HSPの人の生きづらさはどうして他人に理解されないのか?
HSPとは、生まれつき5人に1人は当てはまる、繊細で敏感な性格の人を指します。(詳しくは、こちらから解説をご覧ください。)
HSPの人は、繊細で敏感な性格がゆえに仕事や生活で、生きづらさを感じやすいと言われています。
そのため、HSPの人は、こんなことを思ったことがあるのではないでしょうか?
HSPの生きづらさは、生まれつきの繊細さや敏感さの気質が原因であるため、どうしても他人の理解を求めたくなってしまうときがあると思います。
だけれども、結論から言ってしまうと、他人に生きづらさを理解してもらうというのは、とてつもなく難しいのです!
それでは、今回は、HSPの人の生きづらさが他人に理解されない理由と、職場で配慮してもらうためのコツをお伝えしていきます。
HSPの人の生きづらさはどうして他人に理解されないのか?
(1)人にとって一番大事な存在は自分だから
人は、どんなときに一番力を発揮できるでしょうか?
これは人に限らず、生物すべてに言えることですが、自分の生死がかかっているときに一番力を発揮します。
その理由は、生物には「生存本能」が備わっているからです。
つまりは、当然、人にとって一番大事な存在は自分なのです。
もちろん、家族や親友、恋人などに、格別な思いを持っている人もいるかと思います。
でも、それは身内(自分から近い関係の人たち)だからです。
例えば、職場の上司や部下、同僚といった一歩遠い関係性の人たちのことを考えた場合、他人よりも自分がうまくいくかどうかということが大事だと考える人が大半だと思います。
そして、人は皆、大なり小なり誰しもが生きづらい要素を抱えていて、自分が生きるので必死な人が多いのです。
そのため、HSPに限らず、自分の生きづらさを他人に理解してもらうということは、とても難しいことなのです。
(2)HSPによる生きづらさは目に見えるものではないから
皆さん、メラビアンの法則はご存じでしょうか?
まずは、この法則について、ご紹介します。
【メラビアンの法則】
話し手が聞き手に与える影響は「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つから構成され、それぞれの情報の影響力は以下の割合であるというものです。
・言語情報(Verbal)…7%
・聴覚情報(Vocal)…38%
・視覚情報(Visual)…55%引用:BIZREACH「BIZHINT:メラビアンの法則」(2019年3月18日アクセス)
そう、この法則によると、人は情報の中でも、視覚情報や聴覚情報を大事にする傾向があるというわけです。
HSPをはじめとした精神的・心理的なことを起因とした生きづらさは、目に見えるものでも耳で聞こえるものでもありません。
そして、HSPはあくまで気質であり、病気ではありません。
精神的・心理的な病気である「うつ病」などであっても、その生きづらさを正しく理解できている人も多くないですから、HSPはより他人から理解されづらいといっても過言ではないかと思います。
(3)生きづらさを他人に理解してもらいたいのはHSPの人だけではないから
先日、朝のニュース番組で、「広場恐怖症」について取り上げられていました。
これは、すぐに逃げ出せない場所や助けを求められない場所にいると、異常な恐怖を感じてしまうという不安症の一種で、100人の中に3人の数でいるそうです。
そして、そのニュース番組における結論は、「周りの理解が大事」ということでした。
でも、「周りの理解が大事」といわれる分野は、この「広場恐怖症」だけではありません。
HSPをはじめとして、精神的・心理的なあらゆる分野において、「周りの理解が大事」ということを散見します。
そして、これは精神的・心理的な領域にとどまりません。
どんな分野であっても、「理解してもらいたい」という気持ちが、ひしめいているのです。
でも、人のキャパシティは限られていますから、理解できるものの範囲には限界があります。
だからこそ、HSPの生きづらさを他人に理解してもらうというのは、非常に難しいのです。
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HSPの人が職場などで配慮してもらうためのコツとは?
