HSPの人がうつ病になったときに休職できない3つの理由とは?
私はパワハラでうつ病になったことがあります。
そして、その時は休職という選択を取れずに、耐え続けるという選択を取ることになりました。
その時、私は「うつ病」であることを、誰にも気づかれることはありませんが、精神的にも肉体的にも再起不能に近い状態にありました。
今思えば、生きていてよかったと思えますし、あの時の精神状態は、本当に自分自身だと信じられないくらい異常でした。
この経験があったからこそ、私は心理学に興味が向くようになり、更には自分自身がHSPだということに気づき、本ブログを始めたきっかけにもなりました。
あの時の自分と同じような悩みを抱えている方が、恐らく他にもいらっしゃるかと思います。
そこで、今回は「うつ病」であった私の当時の状況を、「休職できなかった理由」に主に焦点を当てながら、記事としたいと思います。
今悩まれている方が、少しでも自分のことを、客観的に見ることができるような一助になれればと考えております。
この記事の目次
「まさか私がうつ病に…!?」
(1)それは社会人1年目での出来事がきっかけだった
私は、社会人1年目のときにうつ病になりました。
正直、あの時の精神状態は、今でも考えられないくらい異常なものでした。
学生と社会人との切り替えのタイミングは、多くの人にとって大きな環境の変化であり、人によってはうつ病発症のきっかけになり得る状況であると考えられます。
当時、学生だった私は、「自分自身がうつ病になるわけがない…!」と思っていました。
今、冷静に考えてみれば、この考えが根幹にあったからこそ、自分自身がうつ病になってしまい、更にはうつ病になってからもよい行動が取れなかったのだと思っています。
さて、社会人になってから間もないころ、私は上司・教育係の先輩から毎日のように指導されるようになりました。
業界特有の雰囲気がありますが、その指導のされ方は、今思えばおかしなものでした。
❝毎日、個室に連れていかれて、1時間以上説教…。❞
❝自分が何とか勇気を振り絞り主張をしようとするも、全て話させてもらえず、話し出しの3秒くらいで批判・反論…。❞
❝時には人がたくさんいる前で、「こいつは仕事で失敗した…」と大げさにアピールするかのような説教…。❞
❝帰る時も携帯に鳴り響く、指導メール…。❞
そして、社会人1年目の2か月目から、かなり遅くまでの残業が続き、四六時中、精神的に休める暇はありませんでした…。
教育係の先輩からは愛が感じられたため、今では感謝できる存在にあります。
しかし、上司から指導される内容はあまりに悲惨なものでした。
今でも思い出したくないですが、例えば次の内容が、私に言われたことです。
一つ一つの言葉は、精神的に影響を及ぼすものでないと思う方もいるかもしれません。
しかし、こういう言葉を投げかけられるのが、1年間に渡るとなかなかそうはいきません。
更に厄介なことに、社会人1年目という広い視野が持てないときに、このような経験をしてしまったことで、自分の性格もありますが、「自分が悪い…」という自責的思考に拍車をかけてしまったのです。
数年経った後でわかることですが、その上司は数人にわたり精神的に人をつぶしてきて、退職に追い込んでいます。
まさに、あからさまな「クラッシャー上司」だったのです。(以前に、クラッシャー上司の特徴などをまとめた記事をつくりましたので、以下のリンクからご参照ください。)
クラッシャー上司のパワハラでうつ病になった場合のたった一つの対処法は?
