閉じる
  1. 【HSP対談vol.7】ブラック企業をきっぱり辞める方法は?
  2. HSPの人が自分を変えて幸せな働き方を実現する方法とは?
  3. 【HSP対談vol.8】HSPや発達障害の人の仕事の悩みとは?
  4. 【HSP対談vol.5】才能を活かすフリーランスの働き方とは?
  5. HSPの会社員が精神摩耗したらまず最初に何をするか?
  6. 【連続対談企画#4】HSPブームを受けておがたちえさんは何を思う?
  7. HSPや発達障害の発信者・支援者にとっての大事な考え方とは?
  8. 繊細で敏感な気質(HSP)は遺伝する?本当に5人に1人なの?
  9. HSPの人がパワハラされた場合の対処法は?入社NGな会社の特徴も
  10. メンタルやコミュ力を30倍速で強化する心理学本の読み方とは?
閉じる
閉じる
  1. 繊細な人は「激しい議論」とどう向き合うべきか?(アベプラに出演してみて…
  2. HSPの会社員が精神摩耗したらまず最初に何をするか?
  3. HSPを巡る現況。そしていま発信者に求められることは?(後編)
  4. HSPを巡る現況。そしていま発信者に求められることとは?(前編)
  5. 【対談】HSPの人が働きやすい環境を考える#06
  6. 【対談】HSPの人が働きやすい環境を考える#05
  7. 【対談】HSPの人が働きやすい環境を考える#04
  8. 【対談】HSPの人が働きやすい環境を考える#03
  9. 【対談】HSPの人が働きやすい環境を考える#02
  10. 【対談】HSPの人が働きやすい環境を考える#01
閉じる

HSP働き方戦略室|明日から使える処方箋をあなたに。

【HSP対談vol.7】ブラック企業をきっぱり辞める方法は?

私(ぽん乃助)
HSPの働き方に関する7回目の対談を実施しました!対談で分かったことや気づいたことをまとめていきます!

 

 2019年5月11日、HSPの働き方に関する7回目の対談を実施しました!

 HSPとは、5人に1人に当てはまる、生まれつき繊細で敏感な気質を持つ人を指します。(詳しくは、こちらから解説をご覧ください。)

 HSPの人は、繊細で敏感な性格がゆえに仕事で悩みを抱えやすく、「どのような仕事が向いているのか?」ということについては、大きな課題とされています。

 そのため、HSPの人にとっての最適な働き方を探るべく、色んな方々と対談を実施しています。

 前回の対談の模様も記事にまとめておりますので、気になる方はぜひ、以下のリンクからご覧ください!

 

 

 今回は、のんびりHSPブロガーとしてご活躍されている、りょうたさんをお相手に迎えました。

 りょうたさんは、ブログを中心に、HSPの方々に対して、生きづらさを乗り越えるための方法などを発信されている方であります。

 そして、ブログのオンラインサロンやコワーキングスペースの運営といったお仕事も並行してされており、現在は企業から独立し、「自分のペースで働く」ことを体現されています。

 ただ、独立という選択肢を選んだりょうたさんですが、以前はブラック企業で勤めていたこともあり、長期間にわたり体調不良や自信喪失に苦しんでいた時期もあったそうです。

 きっと、ブラック企業に勤めるHSPの人の中にも、辞めたくても辞められなくて苦しんでいる人がいるのではないかと思います。

 そこで、今回は、りょうたさんから、ブラック企業の洗脳から身を守り、辞めるための方法をうかがいました。

 また、今回は初めて、男性のHSP同士の1対1の対談となりましたので、HSPの男性特有のつらさについても語り合いました。

 それでは、対談で見えてきた「HSPの人がブラック企業の洗脳に惑わされずに辞める方法」や「HSPの男性特有のつらさ」について、綴っていきたいと思います。




 

対談の概要について

(1)対談の趣旨

日時:2019年5月11日(土)19時30分~21時30分

場所:オンラインにて対談

 いつもと同じく、今回の対談に至る経緯をご説明したいと思います。

 HSPの人は、繊細で敏感な性格がゆえに仕事で悩みを抱えやすく、「どのような仕事が向いているのか?」ということについては、インターネット上で多くの回数が検索されており、大きな課題とされています。

