【HSP対談vol.5】才能を活かすフリーランスの働き方とは?
2019年4月27日、HSPの働き方に関する5回目の対談を実施しました!
HSPとは、5人に1人に当てはまる、生まれつき繊細で敏感な気質を持つ人を指します。(詳しくは、こちらから解説をご覧ください。)
HSPの人は、繊細で敏感な性格がゆえに仕事で悩みを抱えやすく、「どのような仕事が向いているのか?」ということについては、大きな課題とされています。
そのため、HSPにとっての最適な働き方を探るべく、色んな方々と対談を実施しています。
前回の対談の模様も記事にまとめておりますので、気になる方はぜひ、以下のリンクからご覧ください!
【HSP対談vol.4】HSPの適職や仕事の悩みとは?働きやすい職場を見抜く方法も
今回は、HSP才能開発サポーターとしてご活躍されている、なおさんをお相手に迎えました。
Twitterやブログなどを通じて多くのHSPの方々へ情報を発信するとともに、HSPカウンセラー兼コラムニストとして、多くの方法を通じてHSPの方々に向けたご活動をされています。
また、HSPの方々などによる意見交換の場も多く開催されており、今ではHSPの才能を活かすという観点からコミュニティ制作に努めています。
そんな、なおさんですが、学生時代までは不自由のない経歴で生きてきましたが、社会人になって体調を崩し、就活を勝ち抜いて得た職を捨て、フリーランスという働き方を選ばれています。
現在、自分の才能を活かした働き方を体現しており、何よりも自分のペースで楽しんで働いているなおさんに、働き方の秘訣をお伺いしたく、対談にいたりました。
また、フリーランスという働き方自体についても、掘り下げて聞いてみました。
今回は、対談で見えてきた「HSPの才能を活かした働き方」や「フリーランスという働き方」について、綴っていきたいと思います。
この記事の目次
対談の概要について
(1)対談の趣旨
日時:2019年4月27日(土)20時00分~22時00分 場所:オンラインにて対談 |
いつもと同じく、今回の対談に至る経緯をご説明したいと思います。
HSPの人は、繊細で敏感な性格がゆえに仕事で悩みを抱えやすく、「どのような仕事が向いているのか?」ということについては、インターネット上で多くの回数が検索されており、大きな課題とされています。
HSPの人にとっての適職は、本などでは次のとおり、記載されています。
【HSPの人にとっての適職】 ・画家や音楽家、詩人、小説家、写真家、俳優、舞台監督や映画監督などの芸術家(HSPの持つ豊かな情感やイマジネーション、鋭い感受性やひらめきを活かせる仕事) ・デザイナー、カメラマン、コピーライター、イラストレーターなどのクリエイティブな業種(ひらめきやセンス、感受性といったものが要求され、1人で机や作業台に向かって自分のペースで行える仕事) ・企画営業などの自身の企画をクライアントに提案する職種(一般組織における、アイデアやひらめきを大切にする仕事) ・商品の開発や商品の欠陥チェックなどの敏感なセンサーを用いる職種(一般組織における、敏感な感覚や直観力、粘り強さを活かせる職種) 参考:長沼睦雄(2016)『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』青春出版社 |
でも、私ははじめてこれを見たときに、HSPの人がこうした適職に就くのはハードルが高いんじゃないかと思ったんですね。
職場の状況なんて、会社の中に入ってみないとわかりません。
そして、日本はジョブローテーションを行う会社も多いですから、もし自分に合う仕事にありつけたとしても、その仕事をやり続けることは難しい状況にあります。
その問題意識が私にはあったため、適職を求めて、転職や独立をしたことで、逆にミスマッチで後悔したHSPの人も多いのではないかと思っていました。
そこで、Twitterで、転職などを行ったことのあるHSPの人を対象に、アンケートをとってみました。
そうすると驚くべき結果が分かりました…!
転職など、働く環境を変えた経験のある #HSP の方にご質問です。
働く環境を変えることで、以前よりも働きやすくなりましたか?
HSPの方が気になる質問だと思いますので、是非リツイート&回答いただけますと嬉しいです!
— ぽん乃助@HSP働き方戦略ブロガー (@suke_of_pon) 2018年11月25日
なんと、「転職などを行ったことで、働きやすくなった」と答えた人が、85%以上も占めていたのです!