しかし、その当時は、その人の仕事ぶりは社内で異様なほどに評価されており、冷静かつ客観的思考を持ち合わせていなかった私は、自分自身を「うつ病」に追い込んでしまったのです…。
(2)自分がうつ病だと気づいた理由
私は、社会人1年目のときに、前述のとおり、自分にとっては過酷な状況が続いておりました。
「これは社会人1年目の受難だ…。」「これまで自分がしっかりと生きてこなかったツケが回ってきたんだ…。」といった、自責的な考えでずっと耐えてきましたが、ある時に変調をきたすことになります。
今思えば、色々と変調をきたしていたのですが、症状がはっきりとしていて分かりやすかったのが「不眠症」でした。
正確に言えば、「入眠障害」ですね。
翌日のことを色々と考えると、朝まで眠れなくなってしまう状況になってしまいました。
さすがに、生活に支障をきたしていたので、「不眠症」を治そうということで、やっとのことで精神科医にかかるという発想が生まれたわけです。
そこで、医師やカウンセラーとの面談を通じて、診察の終了後、私に伝えられました…。
私は、不眠症をはじめ、起きていた体の変調が「うつ病」によるものだと、初めて気づくわけです。
そのため、医師やカウンセラーからは、休職も選択肢として勧められることになりました。
でも、私は休職しないという意志を、医師やカウンセラーに提示し、通院しながら働き続けるという選択肢を選んだわけです。
それは、自分の首を自ら締めにいっているような、愚かな選択であったと考えています。
だけど、今思えばその選択は、自らの意志ではなく、誰かに操られたような意志だったのです…。
当時の私が休職できなかった理由は、次の項目で述べていきたいと思います。
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社会人1年目の私が休職できなかった3つの理由
(1)自分が所属しているチームが絶対的価値観になっていたこと
社会人になると、時間の多くを会社で過ごすことになります。
私が、社会人1年目に所属していたチームは運が悪いことに、他部門との交流や外部との交流が少なく、自分が所属しているチームの雰囲気やルールが絶対的価値観になってしまったのです。
更には、仕事での疲弊で、大学時代に仲良かった友達との交流も自ら断るようになっていき、自分の考えから客観性や相対性がどんどん失われていきました。
そのため、心の孤立状態が生まれました。
また、自分が置かれている状況がおかしいと考える余地は一切なく、自分の心を自ら削っていきました。
そして、チームのメンバーを見ると、私のうつ病の直接的原因となった上司とうまくやっている人もいて、休職している人も周りにおらず、自分が置かれている環境は良いとさえ思うようになりました。
だからこそ、医師やカウンセラーに休職を選択肢として勧められても、断っていたわけです。
これは、まさに自分の所属するチームが、いつの間にか自分の中での絶対的価値観になっていたからです。
(2)自分の命の優先順位が著しく低くなっていたこと
人は自分の健康が前提にあって、初めて物事を成すことができます。
そんなことは当たり前かと思う方が大半かもしれませんが、精神に異常をきたしているときは、そのような発想ができません。
よく、「うつ病」を抱えているときは、正常な判断をくだせないといわれます。
そして、「自分の命」に関することの優先順位が著しく低くなるのです。
「うつ病」患者が、命の危機と隣り合わせにいるのも、これが理由だと、私は考えています。
私は、医師やカウンセラーから休職を勧められるほどの生命的危機状態にあったにも関わらず、休職という選択肢をとることができませんでした。
それは以下の意識が、自分の命よりも優先事項になっていたからです。
「うつ病」をはじめとした精神疾患は、表面にあらわれないため、そのことがより自分を苦しめる原因だということも私は考えています。
(3)自分の弱い性格を認めたくなかったこと
私は、自分が弱い性格であることが薄々と気づいていたものの、認めたくないという思いが非常に強くありました。
そのため、休職という選択肢をとることは、自分の弱さを認めることと同義と思い、拒んでいました。
これは、自分が学生の時にいじめを受けていたということも起因しているかもしれません。
実は、自分の弱さを認められないということは、自分の強さも認められないという状態になっているのです。
つまりは、自分自身のことが嫌いになっていたのだと思います。
当時は、HSP(≒繊細・敏感な性格)といった言葉はありませんでしたが、のちに自分がHSPであると気づいたことにより、自分の弱さを認め、さらには自分の強さも見出すことができるようになりました。(HSPについては、以下の記事をご参照ください。)
自分はうつ病になりやすい「執着気質(※1)」や「メランコリー親和型気質(※2)」を持っているということにも、今となっては気づけましたが、当時は知る由もなく、「自分の中にある弱さは異常なんだ…。」なんて訳の分からない論理で自分を誤魔化していたわけです。
(※1)執着気質
生真面目で強い責任感があり、何事にも全力で向き合う気質です。完璧主義者の傾向が強く、足りないところがあると無理にでも補おうとしてしまいます。(※2)メランコリー親和型気質
周囲への気配りや気遣いを忘れない常識的な一面を持ち、和を重んじる気質です。しかし、それは他人からの評価が気になってしまうことの裏返しでもあります。問題が起きたときにはすべて自分の責任であると思い込みがちで、悲観的に物事を判断する傾向があります。引用:うつ病サプリ「うつ基礎講座」(アクセス日:2018年6月25日)
