自分がHSPであることを言い訳にすべきでない理由とは?
最近では、HSP(≒敏感・繊細な気質)の認知がある程度広がってきており、自分自身の生きづらさが、HSPによるものであると自覚する人が増えてきました。
自分がHSPだと気づくことは、幸せに生きるための第一歩です。
だけれども、その後の意識の仕方によっては、自己成長を阻害することにつながる場合があります。
道具は、使い方を間違えると、人を傷つける「凶器」になります。
HSPという概念も同じであり、意識の仕方を間違えると、自分の周囲の人、そして自分自身をも傷つける「凶器」になります。
皆さまは、自分がHSPだと気づいた後、自己成長をすることができているでしょうか?
自己成長を阻害する「凶器」となる前に、本日の記事ではお伝えしたいことがあります!
「自分がHSPであることを言い訳に使うのは今すぐやめましょう!」
(※HSPの詳細は、以下の記事からご参照ください。)
この記事の目次
HSPを言い訳にすることをやめたほうが良い理由
(1)HSPを言い訳にするってどういうこと?
自分がHSPだと気づくことが、場合によっては、自己成長を阻害する「凶器」になることがあります。
「道具」は使い方を間違えると、「凶器」になります。
自分がHSPであることに対する意識についても、間違ってしまうと、自己成長を阻害することにつながります。
間違った意識とは、具体的に言うと、「HSPを言い訳に使うこと」です。
これは、言い換えれば、「うまくいかなかったことを何でもかんでも、自分がHSPであることを理由にしてしまうこと」です。
(2)意識は本当に「凶器」になるの?(「スタンフォード監獄実験」より)
先ほど、間違った意識の仕方をすると「凶器」になると述べました。
これって本当かよ!って思う方もいらっしゃるかもしれません。
皆さま、「スタンフォード監獄実験」という心理学実験をご存知でしょうか。
まずは、概要について、以下のとおり引用掲載いたしますので、ご参照ください。
<「スタンフォード監獄実験」の概要>
1971年8月14日から1971年8月20日まで、アメリカ・スタンフォード大学心理学部で、心理学者フィリップ・ジンバルドー (Philip Zimbardo) の指導の下に、刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした実験が行われた。模型の刑務所(実験監獄)はスタンフォード大学地下実験室を改造したもので、実験期間は2週間の予定だった。
新聞広告などで集めた普通の大学生などの70人から選ばれた被験者21人の内、11人を看守役に、10人を受刑者役にグループ分けし、それぞれの役割を実際の刑務所に近い設備を作って演じさせた。その結果、時間が経つに連れ、看守役の被験者はより看守らしく、受刑者役の被験者はより受刑者らしい行動をとるようになるということが証明された、とジンバルドーは主張した。
引用:Wikipedia「スタンフォード監獄実験」(アクセス日:2018年7月1日)
あまりに危険で途中で中止となったということで、恐ろしい実験として名高いですが、この実験によって2つの結果が得られています。(実験の内容に興味がある方は、Wikipediaのリンクからご参照ください。)
<「スタンフォード監獄実験」から得られた2つの結果>
・権力への服従
強い権力を与えられた人間と力を持たない人間が、狭い空間で常に一緒にいると、次第に理性の歯止めが利かなくなり、暴走してしまう。・非個人化
しかも、元々の性格とは関係なく、役割を与えられただけでそのような状態に陥ってしまう。引用:Wikipedia「スタンフォード監獄実験」(アクセス日:2018年7月1日)
以上のことから、意識の恐ろしさが分かりましたでしょうか。
つまり、元々の性格はどうであれ、「自分が看守役だ」「自分が囚人だ」という意識を根付けることによって、その役割に合わせた行動を取ってしまうのです。
これって、「自分がHSPであると意識する」ということにも言えると思いませんか?
自分がHSPであるということを知ると、より自分がHSPらしい行動をとってしまう可能性があるということが、「スタンフォード監獄実験」の結果でいう、「非個人化」によって言えると思います。
また、よく耳にする「HSP」「非HSP」という対抗軸も、意識によって生み出されています。
つまり、「自分がHSPであるということ」について、意識の仕方によっては、マイナスの方向に導く「凶器」にもなり得るのです。
(3)HSPを言い訳にすることは明日からやめましょう!