「以前の環境の方が良かった」と答える人がもっと多いと思ったので、この結果には驚くとともに、この結果を見て、私は「HSPの人が適職を求めて、転職などを行うことは合理的!」だという結論に至りました。
このアンケートの結果を踏まえ、たくさんの仕事が溢れる中で、HSPのより良い働き方を追い求めるべく、HSPの方々などを対象に対談を続けて実施しています。
(2)対談のお相手(なおさん)について
・学生時代は、中学・高校一貫の学校から慶應義塾大学に入学。就活戦争に勝ち抜き、名門の人材系会社に正社員として入社するも、激務により体調を崩し、退職。これまで敷かれたレールを一気に外れ、フリーランスという働き方を選んでいらっしゃいます。
・HSPを知ったきっかけは、正社員を辞めた後、お茶会でHSPの人に会ったことがきっかけとのこと。仕事で感じた苦痛などを振り返ると、自分自身も敏感で繊細な気質であることが分かったそうです。
・お若いながらも、話す言葉に迷いがなく、とてもしっかりされている印象の方でした。また、お話ししやすく、とても気さくな方でもありました。私のつまらない話にも笑っていただき、ありがとうございました。笑
なおさんのブログ→こちら なおさんのTwitter→こちら ※なおさんは、カウンセラーとして有名な中島輝氏が代表理事を務める「torie」のコラムをご執筆されています。 |
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対談を通じて分かったこととは?
(1)HSPの人にとって合わない職場やフリーランスという働き方について
なおさんは慶應義塾大学を卒業後、就活戦争に勝ち抜き、名門の人材系会社に正社員として就職された輝かしい経歴にあります。
そんな中、今は、会社を辞め、フリーランスとして働かれています。
まずは、この点について、お伺いしてみました。
これまでの対談でも、敏感で繊細な気質のHSPの人は、心身ともに体力や気力が続く環境で働くことが何よりも大事だということが分かっています。
なおさんの以前の職場の話を聞いていると、いわゆる世の中でいわれるブラック企業の環境であり、HSPの人が合う職場とはほど遠い環境でした。
でも、退職された後は、なぜフリーランスの道を選んだのか疑問に思いました。
そこで、私はこんな質問をぶつけてみました。
これには、なるほど…と思いました。
週5日決まった時間と場所で働くことが当たり前になっている私は気づくことができませんでしたが、確かに、職場における人間関係のわずらわしさや過剰な残業は、その働き方が増長しているというのは理解できます。
組織で働く場合は、リモートワークなどを推進する会社も増えましたが、日本の多くの企業が終身雇用かつ職能制を前提としているため、リモートワークでは社員を管理しづらく、実態が伴っていない会社も多いのではないかと思います。
この話に関連しますが、以前、HSPの人にとって、こうした保守的な社風の会社が合わない理由を、本ブログの記事にまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。
HSPの人が保守的な社風の会社が合わない4つの理由とは?著書『残業学』から学ぶ残業の本質的な問題も
また、HSPの人の中でも、繊細だけど外向的な気質を持つHSS型HSPのお話も出ましたね。
HSS型HSPの人は、普通のHSPの人とは異なり、刺激を求めたい傾向にあるため、「飽き」は天敵でもあります。
なおさんは、このHSS型HSPであり、仕事を自由に組み合わせた働き方は、HSS型HSPの人の「飽き」を解消するためにも有効と仰っていました。
私も、このHSS型HSPに当てはまる部分があり、以前に本ブログで、HSS型HSP特有のつらさと克服方法をまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。
繊細だけど外向的なHSS型HSP特有のつらさと4つの克服方法とは?