 HSPの人にとっての適職は、本などでは次のとおり、記載されています。

【HSPの人にとっての適職】

・画家や音楽家、詩人、小説家、写真家、俳優、舞台監督や映画監督などの芸術家(HSPの持つ豊かな情感やイマジネーション、鋭い感受性やひらめきを活かせる仕事)

・デザイナー、カメラマン、コピーライター、イラストレーターなどのクリエイティブな業種(ひらめきやセンス、感受性といったものが要求され、1人で机や作業台に向かって自分のペースで行える仕事)

・企画営業などの自身の企画をクライアントに提案する職種(一般組織における、アイデアやひらめきを大切にする仕事)

・商品の開発や商品の欠陥チェックなどの敏感なセンサーを用いる職種(一般組織における、敏感な感覚や直観力、粘り強さを活かせる職種)

参考:長沼睦雄(2016)『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』青春出版社

 

 でも、私ははじめてこれを見たときに、HSPの人がこうした適職に就くのはハードルが高いんじゃないかと思ったんですね。

 職場の状況なんて、会社の中に入ってみないとわかりません。

 そして、日本はジョブローテーションを行う会社も多いですから、もし自分に合う仕事にありつけたとしても、その仕事をやり続けることは難しい状況にあります。

 その問題意識が私にはあったため、適職を求めて、転職や独立をしたことで、逆にミスマッチで後悔したHSPの人も多いのではないかと思っていました。

 そこで、Twitterで、転職などを行ったことのあるHSPの人を対象に、アンケートをとってみました。

 そうすると驚くべき結果が分かりました…!

 なんと、「転職などを行ったことで、働きやすくなった」と答えた人が、85%以上も占めていたのです!

 「以前の環境の方が良かった」と答える人がもっと多いと思ったので、この結果には驚くとともに、この結果を見て、私は「HSPの人が適職を求めて、転職などを行うことは合理的!」だという結論に至りました。

 このアンケートの結果を踏まえ、たくさんの仕事が溢れる中で、HSPのより良い働き方を追い求めるべく、HSPの方々などを対象に対談を続けて実施しています。

 今の会社を辞められないけど、なかなか辞めにくい…ということで、おそらく我慢しながら働いている人も多いのではないでしょうか?

 でも、もしかしたら、それは自分の会社がブラック企業で、あなたが辞めないように洗脳されているのかもしれません。

 そこで、今回は、ブラック企業の洗脳から身を守るための方法をテーマに、対談を実施しました。

 

(2)対談のお相手(りょうたさん)について

・大学卒業後、複数の職場でのご経験を経て、今は企業から独立し、ブロガーをしながら、オンラインサロンとコワーキングスペースの運営などをお仕事にされています。かつてブラック企業に勤めていたご経験が、とてつもなく心をえぐるような、濃いものでした…。

・HSPを知ったきっかけは、他のHSPの方のブログを通じて知ったとのこと。活動の拠点は生まれ育った水戸であり、「水戸」というワードが対談中かなり出てきたこともあり、「水戸」への愛を感じました。

・とにかくしっかりされていて、自分のコトバで伝えられることは何か…ということを終始考えていらっしゃる方でした。「これだ!」と思ったら、すぐに行動に移せる力も併せ持っており、お話を伺ってて「すごいなぁ…」と声に何度も漏らしてしまいました…。笑

りょうたさんのブログ→こちら

りょうたさんのTwitter→こちら

 

スポンサーリンク

対談を通じて分かったこととは?

(1)HSPの人が合わない仕事

 さて、まずはHSPの人が合わない仕事を考えるべく、色々な仕事や職場をご経験されてきたりょうたさんに、どういった部分が合わずに転職してきたのかということについて聞いてみました。

私(ぽん乃助)
りょうたさんは、色々な仕事や職場を経験をされてきた中で、どういった部分が合わないと思って転職されたのですか?

りょうたさん
大卒後は、総務・経理などの事務職をしていたのですが、電話や事務処理など常にマルチタスクが求められる職場でした。HSPの人はマルチタスクが苦手と言われますが、まさに私もそれで、毎日が疲れる日々でした。

私(ぽん乃助)
転職を決意されたきっかけは、いつだったのですか?

