HSPの人が保守的な社風の会社が合わない4つの理由とは?
HSPとは、生まれつき5人に1人は当てはまる、繊細で敏感な性格の人を指します。(詳しくは、こちらから解説をご覧ください。)
HSPの人は、繊細で敏感な性格がゆえに仕事で悩みを抱えやすく、「どのような仕事が向いているのか?」ということについては、大きな課題とされてきました。
今までも、HSPの適職について、本ブログで考察を深めてきましたが、今回は保守的な会社で働く私自身が、HSPの人に保守的な会社が合わない理由をお伝えしていきます!
なお、今回は、中原淳氏の著書『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?~』も一部参考にしております。
そもそも、保守的な社風の会社とは?
この世の中には、多種多様の職種があり、人それぞれ、職場の環境は違うかと思います。
今回は、「保守的な社風の会社」をテーマとしておりますが、そもそも「自分の会社が保守的な社風なのかどうか、わからない…」と感じる人も多いことでしょう。
保守的と聞くと、人によってはイメージが違うと思います。
ポジティブなイメージとしては、「古き良き伝統を残していて、堅実である」などが挙げられると思います。
逆にネガティブなイメージとしては、「時代背景を追い切れておらず、古臭い」などが挙げられると思います。
本ブログでは、保守的な会社について、雇用や人事評価の面から、次のとおり定義することとします。
【保守的な会社とは?】 ・雇用形態…「新卒採用」が中心で、「終身雇用」を前提に人事育成を行う ・人事評価…「年功序列(※1)」&「職能給(※2)」 ※1 年功序列は、年齢などに応じて役職や賃金を上昇させる人事制度 |
これらの雇用形態は、日本の多くの企業で敷かれている人事制度であるため、多くの方が身をもって理解している制度なのではないかと思います。
ただ、雇用形態や人事評価も、会社によってその度合いが異なります。
具体的には、「新卒採用」「終身雇用」「年功序列」「職能給」という制度に重きを置いている度合いに応じて、その会社の保守度合いも変わるのではないかと考えております。
あなたの会社が、「『新卒採用』『終身雇用』『年功序列』『職能給』といった価値が絶対だ!」という考えを持つのであれば、それは超保守的な会社だと、ここでは定義したいと思います。
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HSPの人が保守的な社風の会社が合わない4つの理由とは?
(1)HSPの人にとっての適職条件である「アイデア」や「ひらめき」を活かせないため
保守的な社風な会社では、「年功序列」&「職能給」の制度により、入社年度が早い人ほど、偉くなっていきます。
そして、「新卒採用」&「終身雇用」を前提としているため、他社の風が入りにくくなります。
そうすると、新しいアイデアやひらめきよりも、過去の成功経験が重視される傾向が生まれます。
保守的な会社でも、「自分で考えて、進めることが大事だ!」とよく言われます。
だけれども、上司が「No」と言えば仕事を進めることができないため、「いかに上司の好みの案にするのか?」ということを考えるようになります。
基本的には過去の成功経験を判断基準とする偉い人が多いため、職員の立場からすると、アイデアやひらめきを上司に提案しづらくなるのです。
さて、HSPの人の適職条件として、次のとおり、言われています。
【HSPの人にとっての適職】 ・画家や音楽家、詩人、小説家、写真家、俳優、舞台監督や映画監督などの芸術家(HSPの持つ豊かな情感やイマジネーション、鋭い感受性やひらめきを活かせる仕事) ・デザイナー、カメラマン、コピーライター、イラストレーターなどのクリエイティブな業種(ひらめきやセンス、感受性といったものが要求され、1人で机や作業台に向かって自分のペースで行える仕事) ・企画営業などの自身の企画をクライアントに提案する職種(一般組織における、アイデアやひらめきを大切にする仕事) ・商品の開発や商品の欠陥チェックなどの敏感なセンサーを用いる職種(一般組織における、敏感な感覚や直観力、粘り強さを活かせる職種) 参考:長沼睦雄(2016)『「敏感すぎる自分」を好きになれる本』青春出版社 |
ここでわかるとおり、HSPの人の適職条件としては、「アイデア」や「ひらめき」を活かせるということが、共通して言えると思います。
ただ、保守的な会社ですと、「アイデア」や「ひらめき」を活かせる可能性が、とても低くなるのです。