前項目の「スタンフォード監獄実験」で分かるとおり、人の意識は凶器になり得ることが分かったと思います。
一般論としても人の意識が及ぼす影響は大きいと言われており、例えば、失敗した出来事や悔しかった出来事について、次回への糧としてプラスに捉える人もいれば、必要以上に落ち込んでしまってマイナスに捉える人もいます。
つまり、出来事が同じだったとしても、人の意識でプラスにもマイナスにも変えることができてしまうのです。
そもそも、皆さまがHSPという概念に気付くことができたのは、敏感で繊細な性格がゆえに悩んでいたからではないでしょうか。
その裏の気持ちには、幸せな生き方を見つけたいという強い思いがあるのではないでしょうか。
本題に戻って、「HSPを言い訳に使うこと」をやめたほうが良い理由を考えてみましょう。
よくHSP関連の本に書かれていることとして、「飲み会を断ってみる」「HSPであることを明かしてみる」といった自分を守るための処方箋が書かれています。
もちろん、柔道でも基本のとおり、これらの「受け身」は非常に大事です。
だけれども、「受け身」ばかり取っていたら、他人からどう思われるでしょうか。
世の中にいる人は、優しい人ばかりではありません。
「あいつは、付き合いが悪い奴だ…。」「HSPとか何とか言ってるけど、弱点があって苦しいのはお前だけじゃなくて、みんな苦しいんだぞ…。」と思う人もたくさんいるでしょう。
組織の中でそう思われたら、恐らく、仕事や勉学に励むことが難しくなると思います。
こういった他人の評価軸は、変えることが非常に難しいです。
そうであるならば、自分が変わることが一番簡単なのです!
つまり、HSPに対する上手な意識は、「弱点を克服する・長所を生かすための道具」として捉えることなのです。
「HSPを言い訳に使うこと」は、自分の弱点の克服と長所を生かすことから逃げることになるため、自己成長を阻害する「凶器」となってしまうのです。
だからこそ、「HSPを言い訳に使うこと」を今すぐにやめるべきだと、私は考えております!
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「HSPを言い訳に使うこと」を今すぐにやめるためのたった2つのルール
ルール①:HSPを意識するのは、気分がポジティブなときだけにしよう!
「HSPを言い訳につかうことをやめろ!と言われても、勝手に意識してしまうから、実際にやめるのは難しいよ…。」という方もいらっしゃるでしょう。
おっしゃる通りです、人は簡単に思考を変えることはできません。
そうであるならば、条件付きで思考を制限してあげましょう。
人は気分がポジティブなときは物事に対してプラスに捉え、ネガティブなときは物事に対してマイナスに捉えます。
そのため、「HSPを意識するのは、気分がポジティブなときだけ」にしてみましょう!
恐らく、気分がポジティブのときは、HSPのことを意識しても、「弱点を克服する・長所を生かすための道具」として捉えることができます。
逆に気分がネガティブのときに、HSPのことを意識すると、「HSPを言い訳に使うこと」を考えてしまうでしょう。
そのため、気分がネガティブなときに、HSPは意識しないようにしましょう。
これが一つ目のルールです!
ルール②:気分がネガティブのときは、「もし明日、自分がHSPの短所による生きづらさを克服したらやっていること」をやってみよう!
気分がネガティブのときは、まず、「飲み会を断る」などといった「受け身」をとることが第一優先となります。
そのため、HSP関連の本などから「受け身」を学んでいくことが大事になります。
ただし、前述のとおり、「受け身」をとり続けると人からの印象が悪くなり、逆に生きづらさにつながる可能性があります。
そのため、時には攻めることが大事になるのです!
ルール①のとおり、ポジティブの気分のときは、HSPのことを「弱点を克服する・長所を生かすための道具」と意識して、習慣の変革を心掛けましょう。
ルール②は、ネガティブの気分のときにすることです。
ネガティブの気分のときは、HSPによる長所を見ることができず、短所ばかりに目が行くようになります。
そのため、ネガティブな気分のときは、「もし明日、自分がHSPの短所による生きづらさを克服したらやっていること」を、実際にやってみることです。
これは、カウンセリング技術である「解決志向ブリーフセラピー(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)」で使用される「ミラクル・クエスチョン」を応用した技術となります。
「ミラクル・クエスチョン」の概要は、以下のとおり引用掲載いたします。
【「ミラクル・クエスチョン」とは?】
「眠っているあいだに奇跡が起こり、解決が起こっている。そうすると翌日は(要するに解決したあとの一日は)どんな様子をしているのか」。これがミラクル・クエスチョンの骨子です。
(中略)
「解決に向けての有効な質問」であり、解決像=ソリューション・イメージを引き出すための質問になるわけです。
引用:森俊夫・黒沢幸子(2002)「<森・黒沢のワークショップで学ぶ>解決志向ブリーフセラピー」ほんの森出版
ミラクル・クエスチョンは、カウンセリング現場において、悩んでいる来談者へ解決を導くための一つの技術です。
恐らく、HSPの方で、「生きづらさを克服したい」と思っている人は多くても、「克服するために、具体的に〇〇をしよう!」というところまでたどりついている人は少ないのではないでしょうか。
気分がポジティブなときは、自ら改善策を集めて、色々と試してみようという気力が起きることがあると思います。
だから、ルール①を踏まえて、気持ちに身を任せてみましょう。
だけど、ネガティブなときは、間違った意識を持ってしまいます。
そのときは、「ミラクル・クエスチョン」を使ってみましょう!