りょうたさん
マルチタスクがうまくこなせず周囲を気にしすぎるあまり、精神的に鬱寸前まで追い込まれ、体はひどい胃腸炎を患ってしまったことがきっかけです。同僚などに相談しても「気にしすぎ…」だと退職を止められましたが、さすがに心身に限界がきていたので退職することにしました。

 

 HSPの人は色んなことが気になってしまうので、りょうたさんが経験されたマルチタスクが常に求められるような職場は、苦手な人も多いのではないかと思います。

 そのため、HSPの人にとって、マルチタスクが常に求められて、一つのことにじっくり考えられる余裕を作ることができない職場は向いていないと言えるのではないかと思います。

 とはいえ、どんな職場であっても、少なからずマルチタスクをこなす能力を求められるのではないかと思います。

 そこで、以前にマルチタスクが苦手なHSPの人に向けて、todoリストの作り方を記事にまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください!

 

 

 また、りょうたさんはこのとき、同僚に相談しても退職を止められるというご経験をされています。

 これは、後々重要になってくるキーワードなので、覚えておいてくださいね。

 さて、りょうたさんが選んだ次の職場のエピソードについても、うかがってみました。

私(ぽん乃助)
事務職の会社をご退職した後、次の仕事は何をされていたのですか?

りょうたさん
塾の講師として、働いていました。でも、この職場も4年ほど経ったときに、退職しました。

私(ぽん乃助)
それはどのような理由だったのでしょうか…?

りょうたさん
人間関係は良好だったのですが、労働時間がとても長く、残業不払いの問題も横行しており、典型的なブラック企業だったからです。この職場では体力と気力が追い込まれながらも働き続けたのですが、前の職場同様にストレスが原因で、ひどい胃腸炎に長期間悩まされていました。

 

 出ました、ブラック企業です!

 本ブログでは、その定義が曖昧なことから、ブラック企業というコトバはあまり使ってきませんでした。

 でも、りょうたさんのお話をうかがう限り、労働時間の長さや残業不払いの問題が明らかに認められるため、法的な意味でもブラック企業だと言える職場だと思いました。

 疲れやすいHSPの人にとって、「労働時間が長い」ということは避けるべきですし、ブラック企業に勤めているのであれば、即刻辞めるべきでしょう。

 ただ、りょうたさんは、このブラック企業をすぐに辞めることができなかったそうです…。

 

(2)HSPの人がブラック企業の洗脳に惑わされずに辞める方法

 さて、ブラック企業は即刻辞めるべきだと言われますが、りょうたさんはすぐに辞めることができなかったそうです。

 そこで、ブラック企業を辞めるまでの経緯を、うかがってみました。

私(ぽん乃助)
塾の講師を辞めようと思ったのはいつ頃だったのですか?

りょうたさん
辞めたのは、塾講師になってから4年目のときですが、実は2年目の時から辞めたいと思っていました。2年目の時から心身的に限界がきており、このときから、ひどい胃腸炎に悩まされていたのです…。

私(ぽん乃助)
そんな前から、体調不良に陥ってしまっていたのですね…。どうして、すぐに辞めることができなかったのでしょうか?

りょうたさん
前の職場はすぐに辞めてしまったこともあり、「3年は仕事をしなければいけない…」という社会的な風潮が頭によぎっていたからです。

 

 心身的に限界がきていて、明らかな体調不良があるのに、働き続けてしまう…どこかで聞いたような…。

 そう、まさしく、私自身も同じ経験をしました。

 人の良いHSPの人ほど、精神的に追い込まれれば追い込まれるほど、休職や退職といった判断がしづらくなると私は思っています。

 その一つの原因として、りょうたさんが仰っていたように、日本では「多少の苦労があっても、その場所で働き続ける」ということが美徳とされている風潮があるからです。

 逆に、「同じ仕事が長く続かない人=ダメな人」という風潮も、強く私は感じています。

 だからこそ、その点を敏感に感じ取ってしまうHSPの人は、自分に合わない職場でのストレスで、明らかな体調不良に陥っても、なかなか辞められない人が多いのではないかと思います。

 以前に、私自身がうつ病になっても休職できなかった経験を踏まえ、その時の教訓をまとめたことがありますので、気になる人は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。

 

 

 さて、そんなりょうたさんに、ご自身の経験をもとに、HSPの人がブラック企業や合わない職場を辞めるべきタイミングを聞いてみました。

私(ぽん乃助)
今振り返ってみて、仕事はどのタイミングで辞めるべきだと思いますか?

