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HSP働き方戦略室|明日から使える処方箋をあなたに。

【HSP対談vol.8】HSPや発達障害の人の仕事の悩みとは?

私(ぽん乃助)
今回は、HSPや発達障害の人の仕事のツラさについて、対談を実施しました。対談で分かったことや気づいたことをまとめていきます!

 

 2019年7月14日に、HSPの働き方に関する8回目の対談を実施しました!

 HSPとは、生まれつき5人に1人は当てはまる、繊細で敏感な性格の人を指します。(詳しくは、こちらから解説をご覧ください。)

 HSPの人は、繊細で敏感な性格がゆえに仕事で悩みを抱えやすく、どのように働いていくべきかということについては、大きな課題とされてきました。

 そのため、HSPにとっての最適な働き方を探るべく、色んな方々と対談を実施しています。

 前回の対談の模様も記事にまとめておりますので、気になる方はぜひ、以下のリンクからご覧ください!

 

 

 今回は、人の悩みを基軸に、コミュニティスペースやフリースクールなどを運営している「ココトモ」の活動に参加させていただき、HSPの人のみならず、発達障害の方々も交えて、お話をさせていただきました。

 今回は、対談で見えてきた、HSPや発達障害の人の仕事のツラさや働きやすい職場の条件について、お伝えしていきます。

 ぜひ、最後までご覧ください!




 

対談の概要について

日時:2019年7月14日(日)

場所:ココトモハウス

 さて、今回は、私がカウンセリングを勉強させていただいている関係からお世話になっている、ココトモハウスさんにお邪魔し、HSPや発達障害における仕事の悩みごとなどのお話をさせていただきました。

 「ココトモ」は、コミュニティスペースやフリースクール、そして掲示板・アプリ等で、「生きづらさ」を感じている方々などに、居場所を提供されています。

 今回はじめて、コミュニティスペースを訪問させていただきましたが、居心地がよくありつつも、真面目な話もしやすい…そんな雰囲気が醸成されていました。(当日の模様は、タイトルの写真のとおりです。撮影者なので、私は映っていません。笑)

 そんな中で、HSPの方と発達障害の方が一堂に会し、色んな立場から仕事の悩みなどを話し合うことができました。

 発達障害は、HSPとは異なる概念であるものの、生まれつきの特性であることや仕事での悩みごとが一部共通していることなどから、一緒にお話しすることで、HSPと発達障害の双方に通ずる課題が見えてきました。(発達障害における、その概念の解説とHSPとの違いについては、以前記事にまとめたことがありますので、以下のリンクからご参照ください。)

 

 

 また、実際にお話しすることで、理想論ではなく、現実味のある話題に迫ることができました。

 そのため、今回の対談で、HSPや発達障害などにより仕事で悩みを抱えている方々に参考になることがたくさん得られましたので、記事にまとめることにしました。

 また、HSPや発達障害などに限らず、みんなが働きやすい職場につなげるためのヒントも得られましたので、併せてお伝えしていくこととします!

 

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対談を通じて分かったこととは?

(1)HSPや発達障害の当事者や周囲の人の悩みについて

 対談では、HSPや発達障害の当事者の悩みについて、たくさん挙がりました。

 そこで、挙げられた悩みについて、下記のとおり整理しました。

【HSPや発達障害の当事者が抱える悩み】

悩み①:叱られることが多くて自信をなくしてしまう(自分を責めてしまう)
<実際の意見>
「他人が普通にできることがうまくいかず、叱られ続けて自信喪失してしまう。」
「ダメだというレッテルを一度貼られると、何をやってもうまくいかないと思われる。」
「自信喪失して何もできないと、それはそれで強く叱られる。」

悩み②:本音で相談しづらい
<実際の意見>
「相談したいことはたくさんある。だけど、相談したら職場に広まってしまうことなどがあるので不安。」
「紙面のストレス調査でも、本人が特定できる可能性があったり、裏の意図を読んだりして、正直に書けない。」
「心から信頼して、相談できる人が職場にいない。」

悩み③:仕事の指示の趣旨が分からない
<実際の意見>
「打合せなどでの仕事の指示が理解できず、仕事が滞ることがある。」
「指示の趣旨が分からない場合も、なかなか確認しづらいときがある。」