(2)HSPの人の苦手な「飲み会」等の密なコミュニケーションが重要であるため
先述のとおり、保守的な社風な会社では、「新卒採用」&「終身雇用」を前提としているため、他社の風が入りにくくなります。
そのため、社内において「いかに上司や同僚に気に入られるか?」という点が、仕事の評価基準や仕事の進めやすさのうえで、非常に大事になってきます。
また、若年層は「飲みニケーション」と揶揄されるように、飲み会を好まない傾向にあります。
特にHSPの人は、年齢層限らず、多数の人と一堂に会して気を遣い続けなければいけない飲み会が、とても苦手と言われています。
ただ、保守的な会社ですと、「年功序列」&「職能給」の制度により、入社年度が早い人ほど偉いため、飲み会を好む傾向にあります。
そのため、仕事以外の飲み会などの場で上司や同僚と仲を深めることが強く求められます。
そして、会社が保守的であればあるほど、「飲み会を断る」というハードルも高くなってくるのではないかと思います。
(3)社外で通用するスキルを学ぶ機会が少ないため
さて、仕事で使うスキルは、大きく2つに分かれます。
【仕事で使うスキル】 ①社内でしか通用しないスキル ②社外にも通用するスキル |
保守的な会社ですと、終身雇用でその会社に居続ける前提で育成がなされます。
そのため、「①社内でしか通用しないスキル」をしっかりと教育し、「②社外にも通用するスキル」を軽視する傾向にあります。
業界によっては、「②社外にも通用するスキル」を教えすぎると転職されるリスクにもつながるため、あえて自主学習に委ねている会社もあると思います。
よく、「転職前の会社では評価されていたが、転職後の会社では評価されなくなった…」という話も聞きますが、これはその人の「②社外にも通用するスキル」が乏しかったということが一原因でもあります。
なんでこんな話をしたかというと、過去に転職経験のあるHSPの人たちを対象として、Twitterで実施したアンケートで、こんな結果が得られたからです。
転職など、働く環境を変えた経験のある #HSP の方にご質問です。
働く環境を変えることで、以前よりも働きやすくなりましたか?
HSPの方が気になる質問だと思いますので、是非リツイート&回答いただけますと嬉しいです!
— ぽん乃助@HSP働き方戦略ブロガー (@suke_of_pon) 2018年11月25日
転職などで「働く環境を変えて働きやすくなった」と答えた人は、85%以上にものぼったのです。
つまりは、HSPの人が適職につくためには、転職も視野に入れたキャリアを構築することが合理的と考えられるわけです。
逆に言えば、転職がしづらい仕事に就いていると、合わない仕事で働き続けて、一生を終える可能性もあるというわけです。
そのため、保守的な会社ですと、「②社外にも通用するスキル」を学ぶ機会が少ないため、リスキーともいえるわけです。
また、昨今では、「働き方改革」が叫ばれています。
皆さん、この「働き方改革」の目的をご存知でしょうか?
これは、少子高齢化で働き手を失っている日本において、「人手不足」に悩まされている会社が増えている(これからも増える)から、国家として取り組んでいるわけです。
中原淳氏の著書『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?~』では、次のとおり述べられています。
政府主導の「働き方改革」「働き方改革法」の詳細に踏み込むことは避けますが、この動きの背景にある根本的な問いは、少子高齢化が進む日本において「誰が働き、どのように社会を支えていくのか」ということです。端的に言うなら、長時間労働に代表される労働慣行を見直さなければ、働き手を増やすことができないのです。
(中略)
これがスタンダードである限り、「働く人」=「長時間労働が可能な一部の人」となり、いつまでたっても「働く人」の数を増やすことはできません。つまり、長時間労働の雇用慣行が、共働き夫婦、外国人、高齢者などの「長時間労働ができない人」の労働参加を大きく「阻害」しているということです。
引用:中原淳(2018)『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?~』光文社
つまりは、社会背景的にも、保守的な会社は「人手不足」による危機に立たされているというわけですね。
恐らく、多くの人の会社でも、「人手不足」というワードをよく聞くのではないでしょうか?