りょうたさん
私はひどい胃腸炎におそわれましたが、仕事を続けてしまいました。本来であれば、心身に病状が表われた時点で、それは辞めるべきタイミングだったと思います。今振り返ってみると、自分が辞めたタイミングは遅かった…と思います。

私(ぽん乃助)
他にもそう感じるエピソードはありましたか?

りょうたさん
はい。結局私が辞めるまでは、退職する人が少ない職場であったのですが、私が辞めた後は多くの人が辞めていきました…。みんな、薄々とブラック企業であることは分かりつつも、他の人が辞めていなかったので、辞められなかったのだと思います。

 

 これは、まさにりょうたさんの仰るとおりだと思いました。

 ストレスで心身的な病気が深刻化すればするほど、療養は難しくなってしまいますし、治ったとしても病気の再発率が高くなってしまいます。

 特に精神障害にかかってしまうと、次の図からも分かるとおり、年齢関係無しに働くこと自体が難しくなってしまうのです。

【上記画像はクリックすると拡大表示されます】

 だから、病状が悪化する前に、休職や退職という選択肢をとることが重要なのではないかと私は思います。

 そして、りょうたさんがご退職した後に、たくさんの人が辞めていったというエピソードも私の中では、引っかかりました。

 おそらく、自分の職場が明らかなブラック企業であることが分かっていても、周りの人が辞めていないと同調圧力に負けてしまい、「働きづらいのは自分のせいだ…」といった自責思考に陥り、なかなか辞めることができなくなるのだと思います。

 以前、このブログでも紹介した本のタイトルである「死ぬくらいなら会社辞めればができない理由」の一つが、まさにこれにあたると考えています。

 

 私は、まさにブラック企業が辞められない理由は、辞めないように頭が洗脳されてしまっているからだと思います。

 そこで、りょうたさんに、どうしてブラック企業を辞めることができたのか、うかがってみました。

私(ぽん乃助)
時間はかかってしまったと思いますが、りょうたさんは、塾の講師を辞めることができました。そのきっかけは、何かあったのでしょうか?

りょうたさん
はい、私は社外の人に相談したことがきっかけで辞めることができました。塾の講師として働いていたとき、高校の部活の先輩たちに、お話を聞いてもらったことがありました。そこで、ブラック企業からの洗脳が解け、気持ちや考えが整理されたことが大きなきっかけになりました。あとで話を聞いてみると、その時の自分はゲッソリとしていて、体調不良が他の人からも分かるレベルだったそうです…。

私(ぽん乃助)
そうなんですね…。ひとりで抱え込まないということがとても大切だと言えそうですね。

りょうたさん
そうですね。そして、その後に部活の顧問に相談する機会もあったんですね。そこで、部活の顧問からアドバイスを受けたり、転職相談先を紹介したりしてもらいました。これがきっかけで、冷静に自分の仕事について考え直し、退職という選択肢をとることができました。

 

 私はこれを聞いて、なるほど…と思いました。

 どうしても、お話をする相手が会社の中の交友関係にとどまってしまうと、今自分が置かれている職場の状況が普通なのか、異常なのかということが分からなくなってしまうということです。

 だからこそ、仕事のことを裏表なく相談できる人を社外に作っておく…ということはとても大事だと言えそうですね。

 そして、りょうたさんは、次のことも仰っていました。

りょうたさん
会社を辞めるどうか…ということを社内の人に相談するのは絶対にダメです。それは、長く同じ会社に勤めている人は自分の会社が「当たり前」に見えていて、違う会社を経験している人は「ウチはマシ」だと思っているからです。なので、絶対に解決策は出てきません。そして、噂をされて面倒なことにもなりかねないです。

 