悩み④:特別視されたくない
<実際の意見>
「親や職場の人から『普通』でいてほしいという期待が大きく感じてツラい。」
「特別に対応されることが周囲に分かってほしくない。」

 

 色んな悩みを聞いている中で、今回の対談で挙がった悩みは、上記のとおり3つに分かれるのではないかと思っています。

 ただ、今回の対談では、HSPや発達障害の人をはじめ、職場で社員を支援する管理職の立場などの人の悩みもたくさん挙がりました。

【職場で社員を支援する管理職などの立場での悩み】

悩み①:時間がない中で社員一人ひとりの責任を背負わなければならない
<実際の意見>
「社員同士の人間関係まで把握し、介入できる余裕がない。だけど、人間関係の問題が社員の離職などにつながる。」
「その責任を負わなければいけない管理職の立場だとツラい。だけど、人材教育のマニュアルなどなくて、どうしようもない。」

悩み②:上司から部下の指導を強いられる
<実際の意見>
「中間管理職の立場だと、上司から部下の指導を強いられるため、どんな人であっても平等に指導しているように見せなければいけない。」
「みんながいる前で叱ることが、きちんと指導しているアピールになる。」

悩み③:仕事の指示が的確に伝わらず、チームの期日やノルマを達成できない
<実際の意見>
「仕事の指示が社員に的確に伝わっておらず、仕事の進捗に滞りが生じる。」
「仕事の進捗の滞りに気づいたときには、仕事の期日やノルマを、挽回して達成できないことがある。」

悩み④:HSPや発達障害などを言い訳にして仕事を断られる
<実際の意見>
「チームでやるべき仕事が多い中で、自分の気質を言い訳にして仕事を断られるのはツラい。」
「仕事を断るのを容認すると、周囲のメンバーの負荷やストレスが溜まる。」

 

 こう考えてみると、HSPや発達障害の当事者の悩みがある一方で、社員を支援する管理職などの立場の人にも悩みがあるということが分かります…しかも、両者のそれぞれの悩みが、対応していることも分かります。

 そのため、これらの悩みを打開するためには、HSPや発達障害の当事者が工夫するとともに、管理職などの支援する立場においても工夫する必要があるということが分かります。

 そこで、当事者と支援者がそれぞれで工夫すべきことについて、次にまとめていきたいと思います。

 

(2)HSPや発達障害の人の悩みの打開策について

 さて、これまでは、対談で挙げられたHSPや発達障害の人の悩みを整理するとともに、管理職などの支援する立場での悩みも整理してきました。

 この対談では、支援する立場の人もいらっしゃったので、この悩みの打開策について、それぞれの立場から挙がりました。

 対談で挙がった打開策や私の考察も含め、打開策について、下記のとおり整理しました。

【HSPや発達障害の人の悩みの打開策について】

●HSPや発達障害の人の立場で工夫できること
・常に練習や実験の場だと思って、自分の言動に変化を加えてみる。
・まずは周囲に1人でもいいので、相談ができるような信頼のおける人を味方につける。
・仕事の指示で分からないことがあったら、「○○ということでよろしいですか?」といったように、自分の理解が正しいかどうかを確認する。
・自分の力では変えることのできない「普通でないこと」を、ありのまま認める。

●管理職などの支援する立場で工夫できること
・ストレスなどのアンケートだけではなく、スキマ時間での対話(例:「最近、仕事の調子どう?」などの呼びかけ)を通じて、人間関係の悩みを把握する。
・他の人がいる前で特定の社員を叱ることは、職場全体の雰囲気や生産性に悪影響を及ぼすため、しないようにする。
・打合せなどを通じて、口頭だけでしっかりと指示をしたと思い込まず、指示の内容や期日をホワイトボードやメールなどで文字にして伝える。
・悩んでいる人に対しては、みんながいないところで相談や介入をし、表では他の人と同様に接する。

 こうしてみると、明日から実践できるものも多いのではないかと思います。

 ただ、これは記事の中でも繰り返し伝えていますが、HSPや発達障害の人であっても、一人ひとりの個性は違うので、万人に通ずる解決策はありません。

 そのため、大切なことは、「実践を続けること」「うまくいかなければやり方を少しずつ変えて自分に合うやり方を見つけること」だと思っています。

 このことについては、以前詳しく記事にまとめたことがありますので、気になる方はぜひ、以下のリンクからご参照いただければと思います!