具体的には、自分に対して、「眠っているあいだに奇跡が起こり、自分がHSPの短所による生きづらさを克服したら、どんな様子をしているのか。」と問いかけてみましょう。
大事なのは、具体的にどういう行動をとるのかということをイメージすることです。
もし、イメージしてみて、これまで自分が実際にやっていなかった行動が頭に思い浮かんだとしましょう。
そしたら、一つでもいいので、実際に行動に移してみましょう。どんなに些細なことでもOKです。
実は、この質問は、私自身が「うつ病」になったときに、「うつヌケ」のきっかけとなった一言でもありました。(当時は、「ミラクル・クエスチョン」という概念すら知りませんでしたが…。」
解決のための手段は、人の数だけ答えがあります。
その答えを知るための手段の一つとして、ぜひ皆さまに活用いただきたいと考えております!
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まとめ
・「HSPを言い訳に使うこと」は、自己成長を阻害するため、今すぐにやめましょう! ・そして、HSPを「弱点を克服する・長所を生かすための道具」として意識するようにしましょう! ・そのために、自分の気分がポジティブなときは、長所を生かす方法と短所の改善策を集めて、一つ一つ試してみましょう! ・逆に自分の気分がネガティブなときは、「もし明日、自分がHSPの短所による生きづらさを克服したらやっていること」をイメージして、これまで自分が実際にやっていなかった行動(どんなに些細でもOK)をやってみましょう! |
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あとがき
今回は、自分がHSPであることを知ることが、自己成長を阻害する「凶器」につながり得ることを述べてきました。
実はこれ、自分への反省も込めて述べております。
以前の記事でも述べてきましたが、上司からのパワハラで、私は「うつ病」になったことがあります。(※具体的には、以下の記事を参照してください。)
その時に、上司から、「お前はアスペルガー症候群の特徴がある。(本を渡されながら、)参考になる部分があると思うから、読んで学んで来い。」と言われました。
実際には、病院で「アスペルガー症候群ではない」という診断を受けたのですが、その前までは、自分がアスペルガー症候群の短所による生きづらさを意識しすぎて、自分の行動がより制限されましたし、これを言い訳にして成長の歩みを止めてしまったのです。
また、HSPは気質であり、病院から診断を受けるものでないため、自分がHSPだと知っても、うまく付き合えていない人も多いのではないかと思います。
「意識」というのはマイナスに作用したときには「凶器」になるということを、身をもって体験していたため、今回は警鐘を鳴らす記事の内容としました。
今回の記事が皆さまのためになりましたら、大変幸いです!
ぜひ、次回の記事もご覧ください!
*2019年3月26日 ブログへのコメントを踏まえ追記
「HSPであることを明かすべきだという意見が多数ということに対して、明かすべきでない」というのは、極論ではないかというご指摘をいただきました。
本記事については、私がHSPだと明かしたことで逆効果だったという自己体験から生まれている、ひとつの意見だということでご理解いただけますと大変幸いです。(病気と認められている「うつ病」であったときも、同様の経験をしています。)
私の考え方としては、他人に明かすこと自体が悪いことではなく、「他人に明かす」にあたっても、相手の配慮を自然に引き出すような伝え方であれば、生きやすさにつながることだと思っています。
以前にブログ記事に、ストレートにHSPだと明かしても相手に伝わらない理由と工夫した伝え方をまとめております。もし、ご覧いただけるようであれば、大変嬉しく思います。
HSPの人の生きづらさはどうして他人に理解されないのか?職場などで配慮してもらうためのコツも
コメント
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HSPであることを明かすべきという意見が多数ということに対して、
明かすべきでないと反論するのは、短絡的すぎます。
せめて、結論を急がないように提唱すべきでしょう。
両極端な提案をしたら、HSPの人たちが戸惑うだけだということを、当人なのに想像出来ないのですか?
不特定多数が見るものと自覚してください。
そして、藁をもすがる人たちが見るということも。
ブログ記事をご覧いただきまして、ありがとうございます。また、ご指摘いただきまして、ありがとうございます。
結論を急ぐべきでないというご意見には一理あるという風に考えます。
一方で、当人だからこそ、断定して書かせていただいているという側面もあります。(自己体験に基づく提唱でもあります。)
私の周りには、良い人が多かったわけではなかったので、明かしたところで誰も助けてくれなかった…という過去があります。(病気として認められている「うつ病」ですら、周りからは「甘え」として処理され、明かすことが逆効果でした。)
だからこそ、断定的に書かせていただいている…ということにつながっております。
さて、私の考え方としては、他人に明かすこと自体が悪いことではなく、「他人に明かす」にあたっても、相手の配慮を自然に引き出すような伝え方であれば、生きやすさにつながることだと思っています。
以前にブログ記事に、ストレートにHSPだと明かしても相手に伝わらない理由と工夫した伝え方をまとめております。もし、ご覧いただけるようであれば、大変嬉しく思います。(ご覧いただいた記事の本文にも、下記のリンクを掲載いたします。)
https://workstyle-of-hsp.net/experiences-about-hsp/no-understood/
どうしてもブログという媒体である以上、主観性が強くなってしまうこと、ご容赦いただけますと大変幸いです。
極力、曲解を招かないように、努めてまいります。
ぜひ、今後とも、本ブログをよろしくお願いいたします。