 これは先述したエピソードですが、りょうたさんが事務職のときに、同僚に相談した結果、具体的な解決策を得られなかった反省もあるのではないかと思いました。

 確かに、社内の人に「会社を辞めるかどうか…」ということを相談するのは、ひとつも良いことがありませんので、すべきでない…と私も思いました。

 私自身の経験としては、社外の一つの相談先としてカウンセリングを受けており、うつ病から復帰するにあたり、カウンセラーさんに大変助けていただきました。

 以前に、カウンセリングの概要やオススメする理由について記事にまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。

 

 

(3)HSPの人の長所

 さて、今度はHSPの人の長所について、話したいと思い、このような質問をぶつけてみました。

私(ぽん乃助)
お互いに、HSPの人にお会いしてきた中で、どういう点が長所な人が多いと思いましたか?

りょうたさん
私は、お会いしてきた中で、人柄が良くて親しみやすい人が多いと思いました。

私(ぽん乃助)
私もそう思います。人間関係の構築にあたっては有利と言えそうですね。これまでHSPの人と会ってきた中で、見知らぬ人に道を聞かれるという人が多かったです。笑 ただ、逆にそれが短所になることもあるんですよね。

りょうたさん
確かに、他人にいいようにつかわれてしまうケースもありますよね。

 

 ここの話にもあったとおり、まさに人柄が良くて親しみやすいというのは、HSPの人の長所といえるのではないでしょうか。

 おそらく、仕事などの人間関係の構築にあたっては、この特性を活かしてきた人も多いのではないかと思います。

 その一方で、りょうたさんの仰るとおり、他人にいいように使われてしまいやすいという短所も持ち合わせていると思っています。

 要は、舐められやすいということですよね。

 私は、攻撃的な人が苦手だと感じるHSPの人が多く、ついついうまくつき合おうとし、無理なお願いなども引き受けてしまうケースがよくあるのではないかと考えています。

 以前に、苦手な人からの攻撃に対処するための方法を記事にまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。

 

 

 さて、次に、私が思うHSPの人の長所についても、ぶつけてみました。

私(ぽん乃助)
私はHSPの人の、思慮深いという特性も長所なのではないかと思っています。

りょうたさん
確かにお会いしてきた人の中でも、よく考えていらっしゃる方が多かったです。

私(ぽん乃助)
ただ、一つのことを深く考えてしまい、4~5人の打合せだと話が追えないときもあります。

りょうたさん
よく分かります。しかも、パッと意見を言うことが難しいですよね。

私(ぽん乃助)
逆に、場の空気を読みすぎて意見を言えないときもありますよね。

りょうたさん
仕事以外だと、相手が言った冗談を、深い意図があるのではないかと疑ってしまうこともあります…。

私(ぽん乃助)
確かにそうですね。私は、自分が言ったコトバで「相手を傷つけたのではないか…?」と気にしてしまうことがあります…。

 

 私は、この会話を通じて、HSPの人は思慮深いため、大勢の人に自分の意見を伝えたり、1対1の場で相手に親身にアドバイスを与えたりすることが得意な人が多いのではないかと思いました。

 その一方で、常に話題が揺れ動く大勢の打合せの場で、話を追ったり、自分の意見を柔軟に伝えたりするのが苦手な人が多いのではないかと思いました。

 相手の意図を深く疑ったり、相手を傷つけたのではないかと気にしたり…といった気持ちも、思慮深いからこそ生まれてしまうのではないかと思いますが、この思慮深いという特性は、長所として働く場面も多いと思います。

 そして、りょうたさんからは、このようなコメントもありました。

りょうたさん
HSPの人は、記憶力が良いのではないかと思っています。

私(ぽん乃助)
確かに、Twitterでもよく見かける意見ですよね。人は、感情が強く揺れ動いた記憶はよく覚えていると言いますが、HSPの人はまさに感情が揺れ動きやすいため、記憶として覚えていることが多いのではないかと思っています。

りょうたさん
私自身は人の話をよく覚えられるので、仕事を進めやすかったりすることもあります。

 

 記憶力が良いというのは、HSPの人全員に言えるのか、真偽のほどはわかりませんが、少なくともHSPの人は感情が揺れ動きやすいため、印象に残っているエピソードを持っている方は多いのではないでしょうか。