 

 

(3)働きやすい職場の条件やヒントについて

 さて、今回の対談を通じて、HSPや発達障害などの人に限らず、みんなにとって働きやすい職場の条件やヒントについても見出すことができました。

 それは、傾聴ボランティアやカウンセリングとともに、創作活動もされている参加者であったあいさんの体験談に詰まっていました。(前述の悩みの解決策を考えるにあたっても、あいさんのご意見を多く参考にさせていただきました。この場をお借りして、感謝申し上げます。)

 その体験談として、下記のとおり、お話がありました。

あいさん
私は大学のときに、適応障害を抱えてしまい、学校内の委員会を複数掛け持ちしている中で苦悩を抱えていました。そんな状況に気づいてくれた先生は、みんなに気づかれないように支援をしてくれました。最後には、周囲の人に適応障害だと気づかれないまま、委員会はうまくこなしたという事実だけを作ってくれました。

 

 私は、このお話を聞いたときに、働きやすい職場に通ずる条件やヒントが詰まっていると思いました。

 これを考えるにあたっては、対談当日でも話題になりましたが、「普通」という概念を問い直す必要があると思っています。

 日本では、欧米諸国などと比べて「普通」を重要視する文化にあると言われています。

 その理由については、下記のとおり示します。

アメリカとの対比になりますが、異なる民族が入り混じった社会では、言語を中心とした文化に関する共通理解というものは、互いにほとんどないのが前提になります。ひるがえって日本では、島国という特性上、言葉はもちろんのこと、自分たちが育った環境に対する常識というものが、日本国内のどこに行っても通用して当然という前提があります。

(中略)

日本人にとって、欧米人の「神との契約」に相当するほどに行動を規定するもの、それは横の関係すなわち「人と人との間」に存在します。欧米人が神の教えに倫理的配慮を行なうのに対して、私たち日本人は世間の感覚に対して倫理的配慮をしながら、自らの行動の意思決定を行なっているのです。

引用:中西康介(2017)『家族と向き合う不登校臨床―保護者の積極的な関わりを引き出すために』誠信書房

 これらの理由に加え、日本社会はこれまで経済成長下にいたため、職場においても「普通」という感覚が大事にされているわけです。

 具体的には、仕事ができるリーダーや社員を目標に、みんな一様に追い抜け・追い越せで、社会も・会社も・個人もうまくいっていたわけです。

 でも、今は周りを見渡してみると、状況は変わってきています。

 日本社会は、人口減少や国際競争の波におされて、経済低迷の状況に陥っています。

 また、職場をみても、HSPや発達障害に限らず、労働者一人ひとりのグローバルやジェンダーなどといった「多様性」の概念が見られるようになりました。

 でも、実態はこの社会背景に対応できていない職場が多くあるのではないかと思います。

 昔うまくいったことと同じことをやれば、今後もうまくいくと思いたい…でも、実際はそんなに甘くありません。

 そこで、私はどんな人であっても、「多様性」を受け入れることが重要であり、次の考え方を持つことがその一助だと思っています。

【職場において「多様性」を受け入れるための考え方】

・どんな人であっても、努力で変えられない「個性」を持っている。でも、努力で変えられる部分も持っている。

・HSPや発達障害などは「個性」を形づくる一要素にすぎない。だから、一人ひとりの「個性」は全く違うし、一人ひとりの正解も違う。

 

 さて、仕事の現場では、サービスや製品の価値を時間内にどれだけ生み出せたのかといった「生産性」を基準に置かれます。

 そのため、上記の考え方では、一人ひとりのことを考えなければいけないため、全体の効率が落ちて、「生産性」も低くなるのではないかと思う人もいるかもしれません。

 だけど、私は、長期的に見れば、こうした一人ひとりへのアプローチが会社の「生産性」の向上にもつながるのではないかと考えています。

 それは、本音を言い合える(働きやすい)職場の雰囲気作りにつながるからだと思っています。

 本音を言い合える…というのは、Google社の研究でも「生産性」の向上につながることがわかっています。

 だからこそ、私は、「多様性」を受け入れることが、社会としても・会社としても・個人としても、大事なのではないかと考えています。

 なお、この「生産性」に関するお話は、以前に記事に詳しくまとめたことがありますので、気になる方はぜひ、以下のリンクからご覧ください!