(1)他人が困っていることを理由に提案する
さて、ここまでは、HSPの生きづらさを他人に理解してもらうことが難しい理由を述べてきました。
とはいえ、生きづらさを改善するために、他人から理解され、配慮してもらいたいこともありますよね。
そこで、大事な考え方となるのが、「ユニバーサルデザイン」です。
「ユニバーサルデザイン」は、「バリアフリー」と比較すると、その言葉の意味が分かりやすくとらえられます。
・バリアフリー…お年寄りや障害のある方といった特定の人を対象として、快適に生活できるように、後からバリア(障壁)をなくすこと ・ユニバーサルデザイン…国籍や性別、年齢、そして障害があるかないかなどに関係なく、初めから、全ての人ができるだけ使いやすいものを広めることです。 ※ユニバーサルデザインは全ての人を対象にするため、特定の人の専用品となるバリアフリーに比べると対象者が広くなります。一般的には、バリアフリーを一歩進めた考え方がユニバーサルデザインと言われ、広い意味ではユニバーサルデザインにバリアフリーが含まれる場合もあります。 引用(一部改変):福津市ユニバーサルデザイン「ユニバーサルデザインとは」(2019年3月18日アクセス) |
この解説のとおり、ユニバーサルデザインは、バリアフリーとは異なり、特定の人だけでなく、誰もが使いやすいところを目指しているということですね。
バリアフリーのように、特定の人だけを対象とした場合、特定の人以外からの理解を得られないことがあります。
だけれども、ユニバーサルデザインは、誰もが使いやすいところを目指しているので、理解を得られないということが少なくなります。
私は、先日、Twitterでこんなツイートをしました。
#HSP “にとって” ではなく、HSP “も” 生きやすくなることを目指すことが大事だと思っています。
世の中には、HSP以外にも、生きづらい事情を抱える人が多くいます。
だからこそ、HSPの人に向けて、HSPの人以外にも良い効果が波及できるような情報発信を心掛けています。
— ぽん乃助@HSP働き方戦略ブロガー (@suke_of_pon) 2019年3月17日
実は、このツイートには、このユニバーサルデザインの考え方が念頭にあったんですね。
そのため、誰かに何か配慮してほしいと思う場合は、「HSPのために」ではなく、「HSPにも他の人のためにも」生きづらさの改善につながることを提案した方が、他人にはすんなり受け入れてくれます。
実践的なことを考えると、「自分が困っていることを理由に提案するのではなく、他人が困っていること(自分が困っていることにも通ずること)を理由に提案する」という考え方がとても大事だということです!
実際に例を見てみましょう。
例えば、仕事が自分に集中していることを想定し、他の人に仕事を振ってもらうことを上司に提案する場合を考えてみます。
パターン①:自分が困っていることを理由に提案する場合(NG例) |
パターン②:他人が困っていること(自分が困っていることにも通ずること)を理由に提案する場合(OK例) |
さて、いかがでしょうか。
何となく後者の方が、チームのメンバーのことを考えているように聞こえるため、すんなり提案が通る気がしませんか?
このように逆の立場で考えてみると、自分が困っていることよりも他人が困っていることを理由に提案してもらった方が、正当性があるように聞こえるということが分かると思います。
(2)間接的に繊細で敏感な性格であることを伝える
さて、先ほどは、自分が困っていることを、他人の困っていることと結びつけて、提案する方法を紹介しました。
一方で、自分が困っているということを、自分でスムーズに伝える方法もあります。
それは、間接的に繊細で敏感な性格であることを伝えるということです。
今回述べてきたとおり、HSPの人の生きづらさが他人に理解されづらい理由は様々あって、その中で「私は繊細で敏感な性格(HSP)だから、配慮してほしい」と直接的に言ったところで、他人が受け入れてくれるはずもありません。
直接的に伝える例と、間接的に伝える例を比べてみましょう。
パターン①:HSPであることを直接的に伝える場合の事例(NG例) |
パターン②:HSPであることを間接的に伝える場合の事例(OK例) |
さて、いかがでしょうか。
これも聞く側の立場で考えてみると、後者のように間接的に伝えた方が、角が立たずにすんなりと相手に自分の性格を分かってもらえる気がしませんか?