 逆に、記憶力が良いということは、ショックを受けた記憶も長く覚えていることになるので、トラウマを抱えやすいという短所にもつながるのではないかとも思っています。

 さて、HSPの長所について話し合いましたが、会話の中では長所と一緒に短所の話も出てきたため、改めて人間の長所と短所は表裏一体だということを感じました。

 そのため、HSPの特性が長所として働く場面ではうまくそれを活かし、短所として働く場面ではうまくそれに対処することが大事なのだと思いました。

 先ほど、HSPの人はトラウマを抱えやすいのではないかというお話をしましたが、この点の考察と嫌なことを忘れるための方法を記事にまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。

 

 

(4)HSPの人に合っている仕事や人付き合いの仕方

 さて、複数の会社を経てきたりょうたさんですが、今は企業から独立した働き方で、ブロガーやオンラインサロンの運営などをお仕事にされています。

 そこで、今のお仕事について、うかがってみました。

私(ぽん乃助)
今のお仕事は、ご自身に合っていると思いますか?

りょうたさん
自分に合っている仕事ですし、気力や体力が続く仕事でもあります。

私(ぽん乃助)
それは、どうしてですかね?

りょうたさん
仕事の内容もペースも自分で選べるからです。私は、HSPの人は企業で働こうが、独立して働こうが、自分のペースで働けるということが大事なのではないかと思っています。

 

 「自分のペースで働けることが大事」ということも、以前に取り上げましたね。

 そう、HSPキャリアコンサルタントのみさきじゅりさんとお話ししたときも、同じことを仰っていました。(みさきじゅりさんの著書の中でも、この点については言及されています。)

 HSPの人の特性を踏まえて考えてみても、合っている仕事や職場の大きな条件として、「自分のペースで働ける」というのは、ひとつ言えそうですよね。

 本件に関連して、みさきじゅりさんとの対談についても、以前に記事にまとめておりますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。

 

 

 そして、りょうたさんから、こんなコメントもありました。

りょうたさん
実は、就活の時から自分がサラリーマンとして働く絵が想像できませんでした。でも、周りに流されていてやっていたのです…。そして、就活をしていて、ある”違和感”を感じていました。

私(ぽん乃助)
その”違和感”とは…?

りょうたさん
知らない人に数回の面接で判断され、入社し、知らない人と働く…というのはとても危険だと思うのです。

私(ぽん乃助)
確かに、よく考えてみるとそうですよね。私も、日本の採用制度のあり方には思うところがあります。

りょうたさん
今は、企業から独立し、気の知れた仲間とだけとつき合って仕事をしていますが、本当にやりやすいです。

 

 確かに、HSPや内向型の人にとっては、多くの人とつき合わなければいけない…という環境では、気疲れしてしまうことが多いと思います。

 そして、本音もなかなか言えず、それが大きなストレスにつながることも多いのではないでしょうか?

 りょうたさんは、企業から独立した際、人脈を作るためにまずは色んな場に顔を出し、そして、つき合う人を絞っていったといいます。

 あれ…これ、どこかで聞いたような?

 そう、少し前に、本ブログでも紹介した竹下隆一郎氏の著書『内向的な人のためのスタンフォード流ピンポイント人脈術』でも書かれている内容そのものでした!

 以前は、仕事において「苦手な人とつき合うことも大事」と言われていましたが、今はコミュニケーションのあり方が多様化したため、そういうことをしなくても仕事ができる時代に突入しているのです。

 本著書をもとに、以前に内向型やHSPの人のための仕事の人脈術を記事にまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクから読んでみてくださいね。

 

 

(5)HSPの男性特有のつらさ

 さて、今回ははじめてとなる、男性HSP同士の対談となりました。

 そこで、今回は、HSPの男性特有のつらさについて、お話をしたいと思い、色々とうかがってみました。

私(ぽん乃助)
HSPには、女性・男性にとってそれぞれ特有のつらさがあると思っています。

りょうたさん
そうですね。世の中で言われる男らしさとHSPがまさに逆のイメージであるため、男性の場合は、その点でつらい部分があると思っています。

私(ぽん乃助)
そのため、HSPの男性は親しい人であっても、なかなか自分がHSPであると言えないと思っています。また、自分自身がHSPであるということに、男性はたどり着きにくいのではないかと思っています。

