【対談】HSPの人が働きやすい環境を考える#03
HSPの人は、繊細で敏感な気質を持つと言われます。(正確には、良くも悪くも環境の影響を受けやすい気質のことを指します。)
HSPコミュニティの活動を積極的にされているばっしーさんと、「HSPと働く環境」をテーマとしたTwitterのスペースの第3回を開催し、HSPの方々に参加いただき、色々なご意見をいただきました。
そして、スペースを終えて、大事だと思ったポイントをTwitterにまとめてみました。
【今日のスペースのキーワード】
・朝のルーティンの有効性
・倹約すれば仕事の幅が広がる
・目的を持つことの重要性
・1対1の場をつくる大事さ
・障害者雇用と周囲の理解
・一人で抱え込まない大事さ
・仕事探しの情報収集
・何よりも仲間の大切さ
・カウンセリングの有効性
・異文化から学ぶ発見 https://t.co/VcKdZ0eTem— ぽん乃助|繊細な人の働き方戦略家 (@suke_of_pon) December 17, 2021
今回の記事では、ここに挙げたポイントについて、さらに深く考察していきたいと思います。
この記事の目次
スペースでの対話を通じて学んだこと
(1)朝のルーティーンの有効性
近年、朝のルーティンは健康に優れると言うことで話題になることもありますが、自分の周囲で実践したことがある人をみたことがありませんでした。
私自身、朝が非常に苦手な人間ですので、いかに朝の準備を楽にできるかを追求してしまうのですが…
実践している人のお話を聞くと、朝のルーティンの重要性がより伝わってきました。
科学的には、脳の注意力や集中力を司る「認知資源」というものがあり、一日に使える「認知資源」は有限とされています。
例えば、「朝いろいろとやらなきゃ…」と考えれば考えるほど、「認知資源」は失われていき、朝から疲れてしまうという状態を引き起こしてしまいます。
そう言う意味でも、朝やることをルーティンとして決めておくというのは、『疲れやすい』という状態から抜け出すためにも有効な場合があると言えます。
快適な朝を迎えたいと言う方は、ぜひ朝にルーティンを取り入れてみてはいかがでしょうか?
(2)倹約すれば仕事の幅が広がる
『働き方』をテーマとすると、「自分に合った適職は?」という問いから入る場合が多いですよね。
でも実際は、収入の面だけでなく、支出の面を考えるということもとても大切です。
おそらく、会社員の多くの人は自動的に収入が入ってくるからこそ、「本当に自分に必要な生活費はいくらか?」ということを把握していない人も多いと思います。
実は、日々の生活費を抑えることができれば、許容できる収入の幅が広くなるので、働き方の選択肢が広がると言えます。
最初の手続きはちょっと大変ですが、携帯の料金を見直してみるとか、入っている保険を見直してみるとか、月々かかる固定費の支出を見直すと、意外と生活費は抑えることができたりするものです。
なかなか日本では、「お金」の話をすると胡散臭い認定をされてしまうので、私自身も発信の中では「お金」の話を持ち出さないようにしていますが、少なくとも倹約をすることで心の余裕を作ることができるので、できるところから倹約をはじめることをおすすめします。
実際、仕事でストレスとかが溜まっていると、無意識的に浪費でストレス発散することがあるんですよね。
そのため、itsukoさんが仰っていた「お金を使う目的を考える」というのは非常に大事だと思いました。
浪費だけじゃなくて色んなことに言えますが、衝動的に行動すると、後々になって後悔や虚無感が残ったりするんですよね。
なので、ストレスで衝動的な行動をしてしまいがちな方は「目的を考える」ということで一度冷静になってみて、本当に自分のためになることに時間やお金を使ってみると充実感が増すかもしれません。
(3)貢献感が職場の居場所につながる
私は仕事をするにあたって、「貢献感」というのはとても大切だと思っています。
少し前に、Twitterで私は、こんなツイートをしました。
綺麗事抜きで言うと、どこの世界でもある程度の貢献をしていないと、「居場所」どころか「発言権」も失うことになる。
職場でこういう状況に陥ると、毎日惨めな思いをして、希望も見えなくなるんだよね。
仕事で苦しんでいる人の心の背景には、こういう状況があるっていうのを、理解してほしいな。
— ぽん乃助|繊細な人の働き方戦略家 (@suke_of_pon) December 26, 2021
私は以前に会社で、「居場所」や「発言権」がなくなるという経験をしています。
実際に、どこの集団に属していても同じことを言えますが、その環境で何か貢献ができていないと「居場所」や「発言権」が無くなってしまうというのは、経験したことがある人も少なくないんじゃないかと思います。