ただ、こう言いたい人もいると思います。
いやいや、そうでもないんです。
日本の少子高齢化の推移と今後の予測は、次のとおりとされています。
このグラフからも読み取れるように、とてつもないペースで、日本は少子高齢化が進むことが予想されています。
更には、「人手不足」を理由に倒産している会社がここ数年で急速な増加傾向にあることも確かです。
つまりは、保守的な会社が「堅実で、入社したら一生安泰」というイメージも、現に崩れ去ってきているのです。
だからこそ、転職無しのキャリアを築き上げるのは、難しい時代になっているのも事実というわけです。
(4)「仕事ができる人」も「仕事ができない人」も、HSPにとっては苦境に立たされるため
保守的な社風の会社は、新卒採用や中途採用においても人気がある傾向にあります。
それは、「安定している」というイメージが強いからです。
さらには、「安定している」ため、「ワークライフバランスもしっかり整っている」というイメージも聞くことがあります。
ただ、「保守的な社風の会社=安定している=ワークライフバランスが整っている」という構図は崩れかけています。
先述のとおり、保守的な社風の会社は、残業に頼った働き方を続けているため、少子高齢化の波に対応しきれなくなる可能性が高くなっているからです。
それでは、なぜ、残業に頼った働き方を解消することができないのでしょうか?
中原淳氏の著書『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?~』では、データに基づき、次のとおり述べられています。
個人のレベルでは、勤務時間内にはこなせない量の業務があり、そのために残業をするわけですが、いくらやっても終わらず、日々残業を繰り返すうち、それが当たり前になります。残業が習慣化し、残業代が支払われることも当然になってくると、「残業代を前提として家計を組み立て」始め、もはや生活給の一部となります。そうなると、残業代が支払われなくなることは大きな「損失」「デメリット」と感じられるようになります。また、残業によって生み出された成果が組織内で評価されると、人によっては、過剰な長時間残業を続けていながら幸福感が高まる「麻痺」の状態になり、これがさらに残業習慣を強めていきます。
組織のレベルで長時間残業を強化してしまうのが、「集中」と「感染」です。習慣的な残業によって多くの業務をこなしている人は、組織内で「できる人」とみなされ、「できる部下に仕事を振る」マネジメントにより、さらに多くの業務を任されます。その人に業務が集中するわけです。そして、その職場に「周りの人がまだ働いていると帰りにくい雰囲気」があると、長時間残業は職場全体に「感染」します。職場全体に残業習慣が広がり、不文律となっていきます。
多くの場合、長時間残業をしているのは上司や活躍している先輩であるため、若い世代はその顔色をうかがって残業するようになります。特に新人時代はこうした「上司」や「先輩」からの影響を受けやすく、残業習慣が世代間で伝わる「遺伝」現象につながっていきます。
(中略)
しかし今、蓄積されてきた「負の組織学習効果」に対して、人手不足、産業構造の変化、労務管理のリスク、新たな価値観といった、変化する外部環境とのコンフリクト(考えや利害の衝突)が起きているのです。
引用:中原淳(2018)『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?~』光文社
ここで分かるとおり、残業に頼った働き方は、保守的な企業において、個人レベルではなく組織・世代レベルで染みついており、「働き方改革」を実現することが難しいというわけです。
さて、ここにもあるとおり、保守的な企業においては、「仕事ができる人」に仕事が集中する傾向があります。
一方で、「仕事ができない人」は、組織内で冷酷な扱いをされることになります(先述のとおり、保守的な会社では転職しづらいため、この状況から抜けづらい)。
そのため、疲れやすく、さらには人目を気にしやすいHSPの人にとって、保守的な会社では「仕事ができる人」であっても「仕事ができない人」であっても、厳しい状況に置かれるというわけです。
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まとめ
・「保守的な社風の会社」は、本ブログ記事においては次のとおり定義。
・HSPの人が保守的な社風の会社が合わない4つの理由は次のとおり!
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おわりに
さて、今回の記事はいかがでしたでしょうか。
恐らく、「保守的な社風の会社」は日本において、多くを占めているため、同感されている人も多いのではないかと思います。
HSPの人が仕事で悩みを抱えている理由は、そもそも日本の雇用システムに問題があるのではないかと思い、今回は社会的な切り口で考えてきました。
さて、記事作成にあたって著書『残業学~明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?~』を参考にしてきましたが、今回ご紹介した内容はほんの一部です。
「日本の残業の問題をもっと知りたい」と思う人や、「実際にどうすれば解決できるのか?」と考える人は、有用なデータが詰まった良い本ですので、ぜひ読んでみてくださいね!
今回はHSPの人にとって合わない会社を考えてきましたが、これまではHSPの人にとっての適職を考えてきました。
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それでは、今回はこの辺で終えたいと思います。
もし、悩んでいる方にとって、少しでもお役に立てたのであれば、大変幸いです。
それでは、また次回も、よろしくお願いいたします!
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