りょうたさん
確かに、それは言えそうですね。

私(ぽん乃助)
私は、HSPだと直接言わずに、間接的に主張するようにしています。例えば、「案外、ひとりの時間が好きなんですよね」と言ってみたり。

りょうたさん
私もそうですね。「人混みが苦手です」と言ったりします。

 

 私のブログでは、HSPだと公言すべきか・しないべきか…という点については賛否がよせられますし、Twitterでも同様の議論を見ることがあります。

 私は、この点を踏まえて考えてみたのですが、これには社会的な性差の見られ方というのも関わってくるため、少々問題が複雑になっているのではないかと思います。

 ひとつ言えるのは、特に男性は、社会的な見られ方を考えると、自分がHSPであることについて直接的に人に言いづらいといえるのではないかと思っています。

 そのため、他人に対して、間接的にHSPであることを伝えていくことがより重要なのではないかと思っています。

 以前に、HSPであることを間接的に伝えるための方法を記事にまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。

 

 

(6)「価値のない人間なんていない」ということ

 さて、密の濃い対談も終わりを迎え、最後に、りょうたさんの今後の活動の方針について聞いてみました。

私(ぽん乃助)
りょうたさんは、HSPの方に向けて情報を発信されていますが、今後の活動の方針などは、どのようにお考えでしょうか?

りょうたさん
私のブログの大きな目的の一つは、「価値のない人間はいない」ということを伝えたいということです。今後も、この目的をもとに、HSPの方に向けて情報発信をしたいと思っています。

私(ぽん乃助)
どうして、そのような目的を掲げているのですか?

りょうたさん
実は、ブロガーになる前は農業法人で働いていたのですが、そこをクビになったんですね。その時に、社長から「あなたは価値のない人間です」と言われました。その言葉にひどく傷つき、更には自信喪失状態が続いていて、その後の就職活動すらまともにできませんでした。

私(ぽん乃助)
それは、つらすぎますね…。

りょうたさん
今でもトラウマとして残っています。だけど、ブログに出会い、今はオンラインサロンの運営などもやっていますが、こんな私でも少しは人に役立っていることができていると思っています。だから、HSPの方で自信喪失されている方に、自信を持ってもらいたいと思っています。私自身の経験から、「自分には必ず価値があり、役に立てることがある」ということを強く訴えていきたいと思っています。

 

 いやぁ、これには、少し泣きそうになってしまいました…。笑

 つらい経験を乗り越えたりょうたさんだからこそ、本当に重いコトバとして感じられました。

 自分が役に立てるフィールドがどこかに必ずあるというのは、追い込まれていて自信が喪失しているときこそ、重要な考え方だと思いました。

 私は、自分がHSPであるということを知るのは、「生きづらさ」がきっかけである人が多いと思います。

 逆に、ポジティブな理由で、自分がHSPであることを知る人は、相当少ないのではないかと思っています。

 だけど、りょうたさんのマイナスをプラスに変換する考え方をうかがい、HSPの人の「生きづらさ」ばかりを伝えるのではなく、ポジティブな面を伝えていくこともとても重要だと思いました。

 どうしても、「生きづらさ」ばかりを伝えても、「生きづらさ」を改善できるきっかけにはつながりにくいと思うからです。

 だからこそ、今後とも、HSPの長所をとらえていき、私自身も発信に努めていきたいと思いました。

 なお、以前にHSPの特性の一つである「感受性の強さ」を長所に変えて仕事に活かすための方法を記事にまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。

 

 

スポンサーリンク

まとめ

【本対談で分かったこと(推測含む)】

●HSPの人が合わない仕事とは?

・HSPの人は色んなことが気になってしまうので、マルチタスクが苦手な人が多い。そのため、マルチタスクが常に求められて、一つのことにじっくり考えられる余裕を作ることができない職場は、HSPの人にとって向いていないと考えられる。

・また、疲れやすいHSPの人にとって、「労働時間が長い」ということは避けるべきであり、ブラック企業に勤めているのであれば、なおさら逃げるべきだと考えられる。

 

●HSPの人がブラック企業の洗脳に惑わされずに辞める方法とは?