さて、「仕事を自由に組み合わせた働き方」ということが話題になりましたが、日本において、「正社員」の雇用形態では、このような働き方をするのが難しい傾向にあります。
それは、「正社員」は働く時間・場所の拘束が大きいうえに、「副業」が認められていない会社もありますからね。
とはいえ、日本の古来からの価値観としては、安定的な収入の面や肩書きの面から、「正社員」が絶対的な正義としての風潮が強いです。
恐らく、これまでのなおさんのご経歴からすると、正社員を辞めて、フリーランスの道を選ぶのは、世間体の面などから相当の葛藤があったのではないかと思います。
この点についても、聞いてみました。
なかなか世間体を捨てられなくて、苦しんでいる人も多く見受けられます。
ツラいことがあっても、世間体を守るために、なかなか行動が取れずにガマンしてしまうことも多いですよね。
一方で、なおさんも仕事で相当にツラいことがあったのにも関わらず、折れずにプラスの力に変えられたのは、自分自身で行動に移したからだと思います。
私の経験からすると、仕事でガマンし続けても、誰かが助けてくれることは絶対にありません。
私は仕事でうつ病を罹患したこともありますが、苦しい状況に追い込まれれば追い込まれるほど、誰も助けてくれないのです。
それは、人はみんな、自分が生きることで必死であり、苦しい状況に追い込まれている人を助けようとすると、自分も巻き込まれてしまう可能性があるからです。
だからこそ、ツラいことをきっかけに、自分自身で行動に移すということはとても大事だと、私は考えています。
以前に、本ブログにて、私がうつ病になったときの経験と教訓をまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。
HSPの人がうつ病になったときに休職できない3つの理由とは?
(2)HSPの人の仕事の長所や向いている仕事について
さて、今度はHSPの人の仕事の長所について、聞いてみました。
これも、良いお話がうかがえました。
仕事においては、自分の意見が大事だと言われますが、「疑問」がなければ、自分の意見を考えることもできません。
それから、「大きな視点」を持てると、色々な人の立場を尊重して物事を進められるため、仕事の調整も上手に進められるし、逆に人に無かった視点を与えることもできるのではないかと思います。
そして、「やりがい」は、確かに私自身も自覚していますが、仕事においては自分にしかできない力を発揮したいという思いもあります。
これまでの対談でも、HSPの人は仕事において「やりがい」がとても大事だという話も挙がりましたが、視点を変えてみると、お金以外で自分や他人を動かすための心の熱を持っているということが言えます。
こう考えると、HSPの人の繊細で敏感な気質も、仕事で活かせるところは多々あると考えられそうです。
では、具体的にどんな仕事がHSPの人に向いているのか、聞いてみました。
HSPの人が向いている仕事として挙げられるのは専門性が高いものが多く、そういう仕事は以前のキャリアも問われるため、ハードルが高いですよね。
でも、確かに、”要素”が入っている仕事であれば、たくさんありそうですよね!
私自身も、以前に本ブログにて、HSPの人の才能を活かした働き方について記事にまとめたことがありますので、気になる方は、ぜひ以下のリンクからご覧ください。
HSPの人が仕事で才能をフルに発揮するための3つの方法とは?著書『天才を殺す凡人』より
(3)自分に合う仕事を得るための極意について
さて、これまではHSPの人の仕事の長所や向いている仕事について、対談してきました。
でも、向いている仕事が分かったからといって、そんな仕事をどのように探すのかという点についても、ひとつの疑問として湧き上がってきます。
そこで、こんな質問をぶつけてみました。
前回のみさきじゅりさんとの対談でも話に挙がりましたが、外からは会社の中の実態を見ることができないため、自分に合う仕事を得るためには、採用側と面接を受ける側が公平であるのを意識することが、大事なポイントとして挙がりました。
なおさんは、まさにこれを体現されており、会社が求める人材像に合わせて履歴書を書くのではなく、自分の得意な企画力を一貫してアピールするというのは、入社後のミスマッチを防ぐためにもすごく大事だと思いました。
逆に言えば、自分の得意なことを踏まえて雇ってくれた会社には、自分が求めている仕事がある可能性も高いことがいえるというわけです。
そして、なおさんが気になることを仰っていたので、さらに深く突っ込んで聞いてみました。
これも、すごいことを聞いてしまいましたね。笑
フリーランスで働かれているなおさんだからこそのアドバイスだと思います。
一部の専門職を除き、多くの方が自分の能力を示す媒体がないため、「自分の仕事の能力は、価値があるのだろうか…?」と悩む人も多いかもしれません。
というのも、何でもかんでも資格で仕事の能力を示すことができず、資格があっても実務経験が無ければ、あまり意味がなさないことも多いからです。
私が運営しているこのブログも、いつか仕事の武器になるのかな…とも思ってしまいました。笑