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休職しなかったことで、私は限りなく再起不能に近づいた
そんなことで、私は通院しながら、自分を騙しだまし、休職という選択肢を取らずに仕事をし続けたのです。
ただし、自分が「うつ病」だと悟られたくなかったため、誰にも助けを求めませんでした。
もちろんのこと、苦しい状況は変わらずに、私は耐え続けるということになったわけです。
その結果、既に病院に行く前から不眠症などはありましたが、私はそのほかに深刻な症状も発生するようになりました。
それは、あまりにつらい気持ちが頭をめぐっており、帰り道のことを覚えていないこと。
家の最寄り駅の、人通りがほとんどない階段で一人で泣いていたこと。
そして、電車を見るたびに、飛び込もうかと悩んでいたこと。
いつの日か、何事に関しても生気を感じられなくなり、スマホの検索履歴もネガティブなことで埋め尽くされていました。
この時、間違いなく、精神的にも肉体的にも再起不能に近い瞬間だったと思っています。
既に読まれている方も多いと思いますが、田中圭一氏の漫画『うつヌケ』では、17人のエピソードを取材した結果、人がうつになる理由を以下のとおり、書いています。
<なぜ人はうつになるの?>
自分をきらいになるから―(中略)自分の「心の声」をちゃんと聞いてあげないと人はうつになる
引用:田中圭一(2017)『うつヌケ』KADOKAWA
最近では、「自己肯定感」という言葉に置き換えられることも多いですが、私も気づかぬうちに、自分のことが嫌いになった結果、自分の存在否定のために、再起不能に近づいていたのだと思います。
私は、「うつ病」になって、さらに休職という選択肢を取らなかったことで、「自己肯定感」はどん底まで落ち、回復までには2年間の期間を要しました。
もし、「うつ病」になる前兆を早く知っており、私はもっと早くから、「自己肯定感」を高めるための処置できたと思っております。
もし、皆さまのなかで本記事を見られている方の中にも、私と同じような状況に置かれている方がいるかもしれません。
以下のチェックリストの5つのうち、3つ以上当てはまったら、あなたの状態は危険な状況といえますので、その際は必ず、病院に行くようにしてください。
そして、病院に行った後も、必ず無理のない選択肢をとるようにしてください。
【5つのうつ症状のうち3つ以上当てはまっていたら危険です!】 ☑ 眠れない ☑ 食欲がわかない ☑ 仕事に行きたくない ☑ 好きなことや趣味が楽しく思えない ☑ 死について考えることが増えてきた 参考:汐街コナ(2017)『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由』あさ出版 |
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おわりに
以前、Twitterにも掲載した内容と重複となり、恐縮ですが、私は学生時代に友人が亡くなっており、その時は明確な理由がわからず、後悔だけが残っていました。
だけれども、自分も再起不能に近い経験をしたことで、少しは友人の気持ちがわかったと思っておりますし、せめてもの思いで、今後は一人でも多く救うことができたらということを、使命として考えるようになりました。
そのため、HSPの方をはじめとして、悩みを抱える方に役立つ情報を発信したいと思いまして、本ブログをはじめた経緯があります。
なぜ、私にはここまで強い思いがあるかというと、それは間違いなく「生きてて良かった」という思いが自分の中にあるからです。
再起不能な状態になっていたら経験できなかったことが、たくさん経験でき、それが今では、生きる幸せにつながっています。
今回の記事では、自分の「うつ病」の経験を、休職に焦点をあてて述べてきました。
これは、本記事を通じて、「①今、危機にある状況の人が客観的に自分の状況に気付いてほしいということ」と、「②今後、皆さまが危機に置かれた場合に、自分の状況に気付いてほしいということ」を、伝えることができればと考えたためです。
実は、うつ病になっていた時に日記を少し書いており、気持ちが重くて開けなかったのですが、今回は皆さんの一助になればと思い、ついにその手帳を開くこととなりました。
本当に読んでいてつらかったですが、本記事を書き終えて、読み直してよかったという思いでいっぱいです。
自分の状況を客観的に知るためには、他人のエピソードが非常に重要になってきます。
田中圭一氏の漫画『うつヌケ』はベストセラーになるほど有名になりましたが、17人ものうつエピソードが分かりやすく書かれていますので、ぜひ読んでみてください。(今回の記事では引用文献として記載しましたが、以下に、簡単な書評を残しておきます。)
<田中圭一(2017)『うつヌケ』 書評> 17名の著名人の、うつ症状や対症法を描いた短編集漫画。 うつ病は人によっては甘えと言われる病気ですが、それは世の中の認識が甘いと考えさせられましたし、理解が進んでいないことが、うつ病を原因に亡くなっている方の増加にも繋がっているような気もしました。 発症方法から症状まで人によって異なるため、対症の難しさはこの本から学べましたし、実際にうつ病を発症している人にとっては今後の生き方のヒントになるのではないでしょうか。 再発もよくある病気ですが、うまく病気と付き合うためには根源的な原因を知ることが大事だと思えました。 |
私も「うつヌケ」をした身として、今度は「どのように『うつ病』を克服し、今に至っているのかということ」を皆さまにお伝えできればと考えております。
それでは、今回はこの辺で、記事を終えたいと思います。
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