

 イヤなことを抱えつつも何とか学校を通う選択肢を選ぶのも、部分教育という選択肢を選ぶのも、代替教育という選択肢を選ぶのも、すべてメリット・デメリットがあります。

 だからこそ、選んだ選択に後ろめたさを持たず、覚悟を持たなければいけないと思うのです。

 そのため、親と子の対話はもちろん大事です。

 また、先述したとおり、当事者だけで悩みを抱えず、学校の先生やスクールカウンセラーと密に相談することが大事です。

 臨床の現場においても、一人ひとりの行く道において、メリット・デメリットの検討が深く行なわれています。

 長くなりましたが、これまでの話をまとめると、HSCの不登校の問題にあたっては、たくさんの選択肢を持ち、多くの関係者を巻き込んでじっくりと検討し、選んだ選択には親も子も覚悟を持つということが寛容なのではないかと私は考えます。

 

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まとめ

●HSCとは?

・HSCとは、HSPの特性を持つ子どものことを指し、ひと言でいえば「人一倍敏感な子」である。

一つひとつの悪い経験によるHSC(子ども)へのダメージの大きさはHSP(大人)よりも深刻であり、HSC(子ども)を良い方向に持って行くためには、その親(養育者)がどのように向き合うかという点に大きく委ねられている。そして、親にとっては見ることができない「学校」という現場での子どもの過ごし方について、親が介入しなければいけないこともあるという点に、HSC特有の問題がある。

 

●HSCはなぜ不登校になりやすいのか?

・HSCは繊細で敏感な気質のため、学校という環境がそもそも合わず、さらには学校内で経験すること(からかい・仲間はずれ・無視などのいじめ)に対して心の傷を受けやすく(トラウマを抱えやすく)、悪循環に陥りやすいため

 

●不登校は悪なのか?

・中学生のとき不登校だった生徒の予後として、完全不登校だった中学3年生のうち、少なくとも8割の子どもたちが、普通に学校に行っていたり、仕事をしていたりする。その一方で、中学3年生のときに完全不登校だった生徒の「中卒・高校中退率」は非常に高い。そして、「中卒・高校中退」者は、無職・失業の割合が多く、就労者の中でも非正規雇用者の割合が大きい現状にある。

・不登校が子どもに与える心理的な(自尊感情への)悪影響は、2~3割の人に長期間にわたって与える。また、不登校になると、家に引きこもりがちになるというのはよく指摘されていますが、健康面でも悪影響を及ぼす可能性も大きくなる。また、親が子どもを大事に見守りすぎることは、親の介入として、心理的に子どもへの悪影響を及ぼす可能性が高い。

・このように客観的に考えると、不登校は子どもへの悪影響が大きいと考えられる。しかし、特に義務教育時でうまくいかなかったことは、子どもの胸の傷として残り、無理に登校をすることで「自己肯定感の低下」を招くことも考えられる。また、いじめなどの学校の出来事はあまりにツラいものであり、不登校が悪だと決めつけるのは、子どもの心情を踏まえると、あまりに酷である。

 

●HSCが不登校になったときに親が考えるべきことは?

・「不登校」は心身的に悪影響を与えるため、登校を目指すというのが、社会的に見ても一番わだかまりのない方法だと考えられる。登校を目指すためのヒントとして、臨床心理の現場の一つの見解として、①「完全登校」できない日でも諦めずに「部分登校」を目指すこと、②体調の悪さを訴えて登校できない場合は病院へ連れてくること、③家からどうにも出られない場合であっても規則正しい生活リズムを守ることが示されている。

・ただし、あまりに子どものトラウマが大きすぎて、学校に向かうことすら難しいという場合もある。その場合は、代替教育も一つの手段として考えられる。

・イヤなことを抱えつつも何とか学校を通う選択肢を選ぶのも、部分教育という選択肢を選ぶのも、代替教育という選択肢を選ぶのも、すべてメリット・デメリットがある。HSCの不登校の問題にあたっては、たくさんの選択肢を持ち、多くの関係者を巻き込んでじっくりと検討し、選んだ選択には親も子も覚悟を持つということが大事である。

 

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おわりに

 さて、今回の記事はいかがでしたでしょうか。

 テーマが「HSCの不登校」ということで、かなり重いテーマを取り上げてきました。

 このテーマを取り上げてきた理由として、本文にも書いてきましたが、私もそれ相応のツラい学生時代を送ってきたからです。

 だからこそ、本当は思い出したくない過去と向き合い、その過去の経験も踏まえて、記事にすることとしました。

 今回の記事執筆に当たっては、クラウドファウンディングにて、斎藤暁子さんがプロジェクトを立ち上げて制作した書籍『HSCを守りたい』を大変参考にさせていただきました。

 この場を借りて、お礼させていただきます。ありがとうございました。

 私は養育者の立場でないため、記事に足りない観点もあるかもしれません。

 ただ、私なりに、厳しい現実も見ながら、この難しいテーマについて考えてきました。

 そのため、一個人としての考えとして、皆さまの心に留めていただけますと大変幸いです。

 それでは、今回はこの辺で終えたいと思います。

 もし、悩んでいる方にとって、少しでもお役に立てたのであれば、大変幸いです。

 それでは、また次回も、よろしくお願いいたします!

コメント

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  1. 2019年 7月 05日

プロフィール

 

こんにちは、ぽん乃助と申します。

 

敏感で繊細なHSPの人にとっての働き方戦略を本気で考えるアラサーの企業戦士です。

 

社会人1年目の時にパワハラを受け、うつ病になってしまい、その時を境にメンタルヘルスや心理学の分野に興味を持ちました。

 

HSPの仕事の悩みや適職、特徴や長所を活かした働き方、疲れやすさの改善や休み方、発達障害や内向型との違い、HSS特有のツラさと生き方戦略など…

 

あらゆる観点から、HSPの人が働きながら「生きづらさ」を残り超えるためのヒントを、本ブログやTwitterを通じて発信しています!

 

 

 

 

 

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