(4)なおさんの活動の目指す先について
さて、なおさんは今、ブログ・Twitter・コラム等での情報発信に加え、意見交換会の運営なども実施されています。
HSPの方に向けて、多様な形で活動をされている中で、今後の活動の目指す先について聞いてみました。
実は、私もこの点について、思うところがありました。
他の分野を見ても、歴史的に見ても、コミュニティの存在は自分の助けになる一方で、閉じられた環境であると、慰め合いで終えてしまい、自己成長を抑制してしまう場合があるのです。
石黒正数氏の短編漫画『ネムルバカ』でも、このことについて、面白い見解が示されています。(石黒正数氏は、漫画『それでも町は廻っている』の著者でもありますね。)
この漫画では、とあるキャラクターが、自称アーティストが集まったコミュニティのことを「駄サイクル」という表現で一蹴しています。
【駄サイクルについて】
駄サイクルの輪の中で需要と供給が成立し、自称ア~チストが何人か集まって、見る→ホメる→作る→ホメられる→見る→ホメる(以下略)を繰り返している。
自己顕示欲を満たすための完成された空間。
そして、自称ア~チストってのは常々楽しいと思える程度の練習はするが、本当に身になる苦しい修行はツラいからせず…一方的に発表できる個展はするが、正式に裁きを受けるコンペやコンクールには身の程知るのが怖いから出ず…馴れ合いの中で自分が才能あるア~チストだと錯覚していく…
駄サイクルの輪は自称ア~チストに限らず色んな形でどこにでもある…
引用:石黒正数(2008)『ネムルバカ』徳間書店
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つまりは、自分が所属する閉じられた空間(コミュニティ)こそが絶対的な価値観だと思ってしまい、自己成長を抑制してしまうことにもつながりかねないということですね。
だからこそ、なおさんが目指しているコミュニティ制作は、クローズドをオープンに変えていくというところで、意義あるものなのではないかと思いました。
今後のご活動について、さらにもう一歩聞いてみました。
なおさんのご活動の展望が素晴らしく、私自身も夢が広がって楽しくお話をしていたのですが、あっという間に対談の終わりの時間がきてしまいました…。
最後に、なおさんは、こう仰っていました。
なおさんは大学の時のゼミで、海外諸国でフィールドワークを行っていたこともあり、なおさんならではのご意見だと思いました。
私は、HSPの人が「生きづらさ」を乗り越えるための絶対的な答えは無く、人の数だけ答えがあると思っています。
だからこそ、色々な見解が生まれることは、とても大事だと考えています。
「生きづらさ」を乗り越えるためには、「これは、私でも使えそうだ!」ということを真似し、うまくいかなければ別のことを真似する…の繰り返しだと、私は思っています。
そのため、海外の人もつなぐというのは、見解も夢も広がって良いなぁ…と思いました。
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まとめ
【本対談で分かったこと(推測含む)】 ●HSPの人にとって合わない職場やフリーランスという働き方とは?
●HSPの人の仕事の長所や向いている仕事とは?
●自分に合う仕事を得るための極意とは?
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おわりに
さて、今回の対談でも、大変有意義な時間を過ごすことができました。
対談にご協力いただいた、なおさん、本当にありがとうございました。
この場を借りて、改めてお礼申し上げます。
また、なおさんはHSPの方に向けたカウンセリング(無料)をはじめたそうなので、ご興味がある方は、こちらからご覧いただければと思います!
HSPの方々の働き方について、一度は会社の正社員で働き、今はフリーランスで働いているなおさんだからこそ、とても有用なご意見をたくさん聞くことができました。
今回の対談のテーマのキーワードは、「フリーランス」だったかと思います。
決して、「フリーランス」という働き方が全員にとって正解だとは言えませんが、今回のなおさんの事例を通じて、参考になった人もいるのではないでしょうか?
今後も、色んな人の働き方の事例を集め、HSPの人の理想の働き方を追い求めるべく、引き続き対談を実施していきたいと思います。
それでは、今回はこの辺で終えたいと思います。
もし、悩んでいる方にとって、少しでもお役に立てたのであれば、大変幸いです。
それでは、また次回も、よろしくお願いいたします!
※2019年4月28日に、第6回対談を実施しました!
【HSP対談vol.6】当事者同士で考えるHSPと発達障害の違いとは?驚異の仕事術も
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- 2019年 5月 03日
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