【対談】HSPと仕事について実際の職務経歴から考える
HSPは繊細で敏感な気質を持つと言われます。(正確には、良くも悪くも環境の影響を受けやすい気質を指します。)
HSPのチェックリストは仕事の悩みに直結しやすい質問が多く、また、Googleの検索傾向を踏まえると、HSPの人は仕事で悩んでいる人が多いと考えられます。
こうした背景も踏まえ、HSPコミュニティ活動を積極的にされているばっしーさんとTwitterのスペースで、「HSPと仕事」をテーマにお話ししました。
今回は、ここでお話ししたことなどを簡単にまとめましたので、お伝えします。
以前、ばっしーさんとは別のテーマでお話ししたこともあり、ばっしーさんのプロフィール等を知りたい方は、以下の記事もご覧いただければと思います。
【連続対談企画#2】HSPブームを受けてばっしーさんは何を思う?
この記事の目次
これまでの職歴から考える「HSPと仕事」について
(1)仕事のどんな部分に支障を感じやすいか?
まず、対談のお相手のばっしーさんとは、お互いの職歴を話し合いました。
ばっしーさんと私の職歴は、以下のように対照的でした。
【ばっしーさんと私の職歴の違い】 ばっしーさん:数回の転職を経て、複数のお仕事をご経験(現在は独立) 私(ぽん乃助):転職経験なし、部署異動も少ない |
そこで、この対照的な職歴を踏まえ、お互いの観点から、自分が仕事で支障を感じやすい点について話しました。
その内容を、一言で、以下のとおりまとめてみました。
【仕事で支障を感じやすい点】 ばっしーさん:短時間に色々なことに気を遣わなければいけない仕事 私(ぽん乃助):職場の人間関係 |
本記事では、この2つの支障について、考えていきたいと思います。
(2)短時間に色々なことに気を遣わなければいけないということ
さて、ばっしーさんはこれまで仕事で合わなかったこととして、「短時間に色々なことに気を遣わなければいけないこと」を挙げていらっしゃいました。
Googleでの検索結果などを踏まえると、仕事で悩みやすいHSPの人は多いと考えていますが、その悩みの一つとして「短時間に色々なことに気を遣わなければいけない」ということはよく見聞きします。
上記は、HSPのスケール(いわゆるチェックリスト)ですが、赤字の部分はまさに仕事の支障に直結するような質問項目になっています。
そのため、仕事の悩みをきっかけに、自分がHSPだと気づく人が一定数いるものだと、私は考えます。
さて、少し話はそれてしまいましたが、ばっしーさんが挙げた「短時間に色々なことに気を遣わなければならない」ということは、上記のHSPスケールの「4.短時間にしなければならないことが多いとオロオロしますか?」に、まさに合致することだとも考えられます。
ばっしーさんは、お話の中で次のようなことをおっしゃっていました。
私は、ばっしーさんとお話ししている中で、このコメントがかなり印象に残りました。
おそらくですが、本当は自分に合っていない仕事だと感じているのに、周りからは褒められたり期待されたりして、複雑な気持ちになっている人も多いのではないかと思いました。
この自己認識と他者認識の差が、「自分はこの仕事をやっていていいのだろうか?」という悩みに対して、転職などの具体的なアクションを起こせない原因になっているのではないかとも思いました。
ばっしーさんは、こんなことも仰っていました。
日本社会では、終身雇用の考え方が根強く残っていて、転職を繰り返すことについてネガティブに捉えられることがあります。
もちろん一つの仕事を人生をかけて全うすることは素敵なことだとは思いますが、ばっしーさんのお話を聞いていると、人生の中で色んな仕事を経験するということも、素敵なキャリアの在り方でもあると思いました。
だからこそ、本当は自分に合っていない仕事だと感じつつも、周りの期待などで転職などを躊躇ってしまう人も、アクションを起こしてみるのは選択肢としてありなのだと思いました。
(3)職場の人間関係の悩み
さて、私自身はばっしーさんとの対談の中で、仕事で支障を抱えやすいこととして「職場の人間関係の悩み」を挙げました。
おそらく、サラリーマンとして働く人の中では、最も抱えやすい悩みだと思います。
中規模以上の会社であれば、必ず一定ランダムに人事異動が行われ、一緒に働く人は選ぶことができません。
これを「人間関係ガチャ」と揶揄する人もいますが、サラリーマンである以上、合わない人と働かなければいけない時もあるし、ハラスメント行為を行うような人とも働かなければいけない可能性もあります。