 

 

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まとめ

【本対談で分かったこと(推測含む)】

●HSPや発達障害の当事者や周囲の人の悩みとは?

・HSPや発達障害の当事者の立場では、「①叱られることが多くて自信をなくしてしまう(自分を責めてしまう)」「②本音で相談しづらい」「③仕事の指示の趣旨が分からない」「④特別視されたくない」といった悩みが挙げられる。

・その一方で、職場で社員を支援する管理職などの立場としては、「①時間がない中で社員一人ひとりの責任を背負わなければならない」「②上司から部下の指導を強いられる」「③仕事の指示が的確に伝わらず、チームの期日やノルマを達成できない」「④HSPや発達障害などを言い訳にして仕事を断られる」といった悩みが挙げられる。

 

●HSPや発達障害の人の悩みの打開策とは?

・上記の悩みを踏まえ、HSPや発達障害の当事者の立場では、「①常に練習や実験の場だと思って、自分の言動に変化を加えてみる」「②まずは周囲に1人でもいいので、相談ができるような信頼のおける人を味方につける」「③仕事の指示で分からないことがあったら、『○○ということでよろしいですか?』といったように、自分の理解が正しいかどうかを確認する」「自分の力では変えることのできない『普通でないこと』を、ありのまま認める」といった工夫が、打開策につながる。

・その一方で、職場で社員を支援する管理職などの立場としては、「①ストレスなどのアンケートだけではなく、スキマ時間での対話(例:「最近、仕事の調子どう?」などの呼びかけ)を通じて、人間関係の悩みを把握する」「②他の人がいる前で特定の社員を叱ることは、職場全体の雰囲気や生産性に悪影響を及ぼすため、しないようにする」「③打合せなどを通じて、口頭だけでしっかりと指示をしたと思い込まず、指示の内容や期日をホワイトボードやメールなどで文字にして伝える」「④悩んでいる人に対しては、みんながいないところで相談や介入をし、表では他の人と同様に接する」といった工夫が、打開策につながる。

 

●働きやすい職場の条件やヒントとは?

・現在の社会の状況を踏まえると、HSPや発達障害のみならず、「多様性」を受け入れることから避けられない。

・多様性を受け入れるためには、「①どんな人であっても、努力で変えられない「個性」を持っている。でも、努力で変えられる部分も持っている」「②HSPや発達障害などは「個性」を形づくる一要素にすぎない。だから、一人ひとりの「個性」は全く違うし、一人ひとりの正解も違う」といった考え方を持つことが大事。

・こうした一人ひとりへアプローチする考え方は、長期的に見れば、本音を言い合える(働きやすい)職場の雰囲気にもつながり、「生産性」の向上にもつながると考えられる。

 

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おわりに

 さて、今回の対談でも、HSPや発達障害の人などの「生きづらさ」を乗り越えるにあたって、大事なことをたくさん知ることができました。

 今回この機会にお招きいただいた、ココトモ副管理人のジョジョさん、また、お話させていただいた皆さま、本当にありがとうございました。

 この場を借りて、改めてお礼申し上げます。

 今回は、色んな立場の人が一堂に会したからこそ、分かったことがたくさんありました。

 HSPや発達障害の人が抱える悩みとともに、悩みを乗り越えるための明日から試せるような工夫も見えてきましたので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

 今後も、色んな人の働き方の事例を集め、HSPの人の理想の働き方を追い求めるべく、引き続き対談を実施していきたいと思います。

 それでは、今回はこの辺で終えたいと思います。

 もし、悩んでいる方にとって、少しでもお役に立てたのであれば、大変幸いです。

 それでは、また次回も、よろしくお願いいたします!

 

※2019年7月29日に、第9回対談を実施しました!

 

 

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プロフィール

 

名前:ぽん乃助

 

社会の荒波に揉まれ、猫の皮を被ることになった繊細な人間。世の人間たちの間では、繊細な気質のことをHSPと謳って色んな情報が溢れる中、猫の穿った目線で処世術のヒントっぽいことを呟く。猫パンチのない、穏やかな世界が好き。箱の中で生死を待つのではなく、箱の外に出ることを選択するシュレーディンガーの猫になりたい。

 

 

 

 

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