・自分の職場が明らかなブラック企業であることが分かっていても、周りの人が辞めていないと同調圧力に負けてしまい、「働きづらいのは自分のせいだ…」といった自責思考に陥り、なかなか辞めることができない。また、ブラック企業の中にいると、周りの状況がシャットダウンされてしまうため、辞めてはいけないという考え方に洗脳されてしまうことがある。

・そのため、仕事のことを裏表なく相談できる人を社外に作っておくことが、とても大事である。

・そして、ブラック企業や自分に合わない職場において、心身に病状が表われたら、そのタイミングで休職や退職の選択肢を選ぶべきである。病状が深刻化すると、療養に時間がかかったり、再発しやすくなったりして、働きづらくなるためである。

 

●HSPの人の長所とは?

・人柄が良くて親しみやすく、人間関係の構築にあたっては有利である。その一方で、他人にいいように使われてしまいやすいという短所も持ち合わせている。

・HSPの人は思慮深いため、大勢の人に自分の意見を伝えたり、1対1の場で相手に親身にアドバイスを与えたりすることが得意な人が多い。その一方で、常に話題が揺れ動く大勢の打合せの場で、話を追ったり、自分の意見を柔軟に伝えたりするのが苦手な人が多い。

・HSPの人は記憶力が高く、以前に人がどういうことを話していたかということをよく覚えている。その一方で、ショックを受けた記憶も長く覚えているので、トラウマを抱えやすいという短所にもつながる。

・このように、人間の長所と短所は表裏一体であり、HSPの特性が長所として働く場面ではうまくそれを活かし、短所として働く場面ではうまくそれに対処することが大事である。

 

●HSPの人に合っている仕事や人付き合いの仕方とは?

・HSPの人にとって、企業で働こうが、独立して働こうが、「自分のペースで働ける」という点がとても大事である。

・HSPや内向型の人は、たくさんの人とつき合うことが疲れやストレスにつながるため、人脈を絞ってつき合うことも大事である。

 

●HSPの男性特有のつらさとは?

・世の中で言われる男らしさとHSPは、まさに逆のイメージである。そのため、自分がHSPであることについて、男性は特に、直接的に他人に言いづらい。

・そのため、他人に対して、間接的にHSPであることを伝えていくことが重要である。

 

●「価値のない人間なんていない」という考え方

・なかなか人の役に立てず、自信喪失している人であっても、必ず価値があり、役に立つことのできるフィールドがある。

・自分が役に立てるフィールドがどこかに必ずあるというのは、追い込まれていて自信が喪失しているときこそ、重要な考え方である。

 

スポンサーリンク

おわりに

 さて、今回の対談でも、大変有意義な時間を過ごすことができました。

 対談にご協力いただいた、りょうたさん、本当にありがとうございました。

 この場を借りて、改めてお礼申し上げます。

 かつてはブラック企業を経験し、今では自分のペースを保つ働き方を体現されているりょうたさんだからこそ、色々とためになるお話をおうかがいすることができました。

 今回は、ブラック企業の辞め方やHSPの男性特有のつらさなど、これまで言及できていなかったことに対してアプローチできることができました。

 今後も、色んな人の働き方の事例を集め、HSPの人の理想の働き方を追い求めるべく、引き続き対談を実施していきたいと思います。

 それでは、今回はこの辺で終えたいと思います。

 もし、悩んでいる方にとって、少しでもお役に立てたのであれば、大変幸いです。

 それでは、また次回も、よろしくお願いいたします!

 

※2019年7月14日に、第8回対談を実施しました!

 

 

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

プロフィール

 

名前:ぽん乃助

 

社会の荒波に揉まれ、猫の皮を被ることになった繊細な人間。世の人間たちの間では、繊細な気質のことをHSPと謳って色んな情報が溢れる中、猫の穿った目線で処世術のヒントっぽいことを呟く。猫パンチのない、穏やかな世界が好き。箱の中で生死を待つのではなく、箱の外に出ることを選択するシュレーディンガーの猫になりたい。

 

 

 

 

HSPの人にオススメの記事

ページ上部へ戻る