私自身の経験ですが、この状況に追い込まれるとその環境で逆転するのは、正直かなり難しくなると思っています。
人間は現状のままでいたいという性質があるので、環境から抜け出すためには大きなエネルギーを要するのですが、それでも同じ環境に居続けると自己成長を図れないまま、心だけが消耗していく場合もあります。
なので、例えば会社で働く人の場合は、異動希望を出したり、転職をしたりすることも選択肢に入れてもいいんじゃないかと思います。
「居場所」や「発言権」が無いというのは、日々惨めな思いが募って本当につらいんですよね。
周りを見渡しても活躍する人ばかりが目立って、自分の価値が感じれなくなってしまうこともあります。
多分、この「貢献感」を求めて、Twitterやブログを始める人も少なくないと思います。
ただ、ネット上ではすごい人がたくさんいるので、自然と競争力も高いため、「貢献感」を得るのはなかなか難しいと思います。
だからこそ、小さな「貢献感」を少しずつ広げていけるように、自分でできることをコツコツと重ねていくことを目指すのが大事なんじゃないかと私は思います。
(4)1対1の場をつくることの大切さ
人間関係を構築していく上で、1対1の場を作っていくのはとても大切です。
皆さんも経験したことがある人もいるかもしれませんが、自信が無いときには、みんなの前ではなかなか自分の意見が言えなくても、1対1の場では意見が言えたりします。
仕事で1対1の場を作ると言うのはなかなか億劫ではありますが、例えば新しい職場で人間関係を構築しなければいけないときは、自分から1対1の時間を作ってみてください。
そうすることで、ちょっと合わなそうだなと思っている人でも打ち解けることができて、「仲間を増やす」ことができます。
理由は後ほどの項目で詳細に説明しますが、「仲間を増やす」ことが、その場での働きやすさに直結します。
人間関係に苦手意識を持つ人や、みんなの前で意見を言うのが苦手な人は、ぜひ1対1の場を作ってみるということを実践してみることをお勧めします。
(5)障害者雇用と周囲の理解
近年は制度の変更もあり、メンタルに関する障害者雇用に対して積極的な企業も増え、多様な人が働きやすい環境の醸成にもつながってきました。
その一方で、障害者雇用をしている会社であっても、職場では人間関係が切り離せないため、なかなか理解をしてもらえない人とも接さないといけない場合もあるのが実情です。
これは企業側の課題でもあると思いますが、個々人の意識としても多様性を受け入れると言うことについての課題があるのではないかと思っています。
私がここでポイントになると思うのは、「障害者だから●●はできない」と最初から決めつけるのではなく、普通に接する中で「何ができて何が難しいのか」ということを調整していくことが大事だと思っています。
これは、障害者に限らず、能力差がある人たちと一緒に働かなければいけない職場環境の中では、持っておいたほうが良い価値観だと思っています。
うまくいかない人に手助けをするという「バリアフリー」の考え方も大事なのですが、文化・言語・性別などの枠組みを超えてみんなにとってより良い方向を目指す「ユニバーサルデザイン」の考え方がもっと色んな人の意識に根付いていくと、障害であることをオープンしても働きやすい職場環境が増えていくんじゃないかと、私自身は思っています。
(6)一人で抱え込まない大切さ
「休みの日も仕事のことを考えてしまって休んだ気がしない」ということを聞きますが、この話にも通ずることだと思っています。
仕事で気持ちを楽にするために重要なことは、一人で抱え込みすぎないことだと私は思っています。
そもそも会社で働く大きなメリットの一つは、仕事や責任を周りの人とシェアできることだと思っています。
逆に言えば、すべて自分一人でやろうとしてしまう責任感が強い人もいますが、そういう働き方をしてしまうと心を消耗してしまいますし、会社のメリットが失われてしまうんですよね。
よく仕事では「人を巻き込め」と言いますが、それはすごく大事な考え方だと思っていて、自分から声をかけて一緒に働く人をつくっていかないと、どこかでキャパオーバーを迎えます。
例えば、誰かに怒られるときでも、厳しい交渉をするときでも、自分一人じゃなくて周りに味方がいたら、ツラい気持ちも半減されますよね。
なので、責任感が強い人ほど一人で仕事や責任を抱え込むんじゃなくて、周りの人を巻き込んでみると、すごく楽になるんじゃないかと思います。
そして、自分がいなくても仕事をやってくれる人がいれば、休みの日もゆっくり休むことにつながるんじゃないかと思っています。
(7)求職の情報収集のあり方
よくネットで、「HSPの適職」という情報をみることがありますが、その情報だけをもって判断しないことをお勧めします。