現在、HSPを考えるうえで、学術的には「差次感受性理論」が優良とされており、ざっくり言えば、「HSPは、良い環境からは良い影響を受けやすくて、悪い影響からは悪い影響を受けやすい」と言われています。
論文では次のとおり、書かれています。
差次感受性の枠組みは、感受性と対人社会的な環境との関係を考えるうえでも有益な見方を提供してくれる。この枠組みにもとづけば、感受性の高い個人は、対人関係の質に応じて「良くも悪くも」影響を受けやすい。たとえば、感受性が高い個人が、自身と非適合的な集団に置かれたとき、ネガティブな結果が生じやすいだろう。一方で、自身と適合的な集団のなかでは、それによる良好な影響を受けやすく、良いパフォーマンスを発揮するかもしれない。このように環境感受性の個人差は、対人社会的な環境と心理社会的なアウトカムの関係を調整しうる。
対人社会的な環境を適合的な方向に調整するためには、自他を尊重する適切なコミュニケーション、すなわちアサーションが有効かもしれない。
引用:飯村周平(2021)「HSP(Highly Sensitive Person)の考え方」 臨床心理学122,209-215
ここで示唆されているのは、対人関係の質についても、HSPの人は影響を受けやすいのではないかということです。
人間関係の悪い職場はすぐにやめた方が良いと言う人もいますが、諸事情があって辞められない人も多いと思います。
論文でも、人間関係の調整方法としてアサーションが挙げられていますが、私自身も人間関係は一定コミュニケーションで改善できると思っています。
以前、本ブログでも実践的なアサーションの事例を挙げていますので、気になる方は以下の記事を参考にしてみてください。
感受性が強すぎるHSPの人の仕事での生きづらさの対処法とは?
これに加えて、私の経験上ではありますが、コミュニケーションの在り方として、「誰かにコントロールされない」ということが大事だと思っています。
私が仕事で特に大事だと思っているポイントを3つ紹介したいと思います。
【誰かにコントロールされないための仕事でのコミュニケーション(3つのポイント)】 ①打合せなどで自分のやるべきことを曖昧にしたままにせず、「●●まで(締切)に、●●(タスクの内容)」を明確化する。 ②上司や関係者に相談するときは、「どうすればいいですか?」ではなく、自分の考えを伝えながら提案型の質問をする。 ③締切に間に合わない場合は、理由を明確にしたうえで、超特急で上司や関係者に相談をする。 |
とはいえ、あまりに人間関係が劣悪であれば、私自身ハラスメントを受けたこともあり、こうした経験を踏まえると「職場から逃げる」という選択肢も持っておく必要があると思っています。
私自身の経験や法的な知識などから、以前パワハラの対処法について、記事にまとめたこともありますので、気になる方はぜひ以下のリンクから、ご覧いただければと思います。
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おわりに
さて、今回の記事はいかがでしたでしょうか?
仕事に悩みを抱えているHSPの方は非常に多いと思いますし、なかなか画一的な答えが見つからないテーマだとも思っています。
そこで今回は、ばっしーさんと自身の体験を話し合うことで、少しでも皆さまのヒントにつながればと思い、お話ししてきました。
今回は新たな試みとして、Twitterのスペース機能を使ってお話してみましたが、非常に面白かったです。
そして、告知となりますが、本日ばっしーさんとTwitterのスペースで学生時代をテーマにお話しする予定です。
ぜひ、ラジオ感覚で聞きに来ていただければと思います。
8/21(土)19:30〜から、ばっしーさん(@bashi_kurume)とスペースやります!
今回は、学生時代をテーマに話していく予定です。
私自身、学生時代のエピソードは結構重めな話をいくつか持っていて、どうやって乗り越えたかなどのお話をしようと思ってます。
ぜひ、ぶらっと聴きにきてください! pic.twitter.com/vAOFnkIpjH
— ぽん乃助@繊細な人の働き方戦略家/ブロガー (@suke_of_pon) August 14, 2021
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