先ほど紹介した他人の困っていることと結びつけて提案する方法と通ずるところがありますが、世の中はいい人ばかりではありませんので、「この人は自分のことしか考えていない」と思われた時点で、自分の主張が相手に伝わりにくくなります。
「HSPであることをカミングアウトしたほうが良い」という意見も見たことがありますが、私は逆効果につながるリスクもあると考えています。
ただ、伝え方を工夫すれば、相手に配慮してもらうということを引き出せるとも考えています。
以前に、その戦略を本ブログの記事にまとめたことがありますので、気になる方はぜひ以下のリンクからご覧ください!
HSPの人が職場で生きづらさを理解してもらうための効果的なカミングアウトの方法は?
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HSPの人が生きづらさを改善するための一番の近道は?
さて、ここまでは、HSPの人の生きづらさが他人に理解されない理由と、職場で配慮してもらうためのコツをお伝えしてきました。
ただ、どんなことであっても、「他人に分かってもらう」ことを目指すのはとても難しいですよね。
そのため、あらゆる場面で、「他人を変えるよりも、自分を変える方が簡単!」と言われます。
HSPの生きづらさも、他人を変えるよりも、自分を変えることが一番の近道であることは間違いないと思います。
だから、まずは自分がHSPであることを言い訳にしないことが大事だと、私は考えています。(以前にこのことは、本ブログの記事にまとめていますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください)
自分を変えるヒントは、本やインターネットなどでの情報でたくさん得られると思います。
そして、大事なコトは、情報を得たら、実際に自分の行動や考え方を変えてみることです。
…といいつつも、行動や考え方を変えるというのは、なかなか難しいことなんですけどね。
本ブログ(HSP働き方戦略室)でも、実践してみて有用であり、かつ、明日から使える簡単なライフハック術やメンタルケア術を中心に、皆さまに情報をお伝えしておりますので、ぜひ、他の記事も参考にしてみてくださいね!
【本ブログの記事でお伝えしていること(クリックで記事一覧に飛べます!)】 |
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まとめ
・HSPの人の生きづらさが、他人に理解されない理由は次のとおり!
・職場などで配慮してもらうためのコツは次のとおり!
・HSPの人が生きづらさを改善するための一番の近道は、他人を変えることではなく、自分の行動や考え方を変えること! |
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おわりに
さて、今回の記事はいかがでしたでしょうか。
今回は、久々に本や取材に基づく記事執筆ではなく、私が考えるHSPへのスタンスをテーマにしてみました。
というのも、ここ1年間ほど、HSPに関する発信を続けてきて、また他の分野の発信も見てきて、やはり他人や社会の見方を変えるというのは難しいなとつくづく感じたからです。
HSPのことに限らず、どんな人であっても「どうして、自分の事情を分かってくれないんだ!」って感じることがあると思います。
生まれてこの方、色んな人を見てきましたが、大なり小なり、誰しもが見えない心理的・精神的な生きづらさを抱えているなと思うときがあります。(ごく稀に、全く苦労せずに、生きてこられている人も見ますけどね。笑)
だからこそ、近年は、以前に比べて心理学が流行っているのではないかと、思うときがあります。
さて、本題に戻りますが、HSPは特に最近出てきた概念でもあるため、やはり他人に理解してもらうことは難しいですし、「どうして理解してくれないんだ?」という気持ちを持っていても、生きづらさが2倍・3倍…と拡大していってしまいます。
とはいえ、「自分を変えなければいけないんだ…」という義務感が大きくなりすぎると、精神疾患に陥ってしまう場合もありますが…。
そんなときは、カウンセラーなどに相談してみると、良いかもしれません。
少し、余談が長くなってしまいました。
それでは、今回はこの辺で終えたいと思います。
もし、悩んでいる方にとって、少しでもお役に立てたのであれば、大変幸いです。
それでは、また次回も、よろしくお願いいたします!
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