それは、自分の適職というのは、自分の性格や気質だけじゃなくて、その人のキャリアや持っているスキルによっても変わってくるからです。
そして、「HSPの適職」についての記事を見ると、執筆者が医師やブロガーだったりします。
医師やブロガーはキャリアのプロではないため、情報の内容を見てみると、憶測も含んだ解像度の低いものであることもしばしばあります。
あとは、就職活動を経験した人ならわかるかもしれませんが、会社説明会等で説明される仕事の内容と実際の仕事の内容には、必ずギャップがあります。
これは当然ですが、会社側の立場としては、より良い人材を雇いたいので、会社の良い面だけを見せようとするのは当然です。
なので、実際に働く人の情報を聞いてみたり、求職しているときは一つの情報に固執しないことが大事だと思っています。
(8)仲間の大切さ
今回のスペースでは、人間関係にまつわるキーワードが多かったですが、何よりも仲間を作ることが大切だと思いました。
HSPの人は「人付き合いが疲れてしまう」という悩みを挙げることが多い一方で、自分一人で完結できる仕事はほとんどありません。
逆に自分一人で完結できる仕事は、収入が思わしくなかったり、競争率が激しい(=営業が大事になる)場合が多いです。
世の中では、天才的存在がメディア等で報道されることもありますが、実際裏にはたくさんの人が関わっている場合もありますし、世の中全員が一人で食べていけるほどの才能を持ち合わせているわけではありません。
なので、りょうたさんが仰っていた通り、働き方に関わらず仲間を作ることは本当に大切だと思っています。
あと、今はうまくいっていても、必ず困難にぶつかりますので、「自分には仲間はいらない」と思っていても、その意味でもどんなに才能を持ち合わせている人であっても、仲間の存在は何よりも大切だと思っています。
(9)カウンセリングの有効性
仲間の存在はとても大事とお話ししましたが、実際には自分の悩みをしっかりと受け止めてくれる仲間がいない場合もあります。
また、仲間には自分の悩みを打ち明けづらいという人もいると思います。
今回、sayomikanさんがカウンセリングについてお話しされていましたが、深刻に悩むことがあれば自分一人で抱え込まずに、カウンセリングのサービスを使うことも一つの手段です。
カウンセリングに行くというのはハードルが高いのですが、実はアメリカであればカウンセリングを受けるというのは、実はポピュラーだったりします。
日本は急速に仕事のあり方について欧米化を目指していきましたが、この精神分野については、追従できていない面もあります。
どのカウンセラーを選んだらわからないという人もいると思いますが、最近は臨床心理士や公認心理士を常設している心療内科や精神科が増えましたので、メンタルに悩みを抱えていたら、そういった心療内科や精神科にかかってみるのも一つの手段だと考えます。
(10)異文化から学ぶ発見
私は生まれてこの方ずっと東京で生きてきたのですが、仕事でいくつかの地方に出張して思ったのは、人間が生きられる場所は都会だけじゃないということでした。
仕事でスピード感や責任感に常に追われるのは、実は都会だからこその悩みなのかもしれません。
そして、海外に目を向けてみると、sayomikanさんが仰るとおり、小さなミスや遅れに寛容な国だってたくさんあります。
複雑な悩みであっても、「この環境で生きなきゃいけない」という前提がなくなれば、解決できる場合もあるのではないかと思います。
なので、違う世界で生きる人の話を実際に聞いてみて視野を広げることも、大事なのではないかと思います。
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おわりに
さて、今回の記事はいかがでしたでしょうか。
今回は、ばっしーさんと一緒に開催した、「HSPと働く環境」をテーマとした3回目のTwitterのスペースを踏まえて、記事にまとめました。
お話しいただいた方々・お聞きになっていただいた方々、貴重なお時間を割いていただき、本当にありがとうございました。少しでも、参考になることがあれば、大変幸いです。
なかなか答えが出るテーマではありませんが、今後も月1回程度の頻度で、ばっしーさんとスペースをやっていく予定です。
Twitterのスペースに参加したことがなく不安な方もいるかもしれませんが、ラジオ感覚で参加できますので、ぜひ、いらっしゃってください。
次回は、1月8日(土)19:30からスペースを実施する予定ですので、以下のリンクから私のTwitterアカウントをフォローいただき、ぜひいらっしゃってください!
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